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第三章 再挑戦
二人そろえば百人力
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「次は俺たちの出番……やってやるっス!」
「僕だって……やるときはやるんだ……!」
次はダブルス。宮崎と木村の出番だ。宮崎と木村は今までの先輩たちの試合の影響を受けているのか、いままで見たことのないぐらい熱くなっていた。
「けどな~……」
そう、個人戦で彼らは一回戦敗退を繰り返している。それを踏まえて考えると、俺は心配になってくる。
「安心しろ原」
近藤が俺の考えを呼んだかのようにそう言ってきた。
「ダブルスの時のあいつらは一味も二味も違う」
そして自身満々でそう宣言した。
それからしばらくして、一回戦第三試合、ダブルス戦が始まった。
「「よろしくお願いします!」」
四人は挨拶を交わし、台に構える。そしてサーブ権を取った宮崎、木村ペアは宮崎からサーブをするらしい。宮崎がフォア側に構え、台の下で手を使ってサインをだす。
ダブルスでは当然だが二人で戦わないといけないので、どんなサーブを出すのかをペア間で知っておく必要があるのだ。その時に使うのが、手を使ったサイン。
例えば人差し指を出せば下回転、ピースサインの時は横回転、というように回転を決めてからその他のしぐさで長さを伝える。それぞれのサインは事前にペアと相談して決める。そのため、サインには様々なパターンややり方が存在する。卓球の面白い所の一つかもしれない。
そしてダブルスのサーブのルールはシングルのルールに加え、もう一つルールが施される。
サーブのコースが対角線上。つまり自陣のフォア側から相手のフォア側に出さないといけない、というものだ。それが示すことは、レシーバーが有利になるということなのである。実力者になれば、長いサーブを出すだけでドライブを浴びされて終わりだ。
「…………ん!」
宮崎がトスを上げ、短いサーブを出した。そして宮崎はすぐ素早く時計回りで後ろに移動する。回転は、出し方からして下回転だろう。
それを素早く判断した相手選手はバック側に上回転のフリックを打つ。こうした二球目から攻撃をするのは珍しいことではなく、三球目攻撃をさせないための対処としてはメジャーな方である。それがダブルスにおいてのレシーバーの強みでもある。
しかし、この時の選択はあの二人には通じなかった。
「ん!」
バックに来たフリックを木村はバック面の粒高で短くカットし、そのボールが相手のフォア側側に短く返った。
粒高ラバーというのは、普通のラバーとは違ってその名の通りラバーに粒のような突起が細かく張り巡らされたラバーだ。その性質は簡単に言うと「出した回転が反対になる」という不思議なもの。
普通のラバーとは違い、回転がかけられるような引っ掛かりがないので、やってきたボールを受け流すような事になって相手からすると回転が反対になってしまう。
そんなラバーだからこそ、使っている人間は嫌われやすい。チートでもないのに。
そして木村はフォア側に返したがこれも誰でも分かる明確な理由が存在する。
卓球界隈では「ダブルスでは打ったやつを狙え」という聞いただけでは某サッカーゲームの残虐な必殺技を思わせる言葉がある。もちろん乱暴なことはしないが、これは[打った選手とその後に交代する選手が重なることが起きるため交代する選手を打ちにくくする]というちゃんとした理由があるからだ。
相手選手は慌てて直覚気味にラケットの角度を合わせて返球するも、下回転がかかっていたためにそのボールはネット前に落ちてしまった。
「ワンラブ」
相手の学校の審判選手はそう宣言し、点数板をめくる。
その後も粒高を交えたプレーに相手選手達は惑わせ続け、あっという間に第一ゲームを取った。
「すごいな……」
俺は気づけばそう口にしていた。
「あいつらの本領はダブルスで発揮されるんだ。これはあいつらだからこそできることなんだ」
俺のつぶやきに対し、近藤は誇るようにそう言った。
一年の二人は一度俺たちのところに戻り、二人で次のゲームの作戦を練っているようだ。そこには二人以外誰も介入していない。
「……なあ近藤。俺たちも何か言うべきか?」
「ああ。あいつらには言わなくてもいい、というか言うべきじゃないと思うぞ」
「?どういうこと………」
俺は近藤の発言に疑問を持ち、一年二人に視線を向けると………二人はとても楽しそうにしていた。もちろん会話の中身は次のゲームの作戦についてだ。ここからでも少し聞こえてくる。
「つまり、そういうことだ」
「……なるほど」
要するに、二人にとってこの試合は遊びに近いものだと思う。そのには純粋な気持ちがあった。
作戦がきまった。狙ったコースに打てた。ここが惜しかった。卓球をやっていれば当たり前のように持っているこれらを、二人はただ純粋にそのまま楽しんでいるのだ。
俺にはそれが少し、羨ましい。
「さあ、やるっすよ!木村っチ!」
「うん!いこう、宮崎君!」
時間になり、二人は挑戦的な笑みを浮かべて再び台の前に立った。
そして二人は第一ゲームの勢いのまま、時には攻め、時には惑わせてひたすら相手を混乱させた。その時の二人は俺の目には魔術師に見えた。
そのマジックショーを見続けているうちに――――――気が付けば3-0と宮崎、木村ペアが大金星をあげていた。
「僕だって……やるときはやるんだ……!」
次はダブルス。宮崎と木村の出番だ。宮崎と木村は今までの先輩たちの試合の影響を受けているのか、いままで見たことのないぐらい熱くなっていた。
「けどな~……」
そう、個人戦で彼らは一回戦敗退を繰り返している。それを踏まえて考えると、俺は心配になってくる。
「安心しろ原」
近藤が俺の考えを呼んだかのようにそう言ってきた。
「ダブルスの時のあいつらは一味も二味も違う」
そして自身満々でそう宣言した。
それからしばらくして、一回戦第三試合、ダブルス戦が始まった。
「「よろしくお願いします!」」
四人は挨拶を交わし、台に構える。そしてサーブ権を取った宮崎、木村ペアは宮崎からサーブをするらしい。宮崎がフォア側に構え、台の下で手を使ってサインをだす。
ダブルスでは当然だが二人で戦わないといけないので、どんなサーブを出すのかをペア間で知っておく必要があるのだ。その時に使うのが、手を使ったサイン。
例えば人差し指を出せば下回転、ピースサインの時は横回転、というように回転を決めてからその他のしぐさで長さを伝える。それぞれのサインは事前にペアと相談して決める。そのため、サインには様々なパターンややり方が存在する。卓球の面白い所の一つかもしれない。
そしてダブルスのサーブのルールはシングルのルールに加え、もう一つルールが施される。
サーブのコースが対角線上。つまり自陣のフォア側から相手のフォア側に出さないといけない、というものだ。それが示すことは、レシーバーが有利になるということなのである。実力者になれば、長いサーブを出すだけでドライブを浴びされて終わりだ。
「…………ん!」
宮崎がトスを上げ、短いサーブを出した。そして宮崎はすぐ素早く時計回りで後ろに移動する。回転は、出し方からして下回転だろう。
それを素早く判断した相手選手はバック側に上回転のフリックを打つ。こうした二球目から攻撃をするのは珍しいことではなく、三球目攻撃をさせないための対処としてはメジャーな方である。それがダブルスにおいてのレシーバーの強みでもある。
しかし、この時の選択はあの二人には通じなかった。
「ん!」
バックに来たフリックを木村はバック面の粒高で短くカットし、そのボールが相手のフォア側側に短く返った。
粒高ラバーというのは、普通のラバーとは違ってその名の通りラバーに粒のような突起が細かく張り巡らされたラバーだ。その性質は簡単に言うと「出した回転が反対になる」という不思議なもの。
普通のラバーとは違い、回転がかけられるような引っ掛かりがないので、やってきたボールを受け流すような事になって相手からすると回転が反対になってしまう。
そんなラバーだからこそ、使っている人間は嫌われやすい。チートでもないのに。
そして木村はフォア側に返したがこれも誰でも分かる明確な理由が存在する。
卓球界隈では「ダブルスでは打ったやつを狙え」という聞いただけでは某サッカーゲームの残虐な必殺技を思わせる言葉がある。もちろん乱暴なことはしないが、これは[打った選手とその後に交代する選手が重なることが起きるため交代する選手を打ちにくくする]というちゃんとした理由があるからだ。
相手選手は慌てて直覚気味にラケットの角度を合わせて返球するも、下回転がかかっていたためにそのボールはネット前に落ちてしまった。
「ワンラブ」
相手の学校の審判選手はそう宣言し、点数板をめくる。
その後も粒高を交えたプレーに相手選手達は惑わせ続け、あっという間に第一ゲームを取った。
「すごいな……」
俺は気づけばそう口にしていた。
「あいつらの本領はダブルスで発揮されるんだ。これはあいつらだからこそできることなんだ」
俺のつぶやきに対し、近藤は誇るようにそう言った。
一年の二人は一度俺たちのところに戻り、二人で次のゲームの作戦を練っているようだ。そこには二人以外誰も介入していない。
「……なあ近藤。俺たちも何か言うべきか?」
「ああ。あいつらには言わなくてもいい、というか言うべきじゃないと思うぞ」
「?どういうこと………」
俺は近藤の発言に疑問を持ち、一年二人に視線を向けると………二人はとても楽しそうにしていた。もちろん会話の中身は次のゲームの作戦についてだ。ここからでも少し聞こえてくる。
「つまり、そういうことだ」
「……なるほど」
要するに、二人にとってこの試合は遊びに近いものだと思う。そのには純粋な気持ちがあった。
作戦がきまった。狙ったコースに打てた。ここが惜しかった。卓球をやっていれば当たり前のように持っているこれらを、二人はただ純粋にそのまま楽しんでいるのだ。
俺にはそれが少し、羨ましい。
「さあ、やるっすよ!木村っチ!」
「うん!いこう、宮崎君!」
時間になり、二人は挑戦的な笑みを浮かべて再び台の前に立った。
そして二人は第一ゲームの勢いのまま、時には攻め、時には惑わせてひたすら相手を混乱させた。その時の二人は俺の目には魔術師に見えた。
そのマジックショーを見続けているうちに――――――気が付けば3-0と宮崎、木村ペアが大金星をあげていた。
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