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第1章
18話
しおりを挟むしばらく馬を歩かせて、最初の村に到着。お茶をいただいて休憩をとってから今日泊まる予定の村まで馬を進めた。
宿屋を聞いて、一泊のお願いをしたら部屋に案内された。食事を済ませ、あとは寝るだけのところで事件が起きた。
私が寝てしまっているだろうと思った泥棒サマに部屋の扉を開けられてしまったのだ。旅の初日だったし、うまく寝付けなくて起きてたので、ガツンと殴って気絶させ、翌朝宿屋の人に突き出した。
聞けば、休憩した村から金持ちそうな身なりを見かけて、後をつけていたそうだ。簡単に襲えると思ってた私に反撃を喰らい予想外の展開に歯噛みしている。
旅ってこんな危険なこともあるんだ……ボーッとしてたら身包み剥がされちゃう。
こんな物騒な村は懲り懲りだ、と呟きながらさっさっと次の集落まで進めようと心に決めた。
そして二日目、旅の続きをする準備を整え出発。
昨夜の事件もあり、寝不足だったため、途中ちょっと小高い丘で休憩を兼ねて仮眠をしようと考えた。
そもそもこの考えが甘かった、と後悔したのは、仮眠と称するガチ寝から目が覚めた時だった。
気づいたら夕方、もうすぐ日が暮れようとしている時間。慌てて馬を探すが見当たらない。マズいと思って腰のお金入れを探したが、これも見当たらない。
そう、寝てる間に盗難に遭ってしまったらしい。ショックのあまり気を失いかけたのだが、グッと堪えた。
今朝方、ボーッとしてたら身包み剥がされる、と自分を戒めていたとこじゃないか。 見事にその状況に陥った自分の情けなさに、ため息しかでてこない。
呆然として座り込んでいたのだが、これではいけない、と自分を叱る。どんどん暗くなってくるし、泣きそうになりながらも、先ずはどこか泊まれる場所にたどり着かなければ、と思い直して立ち上がった。
トボトボと歩きながら、足が棒になるかも、と感じる頃に集落らしき灯が見えてきて、じんわりと涙を滲ませた。幸いほんの少しだけ、別取りしていたお金があったので、それで泊めてもらおう。
十軒あるかどうかの集落で、宿なんてものは無いようだ。一番近くの家を訪ねて泊めてもらえるようお願いしたが、断られた。次の家もその次の家もダメだった。
諦めてどこかの軒先に寝ようかと考えたところで、若い女性から声をかけてもらえた。
「あなた自分がどんなに無謀なことしてるのか、わかってる?」
ご飯を食べさせてもらいながら、そう聞かれた。言ってる意味がわからず、小首を傾げてその先を聞く。
普通、女性は一人で旅や移動はしないものなのだそうだ。最低でも従者を一人付けるか、護衛を伴い馬車移動するのが基本だ、と言われた。
へえ、旅って一人でするのが基本だと思ってた。旅する理由を聞かれたのだが、言い淀んでたら特に咎められることもなかった。
「いい人生経験したでしょ? もう充分じゃないの? お家に戻った方があなたの為になると思うわよ。周りの人があなたを心配する前に、元の生活に戻りなさいな」
家に戻ることを進められたので、素直にそれに従おうとしたが、あいにく資金不足で従者や馬が準備できない。
途方に暮れた顔をしていたら、しばらくここで稼いでお金を貯めるように意見をもらった。
「私はロレーヌ、ここで父と一緒に病気の人や元気のない人に薬草を飲ませて治療しているの。近くの村からも病人は来るから結構忙しいわよ? 今日は父は泊まりよ。隣村でおばあさんの看病に出かけてるからね」
私、働けるんだ。ボランティアでもニコラスの代わりでもなく、自分で仕事をすることができるんだ。
人生で初めてのお仕事に、期待に胸を膨らませ、泥のような眠りについた。
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