第三王子のお守り騎士団

しろっくま

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第2章

47(最終)話

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「おう、久しぶりの我が家!」

 やっと帰ってきた家には相変わらず頭皮が見え隠れしているお父様と、年齢不詳の美魔女なお母様が揃っていた。
 ニコラスはお仕事かな?     戻ったら話をしよう。散々心配かけたし迷惑かけちゃってたもんね。

 両親揃ってるのをいい機会と思って、ノリス団長のことを聞いてみた。

「おお、ノリス伯か。ニコル、お前失礼がなかっただろうな。あの方は昔から男も惚れるくらい紳士だったよ。素敵だったろ?」
「私、お母様がノリス団長を振ってお父様に嫁いだって聞きましたけど?」
「ふふっ、そうよ~。あの方よりダーリンの方がよかったからねぇ」

 艶っぽい視線をお父様に向けて投げキスをする。それを見たお父様は多少のけ反り、体勢を立て直すとゲホンと咳払いする。

「あんな渋メン、久しぶりに見たわ。お母様も罪作りよね、未だに独身らしいわよ?」
「あら、そうなの?    まあ私よりいい女なんてこの世にそんなに居ませんからねぇ」
「こっわ……誰もお母様には敵わないんでしょうね」
「そんなの当たり前でしょ。私は魔法使いなんだから。虜になったら誰も抵抗なんてできないのよ」

 お母様はお父様を立ち上がらせ、ポンと背中を押して部屋へと下がらせる。あらあら、嬉し恥ずかし、夫婦の時間ですか。ご馳走さま。

 私も立ち上がって部屋へ移動しようとしたら、お母様がそっと耳打ちしてきた。

「ノリス様は将来出世される方だったから、私の計画には合わなかったのよ。私にはダーリンの出世欲の無さが必要だったの。ダーリンこそが私には最高の伴侶だわ~」

 ゾクッとした。
 お母様……お父様と同様に、やっぱり私もあなたの計画の一部ですかぁ?
 鳥肌をたてながら、恐る恐るギギギと首をお母様の方に向けると、既に彼女の姿は消えていた。
 ……魔女や……絶対あの人魔女や……

 これからも決してお母様の全容には深く触れないでおこう、と心に決めて自分の部屋の扉をキッチリと閉めた。
 何でかって?     魔女に取り込まれないようにでしょっ!    って私のお母様なんだけどね。


 次の日、騎士団に行こうかな、と考えていたら、ジェイクが早々にお迎えに来てくれた。

「しばらくの間、お前と一緒に騎士団に行くのも楽しいかなと思ってな」

 頬を掻きながら斜めを見るジェイクが可愛いくてしょうがない。
 攫われたことに責任感じてくれてるのかな?     心配だとは口にせずに行動してくれてるあたりがすごく嬉しい。

 アルベリアの使者の件は公式には国外にいることになっていたので、有耶無耶で終わってしまった。
 ロンダードは女性誘拐と買春の容疑で逮捕、爵位剥奪となり、私と一緒に攫われた子たちは、すんでのところで救われた、ということだった。
 香炉の男は残念ながらすぐに逮捕はできなかったようだ。引き続き調査するようなので、捕まるのも時間の問題だろう、とジェイクから教えてもらった。

 よかった。金髪好きの変態野郎のおかげでとんでもない目にあった子たちだったからね。これからは安心して元の暮らしに戻れるだろう。

 騎士団の執務室に着いて、軽く書類を仕分ける作業をした。ふと、お茶を淹れようと思い、席を立ち上がろうとした時、ジェイクから声がかかる。

「スレイに書類渡してくるから少し待ってろ」

 あら、せっかく淹れようとしたお茶が冷めちゃうのも勿体ないし、後から淹れるかな。その間、何してようか。
 執務室の棚やら書類を追加で整理し終わった後、ジェイクがいつも座ってる団長用の椅子に腰かけてみた。

 へえ、団長の机からの眺めってこんななんだぁ。机に肩頬をつけて目を瞑ると、いつもの仕事をしている彼の姿が見えてくる。
 ニヘラっと笑ってるうちに、ついウトウトと眠ってしまったらしい。

 肩を揺すぶられて、ようやく意識が浮上してくる。ムックリと起き上がって、だらしのない笑顔で応対した。

「こんなとこでうたた寝してたら体が痛くなるだろ?    全く世話のかかる……」

 少しだけ困った顔をしながらも、その手には膝掛けが握られている。そんなちょっとした気遣いが嬉しくって、とても幸せな気分になる。

 私はくすっと笑って両手を広げて伸ばし、彼に向かってこう言ってみた。

「ようこそ、第三王子がお守りしてくれる騎士団へ。これからも、私のお守り、しっかりとお願いしますね、ジェイク」



『第三王子のお守り騎士団』  第二章 完




**最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。いつか続編ができましたら、その時はまたお付き合いいただければ幸いです**
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