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第二章 秘伝の当主
068 過去視の依頼
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2018. 8. 22
**********
そもそも源龍自身、問題となっている鬼渡の者が、自分に似ていると聞いた時点で、すぐに確認しに行ったらしい。
類似のものは物でも人でも惹かれ合うというのが陰陽師の中での定説だ。いずれは関係を持つことになるのならば、思わぬところで出くわして驚くよりも先に確認しようと考える。
不測の事態というのは、避けられるのならば避けるべきだ。今は特に鬼を相手にするかというところなのだから、注意しなくてはならない。
そうして、一目みて源龍も驚いた。本当に自分を女にしたならば、こんな姿になるだろうと思えるほど瓜二つだったのだから当たり前だ。
「あれほど私に似ているのです。妹か姉がいる線をこちらも探っておりました」
源龍は榊家の現当主ではあるが、本家の直系ではない。直系筋が絶えてしまったことで、急遽養子という形を取って迎えられた分家の子どもだ。
「私も父母の顔さえ分からぬほど幼い頃に本家に引き取られたので、知りませんでしたが……双子の妹がいたようなのです」
「ほぉ。『いたよう』かや? 曖昧よなぁ」
焔泉が源龍の真意を見極めようと目を細める。だが、源龍には隠すことはないというようにまっすぐに彼女を見つめ、逆に問い掛けた。
「はい。焔泉様ならばご存知でしょうか。榊の分家で火事があったことを」
「火事……」
焔泉は記憶を探る。けれど、彼女が思い当たるよりも先に、逹喜が声を上げた。
「二十年とちょいくらい前のやつかっ」
「恐らく……それが、私の生まれた日、生まれた屋敷であったらしいのです。その火事で、父母は亡くなり、多くの屋敷の者達も亡くなったらしく……何より、妙な火事であったと」
「おう。そうだ。最初に金か白の炎が上がったとか聞いたぞ。何か良くないものにでも触れたかと問題になった」
金か白。それは、浄化の焔だ。煙も立つことのない、邪のみを焼き尽くす特別な焔だ。先ず、力を持った者にしか見えない。
「おお。あの火事かや。じゃが、見たと言った者達は虚偽であったと後で認めたぇ?」
当時、浄化の焔が見えたと言って報告してきた者達は、しばらくして自身の力を誇示したかったためにそう口にしたのだと告白したらしい。
その後、すぐに本物の炎が起こり、たちまち屋敷を飲み込んでしまったこともあり、ただの見間違いだったのだろうと片付けられたらしい。
しかし、どうやら違ったのだ。
「浄化の焔を誤魔化すために火を放った可能性があります」
「……面白い話やな。もしやそこで?」
「はい……これはあくまで推測です。私の方でもあまり当時の状況を調べることができませんでしたので……ですが、あり得るとすれば恐らく、何らかの儀式のために……生まれた妹を生贄にしたのではないかと。そこから鬼渡の資格を得た可能性も……」
何のためにそうしたかはわからない。けれど、あれほど似ている者が身内でないはずがない。何より、鑑定の結果がそれを示していた。
「調べてみる価値はありそうや……」
そう呟いた焔泉。謎を謎のままにしておくことはできない。それは陰陽師として許せないことだ。何にでも原因があるとわかっているからこそ、それを突き止めることが仕事だった。
そこに、妖が関わっているのならば、普通の人がどうこうできるものではないのだから。
そこで、焔泉はふと高耶の方へと目を向けた。すると、逹喜、源龍と続き、それから徐々に残りの者達の視線が全て高耶へ集まる。
「……っ」
ものすごい圧迫感があった。
きっと、逃げる道はない。そう理解した時、焔泉はにっこりと笑って手を打った。
「ほな。高耶はん。見てきておくれやす」
「……え……?」
「せやから、真実を見てきぃ言うことや。できますやろ?」
「……で……できます……」
そう。高耶にならば、任意の過去を見ることができる。しかし、現場となった場所は仮にも陰陽師の家のあった場所。不用意に見ることは本来できない。それは、礼儀の問題だ。
「ほな、頼みましたぇ」
「……はい……」
範囲や場所の問題もあるが、これは決定事項らしかった。
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そもそも源龍自身、問題となっている鬼渡の者が、自分に似ていると聞いた時点で、すぐに確認しに行ったらしい。
類似のものは物でも人でも惹かれ合うというのが陰陽師の中での定説だ。いずれは関係を持つことになるのならば、思わぬところで出くわして驚くよりも先に確認しようと考える。
不測の事態というのは、避けられるのならば避けるべきだ。今は特に鬼を相手にするかというところなのだから、注意しなくてはならない。
そうして、一目みて源龍も驚いた。本当に自分を女にしたならば、こんな姿になるだろうと思えるほど瓜二つだったのだから当たり前だ。
「あれほど私に似ているのです。妹か姉がいる線をこちらも探っておりました」
源龍は榊家の現当主ではあるが、本家の直系ではない。直系筋が絶えてしまったことで、急遽養子という形を取って迎えられた分家の子どもだ。
「私も父母の顔さえ分からぬほど幼い頃に本家に引き取られたので、知りませんでしたが……双子の妹がいたようなのです」
「ほぉ。『いたよう』かや? 曖昧よなぁ」
焔泉が源龍の真意を見極めようと目を細める。だが、源龍には隠すことはないというようにまっすぐに彼女を見つめ、逆に問い掛けた。
「はい。焔泉様ならばご存知でしょうか。榊の分家で火事があったことを」
「火事……」
焔泉は記憶を探る。けれど、彼女が思い当たるよりも先に、逹喜が声を上げた。
「二十年とちょいくらい前のやつかっ」
「恐らく……それが、私の生まれた日、生まれた屋敷であったらしいのです。その火事で、父母は亡くなり、多くの屋敷の者達も亡くなったらしく……何より、妙な火事であったと」
「おう。そうだ。最初に金か白の炎が上がったとか聞いたぞ。何か良くないものにでも触れたかと問題になった」
金か白。それは、浄化の焔だ。煙も立つことのない、邪のみを焼き尽くす特別な焔だ。先ず、力を持った者にしか見えない。
「おお。あの火事かや。じゃが、見たと言った者達は虚偽であったと後で認めたぇ?」
当時、浄化の焔が見えたと言って報告してきた者達は、しばらくして自身の力を誇示したかったためにそう口にしたのだと告白したらしい。
その後、すぐに本物の炎が起こり、たちまち屋敷を飲み込んでしまったこともあり、ただの見間違いだったのだろうと片付けられたらしい。
しかし、どうやら違ったのだ。
「浄化の焔を誤魔化すために火を放った可能性があります」
「……面白い話やな。もしやそこで?」
「はい……これはあくまで推測です。私の方でもあまり当時の状況を調べることができませんでしたので……ですが、あり得るとすれば恐らく、何らかの儀式のために……生まれた妹を生贄にしたのではないかと。そこから鬼渡の資格を得た可能性も……」
何のためにそうしたかはわからない。けれど、あれほど似ている者が身内でないはずがない。何より、鑑定の結果がそれを示していた。
「調べてみる価値はありそうや……」
そう呟いた焔泉。謎を謎のままにしておくことはできない。それは陰陽師として許せないことだ。何にでも原因があるとわかっているからこそ、それを突き止めることが仕事だった。
そこに、妖が関わっているのならば、普通の人がどうこうできるものではないのだから。
そこで、焔泉はふと高耶の方へと目を向けた。すると、逹喜、源龍と続き、それから徐々に残りの者達の視線が全て高耶へ集まる。
「……っ」
ものすごい圧迫感があった。
きっと、逃げる道はない。そう理解した時、焔泉はにっこりと笑って手を打った。
「ほな。高耶はん。見てきておくれやす」
「……え……?」
「せやから、真実を見てきぃ言うことや。できますやろ?」
「……で……できます……」
そう。高耶にならば、任意の過去を見ることができる。しかし、現場となった場所は仮にも陰陽師の家のあった場所。不用意に見ることは本来できない。それは、礼儀の問題だ。
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