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第七章 秘伝と任されたもの
410 まあ……コスプレですね
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桂花は、少し緊張気味に告げた。
『最後は……妖精をご紹介いたします』
「妖精……」
「小人でしたかな?」
「アレに羽があるのですよね?」
予想はできる。そして、天使なんかも見たことで、既に彼らは麻痺している。今更どんなものが来ても大丈夫だろう。そう自分たちでも思っているようだ。
だが、こうして油断した時には、気を付けなくてはならない。
『……では、お願いします』
「……はい。『おいでください妖精女王、妖精王』」
その高耶の声に応え、高耶の居るテーブルの前に、豪華な白い扉が下から迫り上がってきた。
「っ!!」
「なっ!?」
「と、扉!?」
「ほおほおっ」
「これは中々っ」
何か分からない狭い幅に、水面のようなものがあり、そこから扉が生えてくるのだ。首領達も興味津々で覗き込んでいた。そして、キルティスとイスティアも目を輝かせている。
「すごいわ! こんな素敵な扉、昔見た城の謁見室の扉みたいだわ!」
「こりゃあ、面白え……空間の作り方が違うのか……へえ……」
扉の下が床に戻り、扉が開く。そこから出てきたのは、六枚の美しく輝く透き通るような羽がある姫だった。
「まあっ! 十二単! 黒髪美人だわ!」
それを聞いて、高耶はまさかと思った。
「え! ちょっ、女王がコレってことは……っ」
そこで、高耶は飛んできたものを避けながら掴んだ。それはクナイだった。きちんと持つ所を握っているのはさすがだ。
「っ、く、やっぱりか!」
扇で顔を隠した姫は、ゆっくりと扉から出てくる所だ。その後ろで、高耶は次に飛んできた手裏剣をクナイでいなして、扉の裏側の丈夫そうな柱の所に刺していく。ここはホテルだ。床や壁に穴は開けたくない。
「ちっ」
「高坊?」
「なんだ?」
舌打ちしながら高耶が駆け出す。それは、誰もいない部屋の端。そこが歪んで見えた。
「そこだろ!」
逃すかとテーブルにあり、手にしてきたおしぼりをクナイの先に巻き付けて投げた。壁に優しくだ。
それが確実になんてこともない壁に当たると予想していた高耶は、予備動作もなしに飛んだ。そして、天井の隅に拳を差し込む。なぜか不可視の足場があり、高耶は一メートルほど浮いている。
「ここだろ!」
《ぐえっ》
「うしっ!」
《きゅぅ……》
拳が刺さった先は、歪んだ空間があり、高耶が手引き抜かれるとそこに刺さるようにして掴まれた忍者がいた。そして、その背には羽があった。
足場が消えたのだろう。高耶は床に着地する。その片手には、忍者が掲げられている。
《あらあら。やっぱりウチの旦那はダメねえ。決め切れないんだから》
「……女王……付き合ってやるのもほどほどに」
《ふふふっ。この姫衣装ですか? 外で披露することなどありませんもの。貴重な機会は逃せませんわ。そうそう。我が城も、いつの間にか立派な忍者屋敷でしてよ? 今度、是非遊びにいらして?》
「……」
優雅に姫姿であった妖精女王がこちらに歩き出し、扇で扉を仰ぐと、その扉が沈んでいって消えた。
《庭もなんだかトレーニング用に改造されて、アレはアレよ。SASU○Eというやつよ。他の子達も、筋肉が凄くなっているわ》
「っ、まさか妖精が脳筋に……」
それから妖精女王は、衣装を変えていく。青を基調としたヒラヒラとしたドレス。髪色も本来の金に変わり、三つ編みにされた。
《なりかけてますわね。それも途中で変身しますの。ノリノリですわ》
「……」
《筋肉盛り盛りの子達がブリブリの魔女っ子衣装を着ますの……最近は、コレはコレでアリとなってきましたわ》
「……」
そして、女王は何かをアピールするように冷気を手のひらで噴射させるようにして近付いてくる。もう見た目はアレだ。
「……女王……城は建てないでくださいね!」
《あら。城を建てる時は歌わなくてはならないのよ? それに、アレは一人でやらないと。歌の通りに》
「……やらなくていいです……」
《離れて見ている分には許すわよ?》
「……き、機会があれば……」
《分かったわっ》
そう。見た目はもう氷の女王にしか見えなかった。
「コスプレ大会?」
キルティスの声が虚しく響いた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
『最後は……妖精をご紹介いたします』
「妖精……」
「小人でしたかな?」
「アレに羽があるのですよね?」
予想はできる。そして、天使なんかも見たことで、既に彼らは麻痺している。今更どんなものが来ても大丈夫だろう。そう自分たちでも思っているようだ。
だが、こうして油断した時には、気を付けなくてはならない。
『……では、お願いします』
「……はい。『おいでください妖精女王、妖精王』」
その高耶の声に応え、高耶の居るテーブルの前に、豪華な白い扉が下から迫り上がってきた。
「っ!!」
「なっ!?」
「と、扉!?」
「ほおほおっ」
「これは中々っ」
何か分からない狭い幅に、水面のようなものがあり、そこから扉が生えてくるのだ。首領達も興味津々で覗き込んでいた。そして、キルティスとイスティアも目を輝かせている。
「すごいわ! こんな素敵な扉、昔見た城の謁見室の扉みたいだわ!」
「こりゃあ、面白え……空間の作り方が違うのか……へえ……」
扉の下が床に戻り、扉が開く。そこから出てきたのは、六枚の美しく輝く透き通るような羽がある姫だった。
「まあっ! 十二単! 黒髪美人だわ!」
それを聞いて、高耶はまさかと思った。
「え! ちょっ、女王がコレってことは……っ」
そこで、高耶は飛んできたものを避けながら掴んだ。それはクナイだった。きちんと持つ所を握っているのはさすがだ。
「っ、く、やっぱりか!」
扇で顔を隠した姫は、ゆっくりと扉から出てくる所だ。その後ろで、高耶は次に飛んできた手裏剣をクナイでいなして、扉の裏側の丈夫そうな柱の所に刺していく。ここはホテルだ。床や壁に穴は開けたくない。
「ちっ」
「高坊?」
「なんだ?」
舌打ちしながら高耶が駆け出す。それは、誰もいない部屋の端。そこが歪んで見えた。
「そこだろ!」
逃すかとテーブルにあり、手にしてきたおしぼりをクナイの先に巻き付けて投げた。壁に優しくだ。
それが確実になんてこともない壁に当たると予想していた高耶は、予備動作もなしに飛んだ。そして、天井の隅に拳を差し込む。なぜか不可視の足場があり、高耶は一メートルほど浮いている。
「ここだろ!」
《ぐえっ》
「うしっ!」
《きゅぅ……》
拳が刺さった先は、歪んだ空間があり、高耶が手引き抜かれるとそこに刺さるようにして掴まれた忍者がいた。そして、その背には羽があった。
足場が消えたのだろう。高耶は床に着地する。その片手には、忍者が掲げられている。
《あらあら。やっぱりウチの旦那はダメねえ。決め切れないんだから》
「……女王……付き合ってやるのもほどほどに」
《ふふふっ。この姫衣装ですか? 外で披露することなどありませんもの。貴重な機会は逃せませんわ。そうそう。我が城も、いつの間にか立派な忍者屋敷でしてよ? 今度、是非遊びにいらして?》
「……」
優雅に姫姿であった妖精女王がこちらに歩き出し、扇で扉を仰ぐと、その扉が沈んでいって消えた。
《庭もなんだかトレーニング用に改造されて、アレはアレよ。SASU○Eというやつよ。他の子達も、筋肉が凄くなっているわ》
「っ、まさか妖精が脳筋に……」
それから妖精女王は、衣装を変えていく。青を基調としたヒラヒラとしたドレス。髪色も本来の金に変わり、三つ編みにされた。
《なりかけてますわね。それも途中で変身しますの。ノリノリですわ》
「……」
《筋肉盛り盛りの子達がブリブリの魔女っ子衣装を着ますの……最近は、コレはコレでアリとなってきましたわ》
「……」
そして、女王は何かをアピールするように冷気を手のひらで噴射させるようにして近付いてくる。もう見た目はアレだ。
「……女王……城は建てないでくださいね!」
《あら。城を建てる時は歌わなくてはならないのよ? それに、アレは一人でやらないと。歌の通りに》
「……やらなくていいです……」
《離れて見ている分には許すわよ?》
「……き、機会があれば……」
《分かったわっ》
そう。見た目はもう氷の女王にしか見えなかった。
「コスプレ大会?」
キルティスの声が虚しく響いた。
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