秘伝賜ります

紫南

文字の大きさ
442 / 463
第七章 秘伝と任されたもの

442 褒め過ぎ注意

しおりを挟む
舞台袖に戻ってくると、優希の腰の辺りに『2-3』と統二達の組のフダが付けられる。

「ああっ。人気投票は間違いなくもらったわ!」
「すごく良かったよ! ユウキちゃん!」
「女優ね! ううんっ、プロのキッズモデルさんね!」

女生徒達が優希に集っていく。興奮は最高潮のようだ。

「優希ちゃん……本当に怖くないのかな……」

統二が心配そうに遠巻きで見ているが、高耶は余裕だ。

「統二、よく見てみろ。あの褒め方。家でも見るだろ」
「……あ……樹さんと美咲さんにそっくり……」
「だろ」
「あははっ。確かにっ! あんな感じじゃんっ」
「樹さんは褒めて伸ばすタイプらしい。自覚ないみたいではあるが……母さんは普通に優希に魅了されてる。女の子嬉しいらしいから」
「「なるほど」」

ごく自然にこうなったというわけだ。

「あまり最初から褒めるばかりだと、過信するようになるし、失敗しても怒らないから怖いもの知らずになるからどうかと思うんだけどな……」
「それ分かるっ。うちの従兄弟のとこの子がそれだ! 褒めて伸ばすってやってたら、あそこのチビ、やたらと出来てねえのに出来た感出してドヤ顔すんの。まだ小さいから良いけど、あのままだと厄介だぜ」

出来ていなくても褒められるものだから、本当に出来たというのが分からないのかもしれない。ここに、平等にという精神が入ってくると、競争や見比べての優劣が付かないので、何事でも完成度や熟練度が低くなりそうだ。理想とする完成度を突き詰めることが出来なくなるかもしれない。

「まあ、優希は理想とするものが自分にあって、褒められても納得出来なかったら自分で突き詰めていくからいいんだけどな」
「そうですね……見本というか、目標になる先生達が周りに沢山いますしね」

習い事が増え、他人に評価されるということも知った。学校ではない専門的な知識を持つ人の下での学習は、そうした過信もしっかりと否定してくれる。もちろん、中にはそうした所でも褒めて伸ばすを取り入れている所もあるようだが、元々が高い理想を持った専門の人達なので、過信させるということまではいかないようだ。それで良い。

「俺、最近のちびっ子達の習い事漬けの感じ、良くないと思ってたけど、コレは出来てコレは出来ないってのが知れるならいいかもな。寧ろ、いくつか掛け持ちしねえと、それを分からないのかも」
「それはありそうですね。一つのことを極めるというのは、気概があればいつからでも出来ますから、親は大変でしょうが、学校や仕事に縛られない時間がある小学生の頃に色々と経験させるのは良いのかもしれません」
「叱れる教師の立場が弱い時代だしな~」

そんな話をしている内に、キッズモデル達のショーは終了。結果発表は大人の部門が終わってからだ。

「え? これ、このまま、きてていいの?」

優希は服が気に入ったのか、嬉しそうに聞いていた。

「うんうんっ! 他の子達も着たままだと思うよ。そのまま着て帰っても良いの。これがモデル代みたいなものだからね!」
「モデルだい……あ、おきゅうりょう?」
「そうっ! モデルのお仕事代ね。お兄さんの服も渡すから、是非二人で着てね!」
「うん! こんどのおでかけのときに、きるね!」
「そうして! あ、写真! 写真撮らせて!」
「うん! お兄ちゃんも!」
「「「「「是非!!」」」」」

次の部門への切り替えと審査中のため、余裕がある。そこかしこで写真撮影がなされていた。

そして、次の準備が始まる。

「さあっ! お兄さん! 着替えましょう!!」
「……ああ……」

高耶を目を爛々と輝かせた女生徒達が取り囲む。そのまま連行されるように着替えを急かされたのだ。








**********
読んでくださりありがとうございます◎


しおりを挟む
感想 675

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する

影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。 ※残酷な描写は予告なく出てきます。 ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。 ※106話完結。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

処理中です...