秘伝賜ります

紫南

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第六章 秘伝と知己の集い

355 面倒くさくなった

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二度目のお持ち帰り案件に、高耶は申し訳なさそうに瑶迦へと相談したのだが、瑶迦は目をキラキラさせていた。

「まあまあっ、高耶さんったら、いくらでも相談に乗りますわっ。キティとティアを呼びますわねっ。あっ、エルさんもっ」
「……お願いします……」

キティと呼ぶのは最古の魔女キルティス、ティアは稀代の大魔術師であるイスティアのこと。エルさんとは、表では大富豪、本来は大昔から存在する吸血鬼のトップであるエルラントだ。

高耶のためならばと呼びかければ、そんなVIPな存在がすぐに集結する。

それも、二分と掛からなかった。

「高耶ちゃんっ。何? 何? 何か困り事? 高耶ちゃんを困らせるなんてっ。オコだよお」

小柄で可愛いらしい見た目のキルティス。高校生と言っても通るだろう。手を腰に当てて、むっと頬を膨らませる姿は、怒っていても見ている方は和んでしまう。

「落ち着けや。先ずは事情を聞かんとなあ。まあ、無茶苦茶なもんだったら、孫を虐めんなって釘刺しとかんとなあ」

銀髪美青年にしか見えないイスティアは、その顔から出るとは思えないような荒い言葉を吐く。そこに更に整った顔で凄まれては、距離を取りたくなる。

「ティアこそ落ち着きなよ。怖い顔見せないの。高耶君に嫌われるよ?」
「高耶っ、じいちゃんの事嫌いか!?」
「……いいえ」

こういう問いかけは困る。別に嫌いではないが、好きだと言えば、バカみたいに高額なものをプレゼントされたり、なんでもかんでも作ってくれるようになるだろう。なので、一番困る問いかけなのだ。

「ほら、ちょっと間があったよ?」
「高耶ぁっ」

珍しく、すかさずエルラントが楽しそうに煽る。

「だ、大丈夫です。というか、エルラントさんっ。そういう煽りダメですって」
「少しずつ、冗談に慣れてもらおうと思ってるんだよ。最近、よく会うようになって思ったんだ。ほぼ一人で居るから、こいつ冗談が通じないって」
「……」

エルラントの目は笑ってなかった。

「ティアとかキティはシャレにならない力があるから、冗談を冗談として受け止められないのは危険だと思わないかい?」
「……そうですね……」
「けど、二人とも結構イケイケというか……だから、勢いで冗談を冗談と思わずに突っ込んで行きそうで怖いなって……今更だけどね……」
「……なるほど……」

ちょっと遠い所を見ているエルラントに、高耶は心配になる。

「ということだから、え~、俊哉君だっけ? お友達の」
「……はい……?」

突然、エルラントから俊哉の名が出て目を丸くする。そうして、少しばかり思考停止していれば、エルラントが続けた。

「あの子、コミュニケーション能力高いから、ティア達の面倒見てもらおうと思って。それで、最近の常識教えてもらえないかな」
「……それは……良いかもしれません」

俊哉にぶん投げようと二人で内心ニヤつく。

「決まりだね。さて、一つこちらの悩みを解決できたし、君の方の問題について聞こうかな」
「お願いします」
「あっ、ズルいっ!! 高耶ちゃんっ。私に任せて!」
「コラっ! 俺の事忘れてんじゃねえぞっ」

そうして、山の事についての話を始めた。その後、すぐにでも行こうと言うキルティスとイスティアに引き摺られ、なぜか旅館で一泊することになった。

「……なぜ……」
「考えるだけ無駄じゃないかな」
「……」

常識人のエルラントが居ることと、キルティスとイスティアは二人セットで動いてくれるので、それほどストレスになることはないのは救いだろう。

翌日、意外にも真面目にキルティスとイスティアは山を歩き回り、夕方ごろに戻ってきた。

「ここめちゃくちゃ、特異な土地じゃんっ。この旅館、連盟で買い取ったんだろ!? ここに俺住むわ。そんで研究する!」
「私も私もっ! 土地神もしっかりしてるし、こんな都合が良くて面白い土地ないよっ。だから山崩すのはちょっとだけ待ってっ。具体的にはあと……」
「「千日くらい!」」
「長いよ」
「……」

これはこれでめんどくさくなったなと、高耶とエルラントは揃って遠い所を見てしまった。







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読んでくださりありがとうございます◎
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