とあるお隣のお姉さん(仮)と普通?の少年の話

天道 一真

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第3節 最終課題

最終課題

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   「………………え?」
   ちょっと何言ってるか分からない。なにどういうこと?
   「睦月君?聞いてる?おーい!」
   「あっ。ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてしまってました」
   「もー。もう一回言うよ。あんまり言いたくないけど」
   さっきのは空耳だ。そうに違いない。そう思って今度はと、耳をよくすます。
  「次の春に実家に帰えって向こうで暮らすことになったの」
  「……っ!?」
  空耳ではなかった。俺には間違いなく実家で暮らす、と聞こえた。
 「……………ほんと……ですか?」
   そう無意識に俺は口にしていた。
 「ほんとだよ。お母さんがね、色々あって春から入院するの。そしたら残ったお父さんが家事も何もできなくて大変なことになるから、私が代わりに家事とかをしないといけないの」
 「そう……なんですね。それは………し、仕方ないですね」
 なんとか返事するのがやっとだった。それだけこのことがショックなんだと、ここで自覚した。
 「やっぱり結構ショックだったりする?」
 宇野宮さんは心配そうな表情を浮かべながら聞いてきた。
 「それはもうすごく。けど、自分でもよく分からないんです。こんなに動揺というか、ショックを受けたのは……人生で一回だけなので」
 そう俺は素直に相談もしていた。特に理由を聞かれたわけではないのに。
 「そう…………」
 宇野宮さんはそう返すとこう俺に質問をしてきた。
 「私ね、一つだけ聞きたいの。―――”私”のことどう思ってる?」
 「宇野宮さんこと―――」
 宇野宮さんは優しくて、頭もよくて、けどちょっと抜けてるところもあって。一緒にいるとなぜか昔にもどったような―
 ―――あれ?
 俺はそこまで考えるとなにか引っ掛かるような感覚になった。それはデジャヴュのような。
 「―――あっ」
 思い出した。
 前に俺は宇野宮さんに話したことがあった。俺の母さんのこと。
 「いま考えてること、当ててみよっか?」
 そう宇野宮さんは問いかけるとそのまま続けて言う。
 「私とお母さんが似ている…そこまではいいんだよ?だけどね、気になるんだ。”私”のことを見ていたのかなって」
 「もちろんです!いくら似てるからって―――」
 「うん。言いたいことはわかるよ。最初にあったときは、お互い緊張してたけど相手のこと知ろうとしてたもんね。けど、時間がたつにつれて睦月君の私に見る目が変わった気がするの」
 「俺の見る目が……?」
 宇野宮さんさんはそういうが、肝心の俺には自覚がない。
 「変わったんだよ。……多分私にお母さんのこと教えた時から」
 分からない。
 俺は焦燥感に駆られ、慌てて考える。自分が宇野宮さんと向き合えてていなかったのか。どこで間違ったのか。だけど肝心の頭が回ってくれない。だから余計に焦って。
 そんな俺を見た宇野宮さんは慌てた顔で言った。
 「別に睦月君を責めてるわけじゃないの。そう聞こえたのならごめんね。けどね、私が帰っちゃう前に一度考えてほしかったの。これは私からの最後の課題ね。家事とは違うけど」
 最後……。そう心で何回か唱えた後、
 「分かりました。絶対クリアして見せます!」
 俺は今まで、いや人生で一番の決意を込めてそう言った。
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