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第三章 再挑戦
幽霊
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第三ゲーム11-9。このゲームを制したのは相手選手だった。
ゲームの点数は今で2-1。近藤がまだ有利。数字だけ見ればまだ勝機はあるが、実際はそうではない。
「はぁ………はぁ……」
「……………」
近藤が息を切らしている中、相手選手は平然とそこに存在していた。
ゲーム数が重なるにつれ近藤の体力はどんどん減っていき、徐々に相手選手のペースになっていった。それが第三ゲームで9-9と並んだ時から始まっている。それからたった二点だったがその二点を取られるまでの試合で近藤は完全に相手選手に掌握されていた。
「先輩……」
木村も心配そうに近藤を見る。現在近藤はセット間の休憩中でものすごい勢いで500mmペットボトルのスポドリを飲んでいた。発汗量は尋常なほど多く、ユニフォームが体に張り付いているほどだ。俺はそんな近藤の傍らで試合中に倒れないか心配になった。
「近藤、大丈夫か?あんまり無理すんなよ」
「ん?……っはぁ~。大丈夫だ。水分もいやというほど摂ってるよ。………それよりも、あいつ。想像以上にやっかいだな」
「やっぱりあの雰囲気か?」
俺は試合が始まった時から感じていたことを口にすると近藤は首を振ってから答えた。
「それもある。だが本当に凄いのはあいつのプレーだ。最初は互角程度と思っていたが、その実相手の強みや弱みを定めるためにわざと追い詰められてから急激に追い上げてくる技術。いや、根性というべきか」
「……もしかして、さっき思いのほかあっさりやられた二点は」
「ああ。……完全にやられたよ」
近藤は悔しそうに相手選手の実力を認めた。
「………僕、思い出したよ」
西村先輩はやはりいつもの穏やかな表情ではなく気を張った様子で俺たちに語る。
「僕が入部してからの初めての大会でこの地域で一番の天才が現れたんだ。他の経験者を圧倒し、ある時にはラブゲームになりかけたこともあったらしい。しかもその相手は連続優勝者だったとか。けど、彼が初めて入賞できなかったその次の大会からからは表彰台に彼が昇ることは無く、僕含めて彼のことを忘れていた。だけど今年一番初めの大会で『今まで無名だった選手がいきなり優勝した』って噂で流れてて、[卓球のゴースト]という名で知れ渡っていったんだ」
西村選手は心霊話をするかのように緊迫した空気の中こう言った。
―――――――――彼がその[卓球のゴースト]かもしれない。と。
第四試合。点数は2-4。やはりゴーストがリードを取っている。彼の眼には輝きは無く、生者を取り込みその存在を大きくするかの如く淡々と点数を貪り、差を広げていく。
一方近藤は自分の思ったと通りの展開にならず、苦しそうな様子で必死に抵抗する。
「ツーファイブ」
宮崎は淡々と点数を入れる。だが、俺にはその手が少し震えているように見えた。
「ふぅーーーーーー………」
近藤は深く息を吐き出し、レシーブの体制をとる。ゴーストは表情一つ変えることなく掌にボールを置き、トスを上げてサーブを繰り出す。
下回転であろうそのサーブを近藤は短くミドルにツッツキをする。ゴーストはそれをフォア側にフリック。近藤は後ろに下がりながらカウンターをした。
バック側に行ったその球をゴーストはブロック。フォアに返ったそのボールを近藤はミドルへのバックドライブで強打の一撃をお見舞いする。だがゴーストは体を左に反らし、それを難なくカウンター。フォア側に飛んで行ったその攻撃を近藤は追うことなく見過ごした。
「つ、ツーシックス」
宮崎は驚愕しながらも審判としての仕事をこなす。
点数の合計が偶数になったのでタオルタイムが入った。
「はぁ、はぁ……」
タオルで汗をぬぐっている時の近藤はどこかいつもより冷静さを失っているような気がした。
ゲームの点数は今で2-1。近藤がまだ有利。数字だけ見ればまだ勝機はあるが、実際はそうではない。
「はぁ………はぁ……」
「……………」
近藤が息を切らしている中、相手選手は平然とそこに存在していた。
ゲーム数が重なるにつれ近藤の体力はどんどん減っていき、徐々に相手選手のペースになっていった。それが第三ゲームで9-9と並んだ時から始まっている。それからたった二点だったがその二点を取られるまでの試合で近藤は完全に相手選手に掌握されていた。
「先輩……」
木村も心配そうに近藤を見る。現在近藤はセット間の休憩中でものすごい勢いで500mmペットボトルのスポドリを飲んでいた。発汗量は尋常なほど多く、ユニフォームが体に張り付いているほどだ。俺はそんな近藤の傍らで試合中に倒れないか心配になった。
「近藤、大丈夫か?あんまり無理すんなよ」
「ん?……っはぁ~。大丈夫だ。水分もいやというほど摂ってるよ。………それよりも、あいつ。想像以上にやっかいだな」
「やっぱりあの雰囲気か?」
俺は試合が始まった時から感じていたことを口にすると近藤は首を振ってから答えた。
「それもある。だが本当に凄いのはあいつのプレーだ。最初は互角程度と思っていたが、その実相手の強みや弱みを定めるためにわざと追い詰められてから急激に追い上げてくる技術。いや、根性というべきか」
「……もしかして、さっき思いのほかあっさりやられた二点は」
「ああ。……完全にやられたよ」
近藤は悔しそうに相手選手の実力を認めた。
「………僕、思い出したよ」
西村先輩はやはりいつもの穏やかな表情ではなく気を張った様子で俺たちに語る。
「僕が入部してからの初めての大会でこの地域で一番の天才が現れたんだ。他の経験者を圧倒し、ある時にはラブゲームになりかけたこともあったらしい。しかもその相手は連続優勝者だったとか。けど、彼が初めて入賞できなかったその次の大会からからは表彰台に彼が昇ることは無く、僕含めて彼のことを忘れていた。だけど今年一番初めの大会で『今まで無名だった選手がいきなり優勝した』って噂で流れてて、[卓球のゴースト]という名で知れ渡っていったんだ」
西村選手は心霊話をするかのように緊迫した空気の中こう言った。
―――――――――彼がその[卓球のゴースト]かもしれない。と。
第四試合。点数は2-4。やはりゴーストがリードを取っている。彼の眼には輝きは無く、生者を取り込みその存在を大きくするかの如く淡々と点数を貪り、差を広げていく。
一方近藤は自分の思ったと通りの展開にならず、苦しそうな様子で必死に抵抗する。
「ツーファイブ」
宮崎は淡々と点数を入れる。だが、俺にはその手が少し震えているように見えた。
「ふぅーーーーーー………」
近藤は深く息を吐き出し、レシーブの体制をとる。ゴーストは表情一つ変えることなく掌にボールを置き、トスを上げてサーブを繰り出す。
下回転であろうそのサーブを近藤は短くミドルにツッツキをする。ゴーストはそれをフォア側にフリック。近藤は後ろに下がりながらカウンターをした。
バック側に行ったその球をゴーストはブロック。フォアに返ったそのボールを近藤はミドルへのバックドライブで強打の一撃をお見舞いする。だがゴーストは体を左に反らし、それを難なくカウンター。フォア側に飛んで行ったその攻撃を近藤は追うことなく見過ごした。
「つ、ツーシックス」
宮崎は驚愕しながらも審判としての仕事をこなす。
点数の合計が偶数になったのでタオルタイムが入った。
「はぁ、はぁ……」
タオルで汗をぬぐっている時の近藤はどこかいつもより冷静さを失っているような気がした。
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