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31〈現在・エニシ視点〉

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 心地よい眠りは久しぶりだった。
 血の補給のあと、孤を抱きしめ、孤から抱きしめられて、瞼を閉じた。
 なのに、夢の世界にいたのは、古い友人だった。
 天然パーマの銀髪だ。長い前髪が、少年の両目を隠している。
 昔は同じ背丈だった彼が小さい。感慨もなく、自分が成長したのだと思い直した。
「エニシは変わらないな」
 今はもういない友人が笑う。
「相変わらず、独りよがりだ」
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