3 / 3
出会い
無気力少女
しおりを挟む
「あ、大丈夫大丈夫。気にしないで」
唖然としている俺を差し置いて、目の前の謎の少女は言う。
「あれ、あ、ここ…六枚目っ!?」
目の前の少女は何を言っているんだ。少しだけ落ち着いた俺にはそれを考えるほどに正気が戻ってきた。
「六枚目って、一体なんだ…?てかお前は…?」
案外スラスラ出てくる言葉に驚きつつ、返答を待つ。すると少女は、あっ、と思い出した顔で言った。
「その前に、まずは名乗ってから。
自分の名前は露月 紫苑。紫苑って呼んでねー。純血の吸血鬼及び日本人。人じゃないってツッコミには反応しませーん」
「きゅ、吸血鬼…!?」
既におかしなことが起こっているせいか、驚き過ぎてひっくり返るなんてことは無いが、やはり言葉は失ってしまうもの。日本で一般的に知られる類の生物でまだ理解が早く助かった。
「あ、俺は崎野 慎夜。それで、六枚目って…?」
紫苑は、面倒臭そうに首を回して、地面にぺたりと座り込んで話し始めた。
「まず、この世界には違う惑星が存在するとか、次元が違うところに存在するとか、そういうのじゃないんだよね。同じ世界に色々な生物が生きている世界がある。一枚目の世界にいれば他の世界は見えないし、二枚目の世界にいれば他の世界はもちろん見えない。一枚目には私達人型の生物。二枚目には動物型の生物。三枚目と四枚目は何もなくて、五枚目は獣人。いずれも住んでる者は魔力があるね。六枚目は人間。魔力がない永遠のワーストナンバーワンだね。」
眠そうに話す紫苑の瞼は、今にも落ちそうだ。
「つまり、同じ時に同じ場所にいても他の枚数にいれば認識出来ない、ってこと?」
そういうことだよ。なんて言った紫苑は、勢いよく立ち上がった。そのまま羽を広げて、紫色の魔法陣のようなものを手から出した。
「そして、一番の重要事項。ほかの枚数の世界に行っても魔法の力は変わらない。つまり、魔力を使える者がいない六枚目に、魔力が使える一、二、五枚目の者が大量に来てしまえば、この六枚目は滅びるってことだ。自分は三枚目に誰かが無断で住み着いていないか点検しようと思ったら間違えて六枚目に来てしまったって感じだね。あと補足。一枚目の中でも一番の地位は吸血鬼。自分はそこの王様の娘。すごい偉いんだよ」
驚いた。驚きすぎたのと同時に、ドヤ顔でいう紫苑に無性にイラつきを覚えた。
「まぁでも、六枚目にも魔力を持った者が入り込んでないか、ついでに見てみようかな…。ねぇ、崎野慎夜さん。良かったら力を貸してくれない?」
今度は何を言っているんだこいつは。
先程言われた通り、魔力がないんだから自分ができることなんてないのではないか。
「大丈夫大丈夫血をくれるだけでいいからさ!」
…は。
唖然としている俺を差し置いて、目の前の謎の少女は言う。
「あれ、あ、ここ…六枚目っ!?」
目の前の少女は何を言っているんだ。少しだけ落ち着いた俺にはそれを考えるほどに正気が戻ってきた。
「六枚目って、一体なんだ…?てかお前は…?」
案外スラスラ出てくる言葉に驚きつつ、返答を待つ。すると少女は、あっ、と思い出した顔で言った。
「その前に、まずは名乗ってから。
自分の名前は露月 紫苑。紫苑って呼んでねー。純血の吸血鬼及び日本人。人じゃないってツッコミには反応しませーん」
「きゅ、吸血鬼…!?」
既におかしなことが起こっているせいか、驚き過ぎてひっくり返るなんてことは無いが、やはり言葉は失ってしまうもの。日本で一般的に知られる類の生物でまだ理解が早く助かった。
「あ、俺は崎野 慎夜。それで、六枚目って…?」
紫苑は、面倒臭そうに首を回して、地面にぺたりと座り込んで話し始めた。
「まず、この世界には違う惑星が存在するとか、次元が違うところに存在するとか、そういうのじゃないんだよね。同じ世界に色々な生物が生きている世界がある。一枚目の世界にいれば他の世界は見えないし、二枚目の世界にいれば他の世界はもちろん見えない。一枚目には私達人型の生物。二枚目には動物型の生物。三枚目と四枚目は何もなくて、五枚目は獣人。いずれも住んでる者は魔力があるね。六枚目は人間。魔力がない永遠のワーストナンバーワンだね。」
眠そうに話す紫苑の瞼は、今にも落ちそうだ。
「つまり、同じ時に同じ場所にいても他の枚数にいれば認識出来ない、ってこと?」
そういうことだよ。なんて言った紫苑は、勢いよく立ち上がった。そのまま羽を広げて、紫色の魔法陣のようなものを手から出した。
「そして、一番の重要事項。ほかの枚数の世界に行っても魔法の力は変わらない。つまり、魔力を使える者がいない六枚目に、魔力が使える一、二、五枚目の者が大量に来てしまえば、この六枚目は滅びるってことだ。自分は三枚目に誰かが無断で住み着いていないか点検しようと思ったら間違えて六枚目に来てしまったって感じだね。あと補足。一枚目の中でも一番の地位は吸血鬼。自分はそこの王様の娘。すごい偉いんだよ」
驚いた。驚きすぎたのと同時に、ドヤ顔でいう紫苑に無性にイラつきを覚えた。
「まぁでも、六枚目にも魔力を持った者が入り込んでないか、ついでに見てみようかな…。ねぇ、崎野慎夜さん。良かったら力を貸してくれない?」
今度は何を言っているんだこいつは。
先程言われた通り、魔力がないんだから自分ができることなんてないのではないか。
「大丈夫大丈夫血をくれるだけでいいからさ!」
…は。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる