インドア派高校二年生、卓球始めました……?

天道 一真

文字の大きさ
21 / 29
第三章 再挑戦

笑顔の理由

しおりを挟む
こうして俺たちは広々とした体育館のほぼ中央に構える卓球台を舞台に、決勝戦を始めた。
 「「よろしくお願いします」」
 挨拶を交わした後、俺たちは台の後ろの、区切られたスペースの柵に荷物を置き、その近くに座った。
 挨拶の時、西本は当然いた。が、その時に放っていたオーラは以前の大会とは比べ物にならないぐらい圧が強かった。それぐらい、この大会にかけているものが重いのだろう。
 しかし、俺たちもここまで来たからには負けられない。俺は改めて気を引き締め、ひとまずは仲間の試合を応援することに集中しようとした。
 「「よろしくお願いします」」
 ラケット交換を終えて第一試合、清水と相手選手(中ペン裏粒高)との試合が始まった。サーブ権は相手選手だ。
 「――――――っ」
 互いに構えた後、相手選手が静かに構えてから短めのトスを上げ、バック側に速いナックルサーブを出した。
 清水はすかさずバックドライブを相手のバック側に返す。
 しかし相手選手はそれを読んでいたようだ。返ってきたドライブを粒高の面でバック側のサイドを狙ってカット気味で打った。
 コースをつかれた清水は姿勢を崩しながらも、相手のセンターラインよりフォア側にバックドライブをループ気味に返す。
 相手選手はそれを粒高面でフォア側の端にカットブロックし、清水はそれをとらえきれずに相手選手に点数を与えてしまった。
 そんな感じで第一試合と第二試合が続き、どちらも清水は落としてしまった。しかし、第三試合から粒高の扱いに慣れてきたみたいで、なんとか第三試合は勝利。その後も清水は相手の弱点を見出し、そこを突くことにより相手は混乱。相手選手はそこで調子が崩れてしまった。そして清水は第四、第五試合をもぎ取り、何とか第一試合を勝ち取ることができた。
 第二試合は西村先輩とシェイクの選手との試合。これまでの今日の試合で西村先輩は見事なカット捌きを俺たちに見せていて、どの試合も圧勝していた。が、今回の相手は西村先輩が苦手としている相手だったようだった。
 「――――――!」
 「っ!?」
 相手選手のドライブを西村先輩は必死で返す。しかし、回転がものすごくかかっている球を相手はいとも簡単にドライブで攻撃してくる。しかもコースを的確に分けて西村先輩を揺さぶっている。
 第一ゲーム。現在の点は7-3。西村先輩が押されていた。
 「西村先輩の強さはカットの切れにあった」
 となりの近藤は突然そう俺に語り始める。
 「だが、先輩はそこの技術に専念しすぎて自分から攻めるのは苦手なんだ」
 「?けど一回戦とかは自分から攻めてたよな?」
 「ああ。けどそれは先輩が『決めれる』って思ったからやっていたが、今回の相手は……隙が無さすぎる」
 「だから先輩は今押されているのか……」
 こうして話している間にも西村選手はミスを連発。10-3と相手がマッチポイントになるまで追い込まれていた。
 「………先輩」
 清水は手を握りしめ、静かに熱く西村選手の勝利を祈っていた。
 しかし、その祈りは届くことは無く、西村先輩は3-0と完敗してしまった。
 第三試合。木村、宮崎ペアとシェイク同士のペアとの試合。
 第一、第二試合と立て続けに負けてしまい、この試合に負けてしまえば決勝戦は負け試合となってしまう。そんなプレッシャーが強くかかるはずの試合で、あの二人はやはり楽しそうに笑って試合をしていた。 
 「よし!木村っチ、ナイスプレイ!」
 「うん、宮崎君が仕掛けてくれたから」
 点数を取り、二人は互いに直前のプレーを称えあっている。
 現在第一試合で7-4と木村と宮崎がリードしていた。
 「………なあ、近藤」
 「どうした?」
 俺は二人のプレーを見ていてずっと気になっていた疑問を、今近藤にぶつけることにした。
 「あの二人、個人だと弱いのにダブルスになったら強くなるなんでなんだ?」
 「ああ。そのことか。やっぱりみんな不思議に思うよな」
 近藤は納得の表情をして俺に話し始めた。
 「あの二人は気が付いた時から一緒にいる幼馴染でな。卓球を始めた時も二人一緒だったらしい」
 「ああ。それは聞いたことがある」
 六月の大会の日。一緒にストレッチしている二人が話してくれったけ?
 「そうか。で入部してからもほとんど二人で練習していたらしい。それを見た顧問が『ダブルスをやってみないか?』って提案して、それから二人でずっとダブルスの練習をやってたらしい」
 「ずっと!?個人での練習はしなかったのか!?」
 「そのとうり。だが彼らだからこそ、なのかもしれない。小さい時からの幼馴染同士、言葉にせずとも通じ合うところがあるのだろう。最初こそはつまずいたものの、一か月が経つ頃には大会でも十分通用する実力になっていたらしい」
 ……末恐ろしい二人だ。
 俺は思わずそう思い、同時に彼らから他の人とは違うものを感じていた。
 そうして第三、第四ゲームと勝ち進めていき、
 「イレブンシックス」
 相手の学校の審判選手がそう宣言をして宮崎、木村ペアが勝利した。それからペア同士で軽く挨拶をしてから、木村と宮崎は笑顔でハイタッチを決めた。
 「………俺たちは彼らを見習わなければな」
 「そう、だな」
 近藤のつぶやきに俺は二人に敬意を抱きながら同意した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...