インドア派高校二年生、卓球始めました……?

天道 一真

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第三章 再挑戦

発進

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 開会式を終え、俺たちは早速第一試合に臨むことになった。と、その前に俺たちは一旦体育館の外に出て気合を入れようということで集まっていた。円陣を組み、部長である近藤がみんなへ言葉をかける。
 「……いよいよ。来たなみんな」
 近藤は緊張感を持って言った。俺を含めみんなは無言でうなずく。各々が覚悟を持った顔つきをしている。
 「いままで支えてきてくださった先生や、保護者の皆様のため。そして………何より自分たちのため、全力で試合に臨み……そして、楽しもう!」
 「「おーーー!!!」」
 俺たちは高らかに声を上げ、誓いを立てた。だが俺は……いまだに昨日のことを引きずったままだった。

 いよいよ一回戦が始まる。俺たちと相手の学校の選手たちは卓球台を挟み、挨拶を交わす。
 「それでは、試合を始めます。よろしくお願いします」
 「「よろしくお願いします」」
 今回は近藤が宣言をし、全員で声を出して腰を折った。
 そして順番にファーストからラストまでの出場選手の確認を取る。俺たちは1、清水2、西村3、宮崎木村ペア4、近藤5、原。というようになっている。
 そうして早速第一試合が始まろうとしていた。
 その前に宮崎と西村先輩は清水に声援を送った。
 「清水先輩頑張ってくださいね!」
 「気負わず気楽にね~」
 「……ええ。心配しなくても、俺はもう大丈夫です。もう、迷いはない」
 そう言い、清水は台の前に移動した。
 「「よろしくお願いします」」
 清水がサーブ権を獲得し、試合が始まった。
 互いが台の前で構え、清水は高めに球を上げる。そしてボールを巻き込むようにように相手のフォア側に短いサーブを繰り出した。
 清水のサーブは文字通りの巻き込みサーブといい、ボールを巻き込むようにして左横回転をかけるものだ。横下、横上などの回転の変化が分かりにくいのが特徴的なのである。
 そして相手は回転の流れを利用し、同じ回転をかけて返球する。無難な返球法だが、その分コースが読まれやすい。清水は相手が返球したと同時にフォア側のサイドライン側で構えカーブドライブで相手のバック側の端ギリギリをついた。相手は何とか返球しようとするが、よほど回転がかかっていたせいか、そのボールは台につくことなくフォア側に飛んでいった。
 「ワンラブ」
 審判選手はそう宣言し、得点板の点数をめくる。清水は声を出すことなく無表情でボールを取りに行く。しかし、その裏にどれほどの熱が沸き上がっているのかを、俺たちメンバーは分かっていた。
 「すごい……」
 いままでこんなに熱くなっている清水を、俺は見たことがない。冷静沈着だと思っていた人間が、まさかあんなに熱くなるなんて………。
 今俺は、清水の背中に青い炎が見えているようだった。
 「ふぅ……――――――」
 清水は息を吐きだし、再び台に構える。そして天高くトスを上げ、巻き込みサーブを相手のバック側に長く出した。相手選手は二度も同じ失敗を繰り返さないとばかりにバックドライブの構えをとる。横下と見て、上回転で上書きしようとしたのか。しかし、その目論見は敗れることになった。
 「っ!?」
 相手選手はボールがセンターラインギリギリの所に来たことに気づき、慌ててフォアドライブの姿勢に変え、打つ。
 バック側に行ったそのボールを清水はすでに回り込んだバック側でシュートドライブを相手のフォア側に深く叩き込む。
 台の端ギリギリについたそのボールに相手選手は飛びついて返そうとするが、ラケットにボールが触れることなく、ボールは台を離れて飛んで行った。
 「ツーラブ」
 審判選手が点数板をめくる。
 「清水先輩凄いっスね………」
 「ああ。いつもより判断力も動きも良くなってる。朝のあれが効いたみたいだな」
 宮崎と近藤はその清水の華麗なプレーに感心した。清水は朝の先生とのやり取りを燃料にし、それを燃やすことでいつもより実力が上がっているのだ。
 それに比べて、俺は………。
 俺は清水への関心と自身の劣等感を感じざるをえなかった。
 
 そして試合は一方的に清水が攻め続ける試合になり、第一試合は清水の快勝で終えた。
 「「ありがとうございました」」
 二人は挨拶をした後各学校のメンバーが座っている所に戻る。
 「お疲れ。いい試合だったぞ」
 「先輩マジ凄かったっス!」
 「本当に……かっこよかったです!」
 近藤、宮崎、木村が清水をべた褒めしていく。特に宮崎の目はすごい光ってる。清水は困ったような照れてるような様子で称賛を受け取っていた。
 「お疲れ~。楽しかった?」
 西村先輩が清水に優しく問いかける。そして清水ははにかみながら答える。
 「ええ。楽しかったです。こんなにすがすがしい気持ちになったのはいつぶりか分からないです」
 そう聞いた西村先輩は安心したような笑みを浮かべていた。
 そうこうしているうちに第二試合が始まろうとしていた。
 「それじゃ、行ってくるね~」
 「……頑張ってください。先輩」
 「まかせて~」
 清水からの声援を受けながら第二試合出場選手である西村先輩は台に移動した。
 「「よろしくお願いします」」
 挨拶が交わされ試合が始まった。
 「………」
 「……?」
 今一瞬清水が俺のこと見てなかったか?清水からの視線を感じ俺はそう疑問に思った。が、その疑問を塗りつぶすような試合がこの後展開されるのだった。

 
 
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