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スレイ君の就活事件簿
中編
しおりを挟む「なるほど『自分探し』ねぇ……お前面白いな、俺んとこ来ないか? スリル満点の『自分探し』できるかもよ」
「へぇ、『団長』さんとこはスリルがある仕事なんだな。まあ考えとくよ。そう言えば、親父に伝言か何かあるんだろ?」
ああ、と言って、『団長』さんがサラサラと手紙を書いて最後に封のために蝋を垂らし、指輪で印を押してから俺に渡してきた。
封筒をもらい、それを指先で受け取り、シャシャッと振ってから席を立つ。
「じゃ、確かに預かった。キチンと親父に渡すから信用してくれ」
「ああ、よろしく頼む」
指輪で封かんするような手紙だ、たぶん重要な内容が書かれてるんだろなってのは分かった。俺は急ぎめに家へと足を運び、親父の帰りを待った。
待ってる間、何気にその封筒を眺めると、どっかで見た紋章だってのがわかる。
どこだっけな、この紋章。結構見たことあるような……少し考えてハッと気づいた。
「これって……王家の紋章じゃないか……アイツ王族? あっ……だ、第三王子かっ!」
瞬間、ぞわっと鳥肌がたった。
俺、何か不敬なことしてなかったか? タメ口だったし、王族に対する態度なんかひとつも取ってないぞ?
呆然と立ち尽くしてる間に親父が帰ってきた。
蒼ざめた顔のまま持っている手紙を渡す。
「ん? スレイ、どうした? 今日のアルベリアの使者はあんなイヤミな奴だったが、いつもはあそこまで酷くないんだぞ? まあ、忍耐は必要だがな」
と言ってハハハと軽快に笑った。そうしながらも、封筒の印を見ると、キリリと表情を引き締める。中を確認すると親父らしからぬ黒い笑みを浮かべながらこちらをチラッとみる。
「お前、これをどこで預かった?」
「街の酒場だよ、アルベリアの使者とどこかの貴族が悪巧みしてたんだ。親父も関係してんのか?」
「ああ、明後日全て解決するはずだ。今まではアルベリアに下げていた頭を逆に下げさせる切り札を手に入れられるからな」
嬉しそうにそう言って、俺の肩をポスンと叩くと上機嫌で部屋へと消えていった。
だから、詳しい話を教えてくれよ。
とりあえず明後日、アルベリア付近の村で何が起きるのか確かめなきゃ納得できない。
絶対自分の目で確認してやる。
心に誓ってその日は眠りについた。
次の日、食堂で朝食を摂っていると親父から声がかかった。何ごとかと首を傾げてると、第三王子についての印象を聞かれた。
「んー、そうだな、飄々としてあまり王族のオーラは出してなかったから気づくまで時間がかかったよ。でもあの目は凄いな。人を従わせる目を持ってる。俺に任せろって感じ? ああいう人のいる仕事場って下のモンは安心して働くことができると思うな」
そうか、と呟き何か考えているようだったが、その後は言葉を交わすことも特になく、そのまま仕事に行ってしまった。
今日の俺はちょっとやる気になっている。
アルベリアが何で武器欲しがってるのかについて、自分なりに詳しく調べてみようと思ってるからだ。
しっかり実情を把握して、明日は絶対に現場に行ってやる。
アルベリア国とエリン公国はお互いに資源の利権争いになっていて長年睨み合いが続いてるらしい。このバランスが崩れると一気に戦争になり、そうなった場合、グリフォード王国も争いの渦中に巻き込まれることは必至になるようだ。
あの貴族が武器の横流しをすれば、仮に二国間が戦争に発展してそれが終結しても、口火を切ったのはグリフォード国だ、などと責任をなすりつけられることもあるワケだ。なるほどこりゃ大変だ。
ああ、だから親父は波風立てないような対応しかしなかったんだな。下手に動くと警戒して裏取り引きが流れる可能性も増えるのか。いい気分にさせて、向こうの好き放題させる気だったのな。でもストレス溜まる仕事なのによくこなしてるよ。ちょっと親父がカッコよく見えてくるわ。
調べものは思った以上に時間がかかったらしく、あっという間に日が暮れた。いよいよ明日だ、早めに向こうの村に着いて、それぞれの動きを見せてもらおう。
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