第三王子のお守り騎士団

しろっくま

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第2章

44話

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 目が覚めると自分のベッドの上だった。
 ああ、よかったぁ、全くこれ以上ないってくらいの恐怖を味わっちゃったからね。
 ニコラスがお説教してくれたのも、今はありがたい教訓として胸に刻んでおきますよ、はい。
 これからはあんまり心配かけない、いい子になります。
 うんマジ、反省。

 もうすぐジェイクが迎えに来てくれるかな?
 私どう?    変じゃない?   髪の毛跳ねてないかしら?
 玄関の扉の前に立って、ジェイクのお迎えを今か今かと待っている。
 と、扉が急に歪み出し……必死に手を伸ばすのにどんどん扉が離れていく……

 ガバッと飛び起きると、自分の家で目覚めたことが夢だったと思い知らされた。

 肩を上下させて荒い息を何回か吐き出したら、少しだけ周りを見る余裕が出てきた。

 ここは馬車の中のようだ。クッションが幾重にも重ねられているので、地面からの揺れはほとんど感じられない。

 首すじに流れる汗を手の甲で拭い、窓や扉をガタガタさせて確認する。
 扉は外側から鍵をかけられてビクともしない、窓はどうだろう。格子に邪魔されて顔どころか手すら出せない状態。完全に拉致されてる途中みたいだ。

 どうにかして外の誰かと連絡つかないだろうか。ドレスの隠しに入っていた短剣もしっかり奪われている。後はハンカチくらいか。
 見つけてもらえるかどうかわからないけれど、やれることは全部やってみよう。

 ハンカチに唇を噛んで血を滲ませてから、窓の隙間へ押し込む。外に落ちたのか、途中で引っかかるか謎だが、とりあえずの行動は起こした。

 そのまま少し行ったところで馬車がガタンと揺れて止まった。窓から覗くと、どうやら検問みたいなのに引っかかったらしい。隙間から口を付けて「助けて!    攫われてるの!」と大声を出してみた。

 馬車は軽く前後しながらユラユラと揺れる。その間も、とにかく窓の隙間に噛り付いて必死に叫んだ。
 と、馬車が大きく方向転換してカタカタと道から逸れて止められるようだ。やった、これで扉を開けてもらえれば助かる。

 安心して座席に座り、大きくため息をこぼした。扉の鍵を開けようとするガチャガチャという音。この音がものすごくじれったく聞こえる。早く開けて!

 不意に馬車が変な方向に大きくガクンと揺れたかに感じた。
 なんだろ、嫌な予感が……
 よくよく状態を確認してみると、ものすごくスピードを出して走っているような気配。

 これって……もしかして、検問を強引に突破して逃げてるってことじゃないですかぁっ!

 馬車の揺れはどんどん激しく、時折バウンドしたりして非常に危険な感じがする。

 車輪が外れたりしたら、横転したままあの世行きだよね、たぶん。
 いやいや、あり得ないから。私まだ死にたくないからさ、勘弁してくれや。
 ガッコンガッコンいわせながら激しく動く馬車の中で、どっか掴まるとこないかと見回すが、あいにく床に座って座席に掴まるのが一番だとの結論がでる。

 なんて言ってるうちに左右の揺れが一層激しくなってきた。これって車輪が外れかかってるサインだよね……いろんな方向に振られ始め、ガサガサと葉っぱや枝に当たる音。こ、これは最早、馬を制御している方がいらっしゃらない、ということでよろしいのでしょうか?
 あまりの怖さに声もでない。顔を引きつらせながら、ギュッと目を瞑った。

 次の瞬間、ひと際大きくバウンドして、着地した時に馬車の箱部分、つまり私が乗っている部分が崩壊した。岩に当たって大きく左に逸れ、木に叩きつけられてやっと止まったようだ。

 私は、というと、叩きつけられる瞬間も、大量のクッションが緩衝材として役立ったらしく、打ち身くらいでなんとかすんだらしい。
 首がアッチコッチに振られて半分気を失ってたのも、衝撃を上手く流す手助けになったようだ。

 実はこの時点で私の意識はなく、気がついたのが、検問を設置した村、というか詰所みたいなところの救護室だった。

「お気がつかれましたか?」

 ん?   気づいたけど、誰だい、この渋メンは?

 顔中にハテナマークを貼り付けていると、クスッと笑いながら自己紹介してくれた。

「私はこちらの東方一帯を管理、統制しております、第三騎士団長のノリスと申します。テイラード伯爵のお嬢様とお見受けしましたが、間違いありませんか?」
「は、はい、ニコル・テイラードと申します。お助けいただきありがとうございます。アルベリアに入る前に救助してもらい、本当に感謝してます」
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