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第六章 秘伝と知己の集い
354 頼まれてしまったので
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高耶が戻ると、外ではそれなりに時間が経っていたようで、伊調達は、隠されていた土地神の御神体のある場所の整備まで終えていた。
確かに帰る時に土地神から『綺麗にしてもらえるのは嬉しいものですね』と言われたので、予想はしていたが、これだから神域は困ると高耶は少し肩を落とした。外の時間と差が出るので、あまり長居しないよう気を付けなくてはならないのだ。
瑶迦は創り上げた世界も時間の調整をしっかりとしているので問題はない。
神にとっては、時間とはほぼ気にならないものらしいので、そうした調整の必要性を感じないのだ。
「御当主。ご無事のお帰りよおございました」
そう伊調に労われるが、実際は神の話し相手になっていただけなので、苦笑するしかない。
「いえ。結局、土地神とお話しをしただけで、鬼との接触はしませんでした。土地神が眠らせていましたので」
「土地神様とっ……その様子ですと弱っておられるということもないのでしょうか」
ずっと眠っているようだとしか判らなかった土地神。伊調達たちには気掛かりだった。力になりたくても、どうすればいいのか分からない状態だったのだ。
「あそこの滝を管理する水神に力を借りてこの場を調整しているようです。原因は、霊穴が開きやすい立地ということみたいですね」
「なるほど……」
これを聞いていた蓮次郎と焔泉が近付いてくる。
「それね。確かにこの山、変だよ。見て回ったけど、本当にちょっとした所に霊穴が開いてる。ちっさいやつだけど」
「目の錯覚やと思ったが、ちょっと目を向けるとあるでなあ。すぐに消えるようやが、土地神様のお力か」
「そのようです。そちらにばかり力を割いているとのことで」
「それはなんと……」
「かかりっきりになるのは申し訳ないねえ……」
本来、霊穴が開いた場合、土地神はその土地の安定だけを考えていれば良い。穴を塞ぐのは連盟の者達の役目だ。
ただ、この山では、人里まで瘴気が流れることが確実だった。そのため、土地神がその力を全力で使って対応していたのだ。
「霊穴も出来やすい上に、出来やすい場所から風の流れで確実に人里へと瘴気が向かってしまうようです」
「嫌な感じの奇跡的な立地条件ってこと? 大問題じゃない?」
蓮次郎が顔を顰めた。悪い条件が奇跡的に一致してしまった土地という事に、困惑している。
これに、焔泉が考えながら口を開く。
「逆に言うたら、その条件のどれか一つでも失くせばええゆうことか?」
「そうですね。ですが、その条件が何かがほとんど明らかになっていません。唯一、そもそもの今のこの地形が問題ではないかとのことです」
「そう言われてみれば、霊穴ができるのは、洞窟とか祠、今回見つけた小さなものも、木の洞とかにできていたから、地形とかは関係ありそうだね……」
霊穴の開く場所は、そうした空気が澱んでいたり、空間のある場所だ。
「そもそも、この場所自体がとなれば困りますけど……神もこの場所で地殻変動が起きてから多くなったと仰っていましたのでその……山を少し崩してほしいと……」
「「「……」」」
伊調も蓮次郎も焔泉も、『は?』という声を伴うことなく口を半開きにし、高耶を見つめる。しばらくしてから各々確認する。
「……言われたの……」
「……山を崩す……」
「……それはまた……えらいこと頼まれたなあ……」
「……はい……」
『なに頼まれてんの?』と言いたそうな顔を向けられ、高耶も少し気まずげに目をそらす。
そして、この後の予定を提案した。
「とりあえず……瑶迦さんに相談して……またあちらの三人に知恵を借りようかと……」
「「ああ、おじいちゃんとおばあちゃんね」」
「……はい……」
高耶のおじいちゃんとおばあちゃんは、最強の魔術師と最古の魔女だ。これに現代でも財力や権力を持つパパ的なエルラントが加わるので相談相手としては無敵だろう。
こうして、一旦持ち帰りの案件としてこの日はこの場を後にしたのだった。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
確かに帰る時に土地神から『綺麗にしてもらえるのは嬉しいものですね』と言われたので、予想はしていたが、これだから神域は困ると高耶は少し肩を落とした。外の時間と差が出るので、あまり長居しないよう気を付けなくてはならないのだ。
瑶迦は創り上げた世界も時間の調整をしっかりとしているので問題はない。
神にとっては、時間とはほぼ気にならないものらしいので、そうした調整の必要性を感じないのだ。
「御当主。ご無事のお帰りよおございました」
そう伊調に労われるが、実際は神の話し相手になっていただけなので、苦笑するしかない。
「いえ。結局、土地神とお話しをしただけで、鬼との接触はしませんでした。土地神が眠らせていましたので」
「土地神様とっ……その様子ですと弱っておられるということもないのでしょうか」
ずっと眠っているようだとしか判らなかった土地神。伊調達たちには気掛かりだった。力になりたくても、どうすればいいのか分からない状態だったのだ。
「あそこの滝を管理する水神に力を借りてこの場を調整しているようです。原因は、霊穴が開きやすい立地ということみたいですね」
「なるほど……」
これを聞いていた蓮次郎と焔泉が近付いてくる。
「それね。確かにこの山、変だよ。見て回ったけど、本当にちょっとした所に霊穴が開いてる。ちっさいやつだけど」
「目の錯覚やと思ったが、ちょっと目を向けるとあるでなあ。すぐに消えるようやが、土地神様のお力か」
「そのようです。そちらにばかり力を割いているとのことで」
「それはなんと……」
「かかりっきりになるのは申し訳ないねえ……」
本来、霊穴が開いた場合、土地神はその土地の安定だけを考えていれば良い。穴を塞ぐのは連盟の者達の役目だ。
ただ、この山では、人里まで瘴気が流れることが確実だった。そのため、土地神がその力を全力で使って対応していたのだ。
「霊穴も出来やすい上に、出来やすい場所から風の流れで確実に人里へと瘴気が向かってしまうようです」
「嫌な感じの奇跡的な立地条件ってこと? 大問題じゃない?」
蓮次郎が顔を顰めた。悪い条件が奇跡的に一致してしまった土地という事に、困惑している。
これに、焔泉が考えながら口を開く。
「逆に言うたら、その条件のどれか一つでも失くせばええゆうことか?」
「そうですね。ですが、その条件が何かがほとんど明らかになっていません。唯一、そもそもの今のこの地形が問題ではないかとのことです」
「そう言われてみれば、霊穴ができるのは、洞窟とか祠、今回見つけた小さなものも、木の洞とかにできていたから、地形とかは関係ありそうだね……」
霊穴の開く場所は、そうした空気が澱んでいたり、空間のある場所だ。
「そもそも、この場所自体がとなれば困りますけど……神もこの場所で地殻変動が起きてから多くなったと仰っていましたのでその……山を少し崩してほしいと……」
「「「……」」」
伊調も蓮次郎も焔泉も、『は?』という声を伴うことなく口を半開きにし、高耶を見つめる。しばらくしてから各々確認する。
「……言われたの……」
「……山を崩す……」
「……それはまた……えらいこと頼まれたなあ……」
「……はい……」
『なに頼まれてんの?』と言いたそうな顔を向けられ、高耶も少し気まずげに目をそらす。
そして、この後の予定を提案した。
「とりあえず……瑶迦さんに相談して……またあちらの三人に知恵を借りようかと……」
「「ああ、おじいちゃんとおばあちゃんね」」
「……はい……」
高耶のおじいちゃんとおばあちゃんは、最強の魔術師と最古の魔女だ。これに現代でも財力や権力を持つパパ的なエルラントが加わるので相談相手としては無敵だろう。
こうして、一旦持ち帰りの案件としてこの日はこの場を後にしたのだった。
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