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第七章 秘伝と任されたもの
443 事例はなく
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着替え終わって、興奮する女生徒達が髪型のセットをし出しても、高耶は特に嫌がりもしないし、引きもしない。
体育館に近い空き教室が控え室兼、更衣室になっている。そのため、クラスの者全員ではなく、これに関わる数人だけなのだが、それでも賑やかだ。
準備が終わってもヒートアップし続ける女生徒達を落ち着けようと、俊哉が間に入って宥め、女生徒達を離した。
それは、高耶の様子が気になったからということもある。
「どうしたん?」
「ん……ああ……優希」
少し上の空という様子で高耶は優希を呼ぶ。
「なあに?」
「さっき、何か聞いたか……?」
「うん! おとなに? なるって!」
「……そのようだな……」
「ん?」
俊哉には意味がわからないようだ。しかし、察したらしい統二が慌てて廊下に出て行く。そして、すぐに戻りながら、ぐっと何か出そうな叫びを抑えるために自分で口を塞ぐのを見て、俊哉は首を傾げて見せる。統二は顔色も悪かった。
「統二? どうしたん?」
「っ、しゅっ、俊哉さん……は、視えます? 土地神さまを……」
「ああ。なんかあった……?」
そう言ってから、俊哉もゆったりとした足取りで外が見える場所まで行って、駆け戻ってきた。完全に血相を変えている。
「なっ、なんっ……っ」
なんだあれと言いたかったようだが、他の参加者達も居るので、声の大きさを制御し、喉を詰まらせる。
因みに、この空き教室だけでは即席のフィッティングルームが足りないので、学年ごとで部屋は分かれており、左右の空き教室も使っている。人は多くないが、それでも数人の生徒が不思議そうに部屋を出入りする俊哉を見ていた。
ツカツカと早歩きで高耶の側まで来て、俊哉は椅子に腰掛けた。
俊哉は最近、視えたものに滅多に目を合わせないように誤魔化すことに慣れていた。だから、土地神の姿も、視えていても、視えないふりをしていたため、その変化に気付かなかったのだ。
「さ、サナギ……?」
「って事ですよね……イモムシとか幼虫がサナギになるのは自然なことですしね。うん」
統二は自分を無理やり納得させにかかっていた。
「た、高耶っ、い、いつから……あれ、やばいの?」
「やばくは……ないと思うんだが……いきなり力が濃縮されたから驚いたというか……」
「……溜め込んでる感じ?」
「ああ……」
注意深く高耶は感じ取っていたのだ。突然、神気が膨れ上がるのを感じれば、驚いて注目するのは当たり前だ。
「はあ……まあ、危なかったら高耶もこんな所で座ってないよな……」
「ですよね……」
「だいじょうぶだよ?」
「「……」」
優希の様子が一番安心できた。
「大人になるって、アレか? 成虫になる的な?」
「そういうことでしょうか……見た目的に……」
サナギになったのなら、そういうことなのだろうと予想できた。
「とはいえ……デカいのも怖いよな……ほら、あったじゃん。怪獣の……」
「あ、はい……おっきな建物に糸吐いてマユになるやつですよね……」
「マユになるならまだ……こう、丸い大きいの的な感じで見てられるんだけどさ」
「……モロにサナギっぽかったですもんね……」
「デカいのはやっぱ……ちょっと……」
「細部まで観察できそうですけど、あの大きさはちょっと……」
大きさが受け入れられなかったらしい。
「え~、カッコいいよ? こいちゃいろ? でね! ひかってた!」
「「うん。それがもうダメかな……」」
「……」
小さな時から嫌悪感を植え付けられたあの虫を思い出させる色合いに、背筋が震えていた。
「で? いつ出てくんの? ってか、出て来ていいもの?」
俊哉が身を乗り出すようにして高耶に確認する。
「……多分……? 本来の姿とかになる……んじゃないかと」
「分かんねえの!?」
「こういう事例は知らん……」
「あ~……そうかあっ」
これは仕方がない。高耶にだって知らないことはある。
「力が急激に取り込まれて、今調整中という感じがするんでな……まだ少しずつ力は膨らんでいるようだが……」
「……高耶、棄権しねえ?」
「兄さん、加減できる?」
「……俺が問題なのか?」
「そんな感じする」
「そんな予感がします」
「……努力する」
「「……」」
そんな不安をよそに、本命となるファッションショーが再開された。
倒れる者が出たというのは予想通りだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
体育館に近い空き教室が控え室兼、更衣室になっている。そのため、クラスの者全員ではなく、これに関わる数人だけなのだが、それでも賑やかだ。
準備が終わってもヒートアップし続ける女生徒達を落ち着けようと、俊哉が間に入って宥め、女生徒達を離した。
それは、高耶の様子が気になったからということもある。
「どうしたん?」
「ん……ああ……優希」
少し上の空という様子で高耶は優希を呼ぶ。
「なあに?」
「さっき、何か聞いたか……?」
「うん! おとなに? なるって!」
「……そのようだな……」
「ん?」
俊哉には意味がわからないようだ。しかし、察したらしい統二が慌てて廊下に出て行く。そして、すぐに戻りながら、ぐっと何か出そうな叫びを抑えるために自分で口を塞ぐのを見て、俊哉は首を傾げて見せる。統二は顔色も悪かった。
「統二? どうしたん?」
「っ、しゅっ、俊哉さん……は、視えます? 土地神さまを……」
「ああ。なんかあった……?」
そう言ってから、俊哉もゆったりとした足取りで外が見える場所まで行って、駆け戻ってきた。完全に血相を変えている。
「なっ、なんっ……っ」
なんだあれと言いたかったようだが、他の参加者達も居るので、声の大きさを制御し、喉を詰まらせる。
因みに、この空き教室だけでは即席のフィッティングルームが足りないので、学年ごとで部屋は分かれており、左右の空き教室も使っている。人は多くないが、それでも数人の生徒が不思議そうに部屋を出入りする俊哉を見ていた。
ツカツカと早歩きで高耶の側まで来て、俊哉は椅子に腰掛けた。
俊哉は最近、視えたものに滅多に目を合わせないように誤魔化すことに慣れていた。だから、土地神の姿も、視えていても、視えないふりをしていたため、その変化に気付かなかったのだ。
「さ、サナギ……?」
「って事ですよね……イモムシとか幼虫がサナギになるのは自然なことですしね。うん」
統二は自分を無理やり納得させにかかっていた。
「た、高耶っ、い、いつから……あれ、やばいの?」
「やばくは……ないと思うんだが……いきなり力が濃縮されたから驚いたというか……」
「……溜め込んでる感じ?」
「ああ……」
注意深く高耶は感じ取っていたのだ。突然、神気が膨れ上がるのを感じれば、驚いて注目するのは当たり前だ。
「はあ……まあ、危なかったら高耶もこんな所で座ってないよな……」
「ですよね……」
「だいじょうぶだよ?」
「「……」」
優希の様子が一番安心できた。
「大人になるって、アレか? 成虫になる的な?」
「そういうことでしょうか……見た目的に……」
サナギになったのなら、そういうことなのだろうと予想できた。
「とはいえ……デカいのも怖いよな……ほら、あったじゃん。怪獣の……」
「あ、はい……おっきな建物に糸吐いてマユになるやつですよね……」
「マユになるならまだ……こう、丸い大きいの的な感じで見てられるんだけどさ」
「……モロにサナギっぽかったですもんね……」
「デカいのはやっぱ……ちょっと……」
「細部まで観察できそうですけど、あの大きさはちょっと……」
大きさが受け入れられなかったらしい。
「え~、カッコいいよ? こいちゃいろ? でね! ひかってた!」
「「うん。それがもうダメかな……」」
「……」
小さな時から嫌悪感を植え付けられたあの虫を思い出させる色合いに、背筋が震えていた。
「で? いつ出てくんの? ってか、出て来ていいもの?」
俊哉が身を乗り出すようにして高耶に確認する。
「……多分……? 本来の姿とかになる……んじゃないかと」
「分かんねえの!?」
「こういう事例は知らん……」
「あ~……そうかあっ」
これは仕方がない。高耶にだって知らないことはある。
「力が急激に取り込まれて、今調整中という感じがするんでな……まだ少しずつ力は膨らんでいるようだが……」
「……高耶、棄権しねえ?」
「兄さん、加減できる?」
「……俺が問題なのか?」
「そんな感じする」
「そんな予感がします」
「……努力する」
「「……」」
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(追記2018.07.02)
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(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
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(追記2018.07.26)
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