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第2章
43話
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「ロ……ンダー……ド……くっ」
「ん? 貴様、私を知っているのか?」
ロンダードは私の手首を握ると顎をグイッと持ち上げ、顔を舐めるように見つめる。香炉の作用のためか、必死で抵抗してるにも関わらず、体も口も思うように動かない。
「お前、どこかで会った……あっ、あの夜会の男か? ほお、女が化けていたとはなぁ。実にいたぶりがいがありそうだ。ガハハハ」
嗜虐的な笑みを浮かべ、ヨダレを垂らさんばかりに顔を近づけてくる。うぅ……気持ち悪い。脂ぎったその顔、頼むから一回洗ってくれ。
嫌がって顔を背けた先にもう一人の仮面の男。あれ、私この人とも会ってる気がする。
髪の色……声……穴が開くくらい凝視していたら、向こうもこちらをじっくりと眺め始めた。そしてポンッと手を打つと私の肩に手をかけて三日月のような口の形に冷たい笑みを浮かべた。
「おお、このお嬢さんは。確かニコルさんでしたか。やはり運命ですかね。今度こそ私の側にずっと居てくれますかねぇ、ふっふっふ」
この感じはそうだ、アルベリアの使者だっ!
なんで? 会談や訪問は一昨日終わって帰国したって聞いてたのに。
なんで未だにこっちの国にいるのよっ。
「な……んでまだ、こっ、の国……うっ」
「おやおや、私を覚えてくださってますね。しかも使者としての動きまで把握してるなんて。あなた、王族に近い方ですかな?」
え、ヤバい。私、変に印象づけちゃったのかしら。ヤダ、アルベリアまで連れて行かれたりしたら……
使者は、私の頭をゆっくりと撫で付け、そのひと房を掬い上げると、丁寧にキスを落とす。
やってることは非常に優雅なのだが、やってる人間が最低なヤツなので、気味が悪過ぎて吐き気が込み上げてくる。
左側にはロンダード、右側にはアルベリアの使者、どっちに転んでも最悪な状況しか考えられない。絶望的な感情が頭を支配し、感覚が麻痺し始める。
呆然と宙を見つめていると、私を見ていたアルベリアの使者が一言呟いた。
「……第三王子」
思わずピクンと反応してしまった。ヤツの目に次第に焦点を合わせていくと、向こうは小さく「やはり、だな」と笑ってる。
ひとしきり嫌味な笑いが収まると、アルベリアの使者が香炉の男に話す声が耳に届いた。
「今回は全員買い取ります。ひとりはこちらの仮面の方へ差し上げてください。残りはアルベリアのいつもの場所へ。こちらのお嬢さんは特別です。別ルートで厳重な警備を付けて、私の家に直接届けて下さいね。その代わり他の娘たちより多く、二倍の値段出しましょう」
「ああ、残念ですなぁ。私もこの娘を玩具にして遊びたかったのですが。まあ、今回はお譲りしますよ、私も別の娘をいただいたことですしな。ガハハ」
ああ、私売られるんだ。行き先はアルベリアかぁ。あの使者に毎日、撫で回されて遊ばれるんだろうなぁ。薬漬けにされて使者の膝の上に座っている自分を想像して、不意に身震いが起きてくる。
感情の抜け落ちた顔になってるが、涙は別の機能になってるらしい。
ひと筋流れでると、次から次へと溢れでて止まらない。
アルベリアの使者が私に近づいてきて、耳打ちする。ロンダードからは死角になってるようで、向こうは気づいてないようだ。
「あなたにはかなりの利用価値があると判断しました。利用しつくした後には、私の愛人として一生愛でて差し上げますからね」
ジェイク……助けて。早く私を見つけてよ。
私このままアルベリアに売られたら、一生ジェイクに会えない気がする。
彼の笑ってる顔を思い浮かべると、少し救われた気持ちになる。
目を閉じてジェイクのことだけを考えることにした。そして現実から逃げるように深い眠りへと落ちていった。
「ん? 貴様、私を知っているのか?」
ロンダードは私の手首を握ると顎をグイッと持ち上げ、顔を舐めるように見つめる。香炉の作用のためか、必死で抵抗してるにも関わらず、体も口も思うように動かない。
「お前、どこかで会った……あっ、あの夜会の男か? ほお、女が化けていたとはなぁ。実にいたぶりがいがありそうだ。ガハハハ」
嗜虐的な笑みを浮かべ、ヨダレを垂らさんばかりに顔を近づけてくる。うぅ……気持ち悪い。脂ぎったその顔、頼むから一回洗ってくれ。
嫌がって顔を背けた先にもう一人の仮面の男。あれ、私この人とも会ってる気がする。
髪の色……声……穴が開くくらい凝視していたら、向こうもこちらをじっくりと眺め始めた。そしてポンッと手を打つと私の肩に手をかけて三日月のような口の形に冷たい笑みを浮かべた。
「おお、このお嬢さんは。確かニコルさんでしたか。やはり運命ですかね。今度こそ私の側にずっと居てくれますかねぇ、ふっふっふ」
この感じはそうだ、アルベリアの使者だっ!
なんで? 会談や訪問は一昨日終わって帰国したって聞いてたのに。
なんで未だにこっちの国にいるのよっ。
「な……んでまだ、こっ、の国……うっ」
「おやおや、私を覚えてくださってますね。しかも使者としての動きまで把握してるなんて。あなた、王族に近い方ですかな?」
え、ヤバい。私、変に印象づけちゃったのかしら。ヤダ、アルベリアまで連れて行かれたりしたら……
使者は、私の頭をゆっくりと撫で付け、そのひと房を掬い上げると、丁寧にキスを落とす。
やってることは非常に優雅なのだが、やってる人間が最低なヤツなので、気味が悪過ぎて吐き気が込み上げてくる。
左側にはロンダード、右側にはアルベリアの使者、どっちに転んでも最悪な状況しか考えられない。絶望的な感情が頭を支配し、感覚が麻痺し始める。
呆然と宙を見つめていると、私を見ていたアルベリアの使者が一言呟いた。
「……第三王子」
思わずピクンと反応してしまった。ヤツの目に次第に焦点を合わせていくと、向こうは小さく「やはり、だな」と笑ってる。
ひとしきり嫌味な笑いが収まると、アルベリアの使者が香炉の男に話す声が耳に届いた。
「今回は全員買い取ります。ひとりはこちらの仮面の方へ差し上げてください。残りはアルベリアのいつもの場所へ。こちらのお嬢さんは特別です。別ルートで厳重な警備を付けて、私の家に直接届けて下さいね。その代わり他の娘たちより多く、二倍の値段出しましょう」
「ああ、残念ですなぁ。私もこの娘を玩具にして遊びたかったのですが。まあ、今回はお譲りしますよ、私も別の娘をいただいたことですしな。ガハハ」
ああ、私売られるんだ。行き先はアルベリアかぁ。あの使者に毎日、撫で回されて遊ばれるんだろうなぁ。薬漬けにされて使者の膝の上に座っている自分を想像して、不意に身震いが起きてくる。
感情の抜け落ちた顔になってるが、涙は別の機能になってるらしい。
ひと筋流れでると、次から次へと溢れでて止まらない。
アルベリアの使者が私に近づいてきて、耳打ちする。ロンダードからは死角になってるようで、向こうは気づいてないようだ。
「あなたにはかなりの利用価値があると判断しました。利用しつくした後には、私の愛人として一生愛でて差し上げますからね」
ジェイク……助けて。早く私を見つけてよ。
私このままアルベリアに売られたら、一生ジェイクに会えない気がする。
彼の笑ってる顔を思い浮かべると、少し救われた気持ちになる。
目を閉じてジェイクのことだけを考えることにした。そして現実から逃げるように深い眠りへと落ちていった。
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