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第一章
059 王が不憫で……
キリアルートが出て行ってしばらくしてから、ようやく領主達は正気に戻った。
「はっ……なんの話をしていたんだったか……」
「終わりましたよ。そして、シェルマ様ももう役目を果たされに行かれました。ほら」
彼は領主の補佐官だ。副団長でもある。領城に戻ってきたなら頭を切り替え、机仕事に精を出す。現在は報告書を作成中だ。
ピンポンパンポ~ン
少し間抜けな音が響き、放送が始まる。
『迷宮放出における魔獣の混乱は落ち着いています。西地区に出していた避難指示は解除。本日まで領城や各避難場所で過ごし、明日以降自宅に戻ってもらうことになります。繰り返します』
ハキハキとした声で堂々と放送しているのが聞こえる。
「西地区は空き巣の注意が必要なので、これより警備隊を出します。避難している住民達は、奥様が対応していますが、一度顔を見せに行ってください」
「あ、ああ……避難させてくれたのか……確かに、こうしてシェルマの避難するようにという声が森に居た時にも聞こえたが……」
「ええ。キリアルート様が全て指示を出してくれたそうです。それと、こちらの報告書に目を通してください」
「なんの報告書だ?」
「留守中の城内でのことです」
「ここの? いったい…………っ!? こ、これはっ、本当のことか!?」
それは、執事長の書いた報告書だ。キリアルートへの仕打ちを全て書き出してあった。
「な、なぜこんなことに……?」
「だから言ったんですよ。確かにあまり人に知られるのは良くありませんが、ここは閉鎖的な土地です。王都までは気を付けていれば届きません。王族の悪口だって言えますよ」
「いやっ、それは……っ」
マズいだろうと領主は顔を青ざめさせるが、補佐官は気にしない。
「奥様には言っておくべきだったんです。あと、あの男に媚びるしか脳のないバカな女達も、さっさと放逐すべきでした」
「こ、これは知らない! こ、こんな者達だったなんて……」
それは二人の侍女達のこと。男でも女でも、本性というのは、異性には中々見破れないものだ。問題のあった侍女達は、特に領主に良い顔をして装ってきた。幼馴染のようなものにもなっているが、子どもの頃からずっと女達は妻の座を狙っていたのだろう。物心ついた時から装われてはわからない。
「彼女達の両親は亡くなっていますし、彼女達もこの道しかないと思ってきたのでしょう。根性というか、執念ですね」
「……そうなのか……」
そんな想いを向けられていたということにさえ気付かなかったようだ。
「彼女達のことは良いです。問題のあった犯罪組織が潰れたのもまあ……結果的には良かった。あの方を巻き込んだのはいただけませんが……」
「ああ……」
そこで、静かに聞き耳を立てていたギルド長が口を挟む。
「副団長……いや、補佐官殿。我々も巻き込むつもりですかな?」
「察していただいて感謝します。ここにいるのは、あの方に心酔している部隊の者と我々だけですからね」
この場に残っているのは、領主とその騎士団の実力者三名。その中にはユウリの父親もいる。そして、今回の後方支援に走り回ってくれた部隊の隊長と副隊長とビルス。それからギルド長とカルツだけだった。
キリアルートが出て行く時に指示を受けて出て行った者も居たため、これだけのメンバーが残るだけとなっていた。
「良い具合にここに残ってもらえて助かります。今から言う事は他言無用でお願いします。ほら、ハイル。さっさと話しましょう。逃げられる前に」
「逃げられる? え? 何を?」
領主であるハイラウス・リ・セルティアをハイルと愛称で呼び、補佐官は急かせる。少し鈍感な所のあるハイラウスの尻を叩くのは慣れていた。遠慮がないとも言う。
「キリアルート様のことに決まっているでしょう。ボケないでください」
「え? いや、だが……っ、分かった。き、キリアルート様は、第一王子殿下であらせられるっ」
「「「「「はあ!?」」」」」
「いや……だから……その……妹に頼まれて……預かっているんだ。王宮は安全ではないからと……」
「「「「「っ……」」」」」
王宮が安全ではない理由を、誰もが知っていた。この辺境の地であっても、無理やり輿入れした王妃の話は届いていた。
昔からやりたい放題のワガママ令嬢というのは、有名だった。貴族と関わらないようにと民達が子ども達に言い聞かせる時でも、その傍若無人な貴族令嬢の話を例え話にして脅すくらいだ。
「それは……なるほど……あの欲深い王妃にもしバレたとしても、こんな土地では良い暮らしは出来ないと思って興味をなくしそうですねえ」
「そうですね。私もそれは思いました。さすがはベル様です。それも見越して兄であるハイルに任せたのでしょう」
ベルトリードは、王妃の一人である騎士だ。主君の息子を、最も安全な場所にと思うのは当然だろう。
「ベルトリードお嬢様ですか」
ギルド長も彼女のことは知っていたため、懐かしそうに目を細める。
「ええ。ハイルと違い、とても頭のキレる方でもありますからね。まあ、このように愛人の子と誤解して、冷遇するとは思ってもみなかったでしょうが」
「おやおや。それは大変ですなあ。しかし、第一王子ですかな? 強欲王妃が第一王子を産んだと聞いておりましたが?」
「実際はクレアノール様の御子であるキリアルート様の方が早くお生まれだったそうです」
「「「は?」」」
ここでは、補佐官と領主以外は知らない事実だったため、何気なく聞いていた他の者達はポカンとしていた。しかし、それに構わず補佐官とギルド長は話を続ける。
「強欲王妃には困ったものですなあ。しかし、クレアノール様の御子は病弱で療養中だと……そうですか。いやあ、お元気でよかった。あの強欲王妃の子は、既にあの血を継いで傍若無人だと聞いておりますのでな……王が不憫で……」
ワガママなのは当然で、乱暴者。大人になるのが今から恐ろしいと言われているらしい。
「よくご存知なのですね」
「ええ。王都ギルドから愚痴が聞こえてくるのですよ。欲しいものがあると取ってこいとギルドの方に依頼があるらしくて……下手に関わると周りも巻き込むからと、誤爆依頼だと言われているとか」
「最悪ですね……」
「ええ。本当に。ですから、あのような御子がおられること……とても嬉しく思います。我々も守りましょう。何よりもこの領を今回被害なく守れたのはあの方のお陰ですからね」
「その通りですね……あの歳で恐ろしいほどの統率力、指揮力……どのような大人になられるのか……」
「楽しみですなあ」
キリアルートに期待せずにはいられなかった。
そしてこの年、この世界で初めて迷宮が攻略される。これにより、迷宮資源の有用性が証明され、迷宮のある領地を治める領主達は、今まで目も向けなかった辺境伯に頭を下げて、攻略のいろはを教えてもらうことになる。
多くの魔導具が辺境伯領の職人達の手で作り出されるようになり、五年もすれば国で一、二を争う大領地となった。
いつの間にか、キリアルートも血筋判定が可能な歳となっていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、新章です!
「はっ……なんの話をしていたんだったか……」
「終わりましたよ。そして、シェルマ様ももう役目を果たされに行かれました。ほら」
彼は領主の補佐官だ。副団長でもある。領城に戻ってきたなら頭を切り替え、机仕事に精を出す。現在は報告書を作成中だ。
ピンポンパンポ~ン
少し間抜けな音が響き、放送が始まる。
『迷宮放出における魔獣の混乱は落ち着いています。西地区に出していた避難指示は解除。本日まで領城や各避難場所で過ごし、明日以降自宅に戻ってもらうことになります。繰り返します』
ハキハキとした声で堂々と放送しているのが聞こえる。
「西地区は空き巣の注意が必要なので、これより警備隊を出します。避難している住民達は、奥様が対応していますが、一度顔を見せに行ってください」
「あ、ああ……避難させてくれたのか……確かに、こうしてシェルマの避難するようにという声が森に居た時にも聞こえたが……」
「ええ。キリアルート様が全て指示を出してくれたそうです。それと、こちらの報告書に目を通してください」
「なんの報告書だ?」
「留守中の城内でのことです」
「ここの? いったい…………っ!? こ、これはっ、本当のことか!?」
それは、執事長の書いた報告書だ。キリアルートへの仕打ちを全て書き出してあった。
「な、なぜこんなことに……?」
「だから言ったんですよ。確かにあまり人に知られるのは良くありませんが、ここは閉鎖的な土地です。王都までは気を付けていれば届きません。王族の悪口だって言えますよ」
「いやっ、それは……っ」
マズいだろうと領主は顔を青ざめさせるが、補佐官は気にしない。
「奥様には言っておくべきだったんです。あと、あの男に媚びるしか脳のないバカな女達も、さっさと放逐すべきでした」
「こ、これは知らない! こ、こんな者達だったなんて……」
それは二人の侍女達のこと。男でも女でも、本性というのは、異性には中々見破れないものだ。問題のあった侍女達は、特に領主に良い顔をして装ってきた。幼馴染のようなものにもなっているが、子どもの頃からずっと女達は妻の座を狙っていたのだろう。物心ついた時から装われてはわからない。
「彼女達の両親は亡くなっていますし、彼女達もこの道しかないと思ってきたのでしょう。根性というか、執念ですね」
「……そうなのか……」
そんな想いを向けられていたということにさえ気付かなかったようだ。
「彼女達のことは良いです。問題のあった犯罪組織が潰れたのもまあ……結果的には良かった。あの方を巻き込んだのはいただけませんが……」
「ああ……」
そこで、静かに聞き耳を立てていたギルド長が口を挟む。
「副団長……いや、補佐官殿。我々も巻き込むつもりですかな?」
「察していただいて感謝します。ここにいるのは、あの方に心酔している部隊の者と我々だけですからね」
この場に残っているのは、領主とその騎士団の実力者三名。その中にはユウリの父親もいる。そして、今回の後方支援に走り回ってくれた部隊の隊長と副隊長とビルス。それからギルド長とカルツだけだった。
キリアルートが出て行く時に指示を受けて出て行った者も居たため、これだけのメンバーが残るだけとなっていた。
「良い具合にここに残ってもらえて助かります。今から言う事は他言無用でお願いします。ほら、ハイル。さっさと話しましょう。逃げられる前に」
「逃げられる? え? 何を?」
領主であるハイラウス・リ・セルティアをハイルと愛称で呼び、補佐官は急かせる。少し鈍感な所のあるハイラウスの尻を叩くのは慣れていた。遠慮がないとも言う。
「キリアルート様のことに決まっているでしょう。ボケないでください」
「え? いや、だが……っ、分かった。き、キリアルート様は、第一王子殿下であらせられるっ」
「「「「「はあ!?」」」」」
「いや……だから……その……妹に頼まれて……預かっているんだ。王宮は安全ではないからと……」
「「「「「っ……」」」」」
王宮が安全ではない理由を、誰もが知っていた。この辺境の地であっても、無理やり輿入れした王妃の話は届いていた。
昔からやりたい放題のワガママ令嬢というのは、有名だった。貴族と関わらないようにと民達が子ども達に言い聞かせる時でも、その傍若無人な貴族令嬢の話を例え話にして脅すくらいだ。
「それは……なるほど……あの欲深い王妃にもしバレたとしても、こんな土地では良い暮らしは出来ないと思って興味をなくしそうですねえ」
「そうですね。私もそれは思いました。さすがはベル様です。それも見越して兄であるハイルに任せたのでしょう」
ベルトリードは、王妃の一人である騎士だ。主君の息子を、最も安全な場所にと思うのは当然だろう。
「ベルトリードお嬢様ですか」
ギルド長も彼女のことは知っていたため、懐かしそうに目を細める。
「ええ。ハイルと違い、とても頭のキレる方でもありますからね。まあ、このように愛人の子と誤解して、冷遇するとは思ってもみなかったでしょうが」
「おやおや。それは大変ですなあ。しかし、第一王子ですかな? 強欲王妃が第一王子を産んだと聞いておりましたが?」
「実際はクレアノール様の御子であるキリアルート様の方が早くお生まれだったそうです」
「「「は?」」」
ここでは、補佐官と領主以外は知らない事実だったため、何気なく聞いていた他の者達はポカンとしていた。しかし、それに構わず補佐官とギルド長は話を続ける。
「強欲王妃には困ったものですなあ。しかし、クレアノール様の御子は病弱で療養中だと……そうですか。いやあ、お元気でよかった。あの強欲王妃の子は、既にあの血を継いで傍若無人だと聞いておりますのでな……王が不憫で……」
ワガママなのは当然で、乱暴者。大人になるのが今から恐ろしいと言われているらしい。
「よくご存知なのですね」
「ええ。王都ギルドから愚痴が聞こえてくるのですよ。欲しいものがあると取ってこいとギルドの方に依頼があるらしくて……下手に関わると周りも巻き込むからと、誤爆依頼だと言われているとか」
「最悪ですね……」
「ええ。本当に。ですから、あのような御子がおられること……とても嬉しく思います。我々も守りましょう。何よりもこの領を今回被害なく守れたのはあの方のお陰ですからね」
「その通りですね……あの歳で恐ろしいほどの統率力、指揮力……どのような大人になられるのか……」
「楽しみですなあ」
キリアルートに期待せずにはいられなかった。
そしてこの年、この世界で初めて迷宮が攻略される。これにより、迷宮資源の有用性が証明され、迷宮のある領地を治める領主達は、今まで目も向けなかった辺境伯に頭を下げて、攻略のいろはを教えてもらうことになる。
多くの魔導具が辺境伯領の職人達の手で作り出されるようになり、五年もすれば国で一、二を争う大領地となった。
いつの間にか、キリアルートも血筋判定が可能な歳となっていた。
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