235 / 462
第五章 秘伝と天使と悪魔
235 ただの的当てゲームです
しおりを挟む
明らかに、見つけたことを自慢げにする褒めろと言わんばかりの態度。これに高耶は頭を抱えながら呟く。
「子どもか……」
「『申し訳ない……』」
高耶の結界によって阻まれてはいるが、滝の裏から飛び出してきた悪魔達は、上空からこちらを見下ろしていた。
下級悪魔は、姿がはっきりとしない。怨念と違い、純粋に瘴気から生まれるものだからと言われていた。だからこそ、欲望しかない。
精神が核としてあり、正確には肉体を持たない。だからといって壁を通り抜けたりできるかといえば、出来ない。悪魔がこちら側に影響を与えるためには、きちんとこちら側へ来る必要があるからだ。
怨霊でも妖でも、人が認識できないのは、彼らが人が存在するのとは、違う次元に居るから。薄い膜一枚向こう側。いくつも重なった次元の壁の向こう側にいるからだ。
その膜一つ先を見えるか見えないかが視える者と視えない者の違い。座敷童子達の影響で素質ある者が視えるようになるのは、彼ら座敷童子が、その膜を通り抜けてこちら側と向こう側を行き来できるから。要は、目が慣れるのだ。
ただし、人とはそもそも存在の仕方が違うため、同じ次元に来たとしても、視線を合わせることも難しい。触れるのにもコツが要る。
悪魔も同じように、次元を行き来することが出来るのだ。何より、こちら側には良いものがあると思っている。それは、感情だ。
彼らはそれを感じたくて仕方がない。特に、大きな感情である『恐怖心』が大好物だ。次元の向こう側からでも干渉できる術者なら、もっと手に入りやすい。
統二と勇一、それに近くにいた翻訳担当や設営準備の裏方をしていた者たちが、咄嗟に高耶の側まで来ていた。彼らが恐怖で微かに震えているのを感じ、高耶が声をかける。
「落ち着いて。呼吸をゆっくり。恐怖心を捨てろとは言わない。体の力も抜け。座っていい。対処出来ない相手じゃないんだ」
「は、はい……っ」
ゆっくりと、連盟の者たちも慎重に近付いてきていた。彼らは、無意識に高耶を頼ったのだ。
「ひ、秘伝の御当主……っ、わ、我々はどうしたら……っ」
橘の者たちも、当主の蓮次郎ではなく、高耶へ指示を求めた。
「先ず、落ち着きましょう。恐怖心は、彼らの興味を引いてしまいます。姿や、感じる力は異質に思えるでしょうが、少々凶暴な怨霊と変わりありません。寧ろ、普通に物理攻撃が出来る分、戦いやすい相手です」
「え……」
こちらでは、悪魔はほとんど見ない。通常は、こちらに出てきたとしても、なぜか大陸の方に向かってしまう。そちらの方が出入り口が開きやすく、弱った時にすぐに逃げ込めるかららしい。存在も認識されやすく、恐怖心も強いのだろうと、高耶は推察していた。
「ストレス発散に、その辺の棒で滅多撃ちなんてどうですか?」
「……え……」
「そういえば、兄さん……乱取り相手にしてるんだっけ……」
「ああ。あいつら、欲望しかないから、良心も痛まない。なんなら、普段使わない術の試し撃ちとかもできますよ。やってみますか? こうして……」
高耶は立ち上がって、一体の悪魔に強めの雷撃を飛ばす。するとその悪魔は、塵になってあっさり消えた。
「……あ……え?」
「どうです? 結界の調整は出来てるので、こちらからの術は通ります。今の雷撃、普通に使うと、家一軒、割ってしまうんですよ。周りの人に当てないようにだけ気を付けてください」
「……あんな簡単に……」
「『こんなことが……』」
威力にも驚いているようだが、普通は、結界を通して攻撃なんて出来ないことに、驚愕していた。
「それなりに威力がないと、あそこまで届きませんが、どうです? ただの的当てゲームになったでしょう?」
「……確かに……わ、私もやってみても?」
「どうぞ。悪魔は、危機感よりも欲望優先ですから、彼らが騒いでいる間は、逃げられたり、こちらを敵視したりしません。今のうちに、存分に技を試しましょう」
「っ、はい!!」
恐怖に震えていたのが嘘のように、連盟の術者たちは立ち上がり、普段は人里で使えないような、とっておきの大技を繰り出していく。
「いけ!」
放たれた焔の槍が、結界を抜けて悪魔に突き刺さった。浄化の焔に纏わりつかれ、その悪魔は塵となって消えた。
「できました! これ、使えるって知ってても、怖くて練習できる場所もなくて……そっか、空に向かってならいけるかも……」
「浄化の焔って、ちょっと失敗すると、普通の焔になるもんな。山で練習するのも怖かったけど、行けるんじゃないか?」
「集中力要るよ。けど、相手がこっちに近付いてこないなら、安心してできる」
「なら、これくらい安心できる場面じゃなきゃ、使わない方がいいな」
「そうだね。気を付けよう」
式を結界のギリギリまで飛ばし、攻撃させる者もいた。
「うわあ、やっぱりアレも、結構威力高かったんだな。最大火力は、やっぱり封印だ」
「あれだと、人家は吹っ飛ぶよね。意外と、場所を気を付けてたんだな。俺ら」
「なんか、ヤバい感じは伝わってきたもんね。今まで強行しなくて良かったよ」
だんだんと、容赦がなくなってきた。完全に恐怖心よりも好奇心が優っているようだ。
「いいねえ、コレ。高耶君の結界有りきだけど」
そう言って、蓮次郎も爆散させて笑っていた。
「統二、しっかりあそこまで届くように、最後まで意識しろ」
「はい!」
高耶も指導に回るくらいの余裕。
「勇一は、もっと小さく貫通力を意識するんだ」
「分かりました!」
きちんと勇一にも指導する。時折、他の術者たちもアドバイスを求めてきたりと、高耶も楽しみながら、いつの間にか残り数体となっていた。
これらを、最初は自分たちもと、恐怖心を無理やり振り払って動こうとした祓魔師達だったが、そもそもの距離がありすぎて、年配の者が数体、相手に出来ただけだった。
自分たちには無理だと、次第に理解していった彼らは、はしゃぐほどに楽しむ連盟の術者たちを、ただ呆然と見つめることしか出来なかった。
同時に、彼らには自分達が敵わないと知ったため、悪魔に対する恐怖心は強まった。お陰で、悪魔達をこの場に引きつけ続けることができたので、結果的にはよかったのだ。
「『こんな遊び半分で……』」
一番側にいたレスターは、恐怖心より、情け無さの方が上回っていたようだ。
しかし、本番はここからだった。
「さて、上級悪魔のお出ましだ」
それは、確かな存在感を持って、近付いてきていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「子どもか……」
「『申し訳ない……』」
高耶の結界によって阻まれてはいるが、滝の裏から飛び出してきた悪魔達は、上空からこちらを見下ろしていた。
下級悪魔は、姿がはっきりとしない。怨念と違い、純粋に瘴気から生まれるものだからと言われていた。だからこそ、欲望しかない。
精神が核としてあり、正確には肉体を持たない。だからといって壁を通り抜けたりできるかといえば、出来ない。悪魔がこちら側に影響を与えるためには、きちんとこちら側へ来る必要があるからだ。
怨霊でも妖でも、人が認識できないのは、彼らが人が存在するのとは、違う次元に居るから。薄い膜一枚向こう側。いくつも重なった次元の壁の向こう側にいるからだ。
その膜一つ先を見えるか見えないかが視える者と視えない者の違い。座敷童子達の影響で素質ある者が視えるようになるのは、彼ら座敷童子が、その膜を通り抜けてこちら側と向こう側を行き来できるから。要は、目が慣れるのだ。
ただし、人とはそもそも存在の仕方が違うため、同じ次元に来たとしても、視線を合わせることも難しい。触れるのにもコツが要る。
悪魔も同じように、次元を行き来することが出来るのだ。何より、こちら側には良いものがあると思っている。それは、感情だ。
彼らはそれを感じたくて仕方がない。特に、大きな感情である『恐怖心』が大好物だ。次元の向こう側からでも干渉できる術者なら、もっと手に入りやすい。
統二と勇一、それに近くにいた翻訳担当や設営準備の裏方をしていた者たちが、咄嗟に高耶の側まで来ていた。彼らが恐怖で微かに震えているのを感じ、高耶が声をかける。
「落ち着いて。呼吸をゆっくり。恐怖心を捨てろとは言わない。体の力も抜け。座っていい。対処出来ない相手じゃないんだ」
「は、はい……っ」
ゆっくりと、連盟の者たちも慎重に近付いてきていた。彼らは、無意識に高耶を頼ったのだ。
「ひ、秘伝の御当主……っ、わ、我々はどうしたら……っ」
橘の者たちも、当主の蓮次郎ではなく、高耶へ指示を求めた。
「先ず、落ち着きましょう。恐怖心は、彼らの興味を引いてしまいます。姿や、感じる力は異質に思えるでしょうが、少々凶暴な怨霊と変わりありません。寧ろ、普通に物理攻撃が出来る分、戦いやすい相手です」
「え……」
こちらでは、悪魔はほとんど見ない。通常は、こちらに出てきたとしても、なぜか大陸の方に向かってしまう。そちらの方が出入り口が開きやすく、弱った時にすぐに逃げ込めるかららしい。存在も認識されやすく、恐怖心も強いのだろうと、高耶は推察していた。
「ストレス発散に、その辺の棒で滅多撃ちなんてどうですか?」
「……え……」
「そういえば、兄さん……乱取り相手にしてるんだっけ……」
「ああ。あいつら、欲望しかないから、良心も痛まない。なんなら、普段使わない術の試し撃ちとかもできますよ。やってみますか? こうして……」
高耶は立ち上がって、一体の悪魔に強めの雷撃を飛ばす。するとその悪魔は、塵になってあっさり消えた。
「……あ……え?」
「どうです? 結界の調整は出来てるので、こちらからの術は通ります。今の雷撃、普通に使うと、家一軒、割ってしまうんですよ。周りの人に当てないようにだけ気を付けてください」
「……あんな簡単に……」
「『こんなことが……』」
威力にも驚いているようだが、普通は、結界を通して攻撃なんて出来ないことに、驚愕していた。
「それなりに威力がないと、あそこまで届きませんが、どうです? ただの的当てゲームになったでしょう?」
「……確かに……わ、私もやってみても?」
「どうぞ。悪魔は、危機感よりも欲望優先ですから、彼らが騒いでいる間は、逃げられたり、こちらを敵視したりしません。今のうちに、存分に技を試しましょう」
「っ、はい!!」
恐怖に震えていたのが嘘のように、連盟の術者たちは立ち上がり、普段は人里で使えないような、とっておきの大技を繰り出していく。
「いけ!」
放たれた焔の槍が、結界を抜けて悪魔に突き刺さった。浄化の焔に纏わりつかれ、その悪魔は塵となって消えた。
「できました! これ、使えるって知ってても、怖くて練習できる場所もなくて……そっか、空に向かってならいけるかも……」
「浄化の焔って、ちょっと失敗すると、普通の焔になるもんな。山で練習するのも怖かったけど、行けるんじゃないか?」
「集中力要るよ。けど、相手がこっちに近付いてこないなら、安心してできる」
「なら、これくらい安心できる場面じゃなきゃ、使わない方がいいな」
「そうだね。気を付けよう」
式を結界のギリギリまで飛ばし、攻撃させる者もいた。
「うわあ、やっぱりアレも、結構威力高かったんだな。最大火力は、やっぱり封印だ」
「あれだと、人家は吹っ飛ぶよね。意外と、場所を気を付けてたんだな。俺ら」
「なんか、ヤバい感じは伝わってきたもんね。今まで強行しなくて良かったよ」
だんだんと、容赦がなくなってきた。完全に恐怖心よりも好奇心が優っているようだ。
「いいねえ、コレ。高耶君の結界有りきだけど」
そう言って、蓮次郎も爆散させて笑っていた。
「統二、しっかりあそこまで届くように、最後まで意識しろ」
「はい!」
高耶も指導に回るくらいの余裕。
「勇一は、もっと小さく貫通力を意識するんだ」
「分かりました!」
きちんと勇一にも指導する。時折、他の術者たちもアドバイスを求めてきたりと、高耶も楽しみながら、いつの間にか残り数体となっていた。
これらを、最初は自分たちもと、恐怖心を無理やり振り払って動こうとした祓魔師達だったが、そもそもの距離がありすぎて、年配の者が数体、相手に出来ただけだった。
自分たちには無理だと、次第に理解していった彼らは、はしゃぐほどに楽しむ連盟の術者たちを、ただ呆然と見つめることしか出来なかった。
同時に、彼らには自分達が敵わないと知ったため、悪魔に対する恐怖心は強まった。お陰で、悪魔達をこの場に引きつけ続けることができたので、結果的にはよかったのだ。
「『こんな遊び半分で……』」
一番側にいたレスターは、恐怖心より、情け無さの方が上回っていたようだ。
しかし、本番はここからだった。
「さて、上級悪魔のお出ましだ」
それは、確かな存在感を持って、近付いてきていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
233
あなたにおすすめの小説
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる