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第三章 秘伝の弟子
096 こいつは何気に……
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2019. 2. 24
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高耶は次の日、午前中だけでもと大学の講義を受けていた。
次の講義が始まるまでの時間。隣には当たり前のように俊哉がいた。
「今日もあの学校行くんだろう?」
俊哉は完全に面白がっている。
「仕事が終わる時間による」
「妹ちゃんの迎えは?」
「ちゃんと他のが行くから問題ない。寧ろ、俺より他の子のお母さん達にも大人気で、そのお母さん達と一緒に夕食の買い物までする仲だ」
土地神の許可も得た今、珀豪も何かあれば校内に入ることもできる。大変心強い。
「へえ、それはまた家庭的なお姉さんがいるもんだな」
「いや、俺よりちょい上の男って感じだぞ」
「は? お姉さんじゃねぇの? ハーレムじゃないのか?」
「なんだそれ……」
また俊哉の中で陰陽師の式神というものの認識が進化を遂げたらしい。
「だってさあ、あの校長センセイも言ってたんだよ。男の陰陽師の式神は、どうしても女性型が多くなるんだって」
「あ~……確かに……純粋に力押しのスタイルだと、大体男の姿を取るんだがな」
例えば達喜。彼は力を求めていた。そのため、式神は男型が多い。
他にも理由はある。
「後はあれだ。趣味は悪いが、女型の方が従えてるって気になるだろ。いくら誓約が成って、主人を害さないとはいっても、屈強な男の式神が何かの拍子に裏切りはしないかって不安になるらしいんだよ」
「な~るほど。けど高耶は?」
「俺のところは最初から半々。何事もバランスってのは大事だ」
「そんなこと、昨日も言ってたな」
逆に術者が女性の場合、男型が多いのかと言われればそうではない。
寧ろ、女性の方が女型ばかりになる傾向がある。これも理由は同じで、もしもを考えた時に男型だと対処できないかもしれないというものからだ。
因みに焔泉も高耶と同じく半々だ。稀なケースといえる。
「となると、高耶は自分の力にも自信があるってことか? それとも、絶対裏切らないって思ってたってことか?」
意外と鋭い。良いところを突いてくる。
「俺の場合は……『どっちでも良かった』ってのが本音かもな……誓約するってなった頃は、修行で手一杯で、自分のことしか考えられんくて、それをあいつらが見兼ねたって感じだ」
式神とか、はっきり言ってどうでも良かった。だが、当主としての力を得るには、それが必要だったのだ。
もっと言ってしまえば、遊び半分の軽い気持ちだった。充雪に言われて召喚することになったが、何が出るかお楽しみ的な、ガチャ感覚だった。
修行の合間の息抜きだ。その当時は、まだ小学生だった。本当に軽い気持ちだったのだ。だから、式神の四神は『コレ!』という考えがなかった。
お陰で西洋のものまで混じる始末だ。
「あれか。無欲の勝利ってやつ」
「……かもな……」
言えない。散々『お前のせいで』と言ってきたが、半分は『ガチャ感覚だった』なんて。
「何が出るか分からんとか、ガチャみたいだなあ」
「っ……」
たまにこいつは能力者なんじゃないかと思う。
「俺さあ、今日も暇だし、ついでにじいちゃん所寄るから、妹ちゃんのお迎えの時間に行こっかな~って」
「……」
「だからさぁっ。キショウさんを呼んでくんないっ?」
「……そっちが本音だろ……」
すごい奴かもしれないと思った途端にこれだ。だから俊哉はいつまでも困ったやつなのだ。
「今日は統二も行くって言ってたから、迎えはこれ以上いらん」
「トウジって誰だ? また式神?」
「いや、本家筋でな……従兄弟ってことになってる。今、同居してる高校生だ」
統二は、昨日行けなかったことが悔しかったらしい。
『明日は早く終わるんだ。だから、僕が高耶兄さんの代わりに珀豪さんと迎えに行くね』
高耶ではなく、優希に了承を取っていた。優希に言われれば高耶が反対出来ないことを、たった一日で理解したらしい。本当に頭が良いやつは、要領も良いのだ。
優希が思いの外懐いてしまったので、仕方がない。だから、せめてもの意趣返しとして、ちゃんと神に挨拶をすることと言ってやったのだが、なぜか感動された。
『高耶兄さんっ……はい! しっかりやってみせます!』
弱った神に声を届け、その声を聴くのは意外と難しい。だが、統二の陰陽師としての力は確かだ。不可能ではないだろう。とはいえ、難しいのは変わらない。
難題であるはずのことも、高耶が言うならと前向きな統二だ。珀豪がついているので、まず大丈夫だろう。
「なんか高耶の従兄弟なら頭良さそうだな」
「そのイメージってどうなんだ? あいつの兄と父は、結構な武術バカだぞ?」
「なら余計だろ。そういうのを見てってタイプがいそうだ」
「……」
なぜだろう。本当にこいつは何らかの能力を持っていそうだと改めて思った。
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読んでくださりありがとうございます◎
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高耶は次の日、午前中だけでもと大学の講義を受けていた。
次の講義が始まるまでの時間。隣には当たり前のように俊哉がいた。
「今日もあの学校行くんだろう?」
俊哉は完全に面白がっている。
「仕事が終わる時間による」
「妹ちゃんの迎えは?」
「ちゃんと他のが行くから問題ない。寧ろ、俺より他の子のお母さん達にも大人気で、そのお母さん達と一緒に夕食の買い物までする仲だ」
土地神の許可も得た今、珀豪も何かあれば校内に入ることもできる。大変心強い。
「へえ、それはまた家庭的なお姉さんがいるもんだな」
「いや、俺よりちょい上の男って感じだぞ」
「は? お姉さんじゃねぇの? ハーレムじゃないのか?」
「なんだそれ……」
また俊哉の中で陰陽師の式神というものの認識が進化を遂げたらしい。
「だってさあ、あの校長センセイも言ってたんだよ。男の陰陽師の式神は、どうしても女性型が多くなるんだって」
「あ~……確かに……純粋に力押しのスタイルだと、大体男の姿を取るんだがな」
例えば達喜。彼は力を求めていた。そのため、式神は男型が多い。
他にも理由はある。
「後はあれだ。趣味は悪いが、女型の方が従えてるって気になるだろ。いくら誓約が成って、主人を害さないとはいっても、屈強な男の式神が何かの拍子に裏切りはしないかって不安になるらしいんだよ」
「な~るほど。けど高耶は?」
「俺のところは最初から半々。何事もバランスってのは大事だ」
「そんなこと、昨日も言ってたな」
逆に術者が女性の場合、男型が多いのかと言われればそうではない。
寧ろ、女性の方が女型ばかりになる傾向がある。これも理由は同じで、もしもを考えた時に男型だと対処できないかもしれないというものからだ。
因みに焔泉も高耶と同じく半々だ。稀なケースといえる。
「となると、高耶は自分の力にも自信があるってことか? それとも、絶対裏切らないって思ってたってことか?」
意外と鋭い。良いところを突いてくる。
「俺の場合は……『どっちでも良かった』ってのが本音かもな……誓約するってなった頃は、修行で手一杯で、自分のことしか考えられんくて、それをあいつらが見兼ねたって感じだ」
式神とか、はっきり言ってどうでも良かった。だが、当主としての力を得るには、それが必要だったのだ。
もっと言ってしまえば、遊び半分の軽い気持ちだった。充雪に言われて召喚することになったが、何が出るかお楽しみ的な、ガチャ感覚だった。
修行の合間の息抜きだ。その当時は、まだ小学生だった。本当に軽い気持ちだったのだ。だから、式神の四神は『コレ!』という考えがなかった。
お陰で西洋のものまで混じる始末だ。
「あれか。無欲の勝利ってやつ」
「……かもな……」
言えない。散々『お前のせいで』と言ってきたが、半分は『ガチャ感覚だった』なんて。
「何が出るか分からんとか、ガチャみたいだなあ」
「っ……」
たまにこいつは能力者なんじゃないかと思う。
「俺さあ、今日も暇だし、ついでにじいちゃん所寄るから、妹ちゃんのお迎えの時間に行こっかな~って」
「……」
「だからさぁっ。キショウさんを呼んでくんないっ?」
「……そっちが本音だろ……」
すごい奴かもしれないと思った途端にこれだ。だから俊哉はいつまでも困ったやつなのだ。
「今日は統二も行くって言ってたから、迎えはこれ以上いらん」
「トウジって誰だ? また式神?」
「いや、本家筋でな……従兄弟ってことになってる。今、同居してる高校生だ」
統二は、昨日行けなかったことが悔しかったらしい。
『明日は早く終わるんだ。だから、僕が高耶兄さんの代わりに珀豪さんと迎えに行くね』
高耶ではなく、優希に了承を取っていた。優希に言われれば高耶が反対出来ないことを、たった一日で理解したらしい。本当に頭が良いやつは、要領も良いのだ。
優希が思いの外懐いてしまったので、仕方がない。だから、せめてもの意趣返しとして、ちゃんと神に挨拶をすることと言ってやったのだが、なぜか感動された。
『高耶兄さんっ……はい! しっかりやってみせます!』
弱った神に声を届け、その声を聴くのは意外と難しい。だが、統二の陰陽師としての力は確かだ。不可能ではないだろう。とはいえ、難しいのは変わらない。
難題であるはずのことも、高耶が言うならと前向きな統二だ。珀豪がついているので、まず大丈夫だろう。
「なんか高耶の従兄弟なら頭良さそうだな」
「そのイメージってどうなんだ? あいつの兄と父は、結構な武術バカだぞ?」
「なら余計だろ。そういうのを見てってタイプがいそうだ」
「……」
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