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第一章 冒険者の始まりと最初の出会い
010 これも勉強です
2018. 3. 16
**********
冒険者ギルド。昨日に訪れた時には、煩いくらいに賑わっていたのだが、今日は人数も少なく、全体的に元気がない。
落ち着いているというより、疲れ切っている様子だった。
「何かあったのか?」
「えらく静かですね。何か大きなクエストでも出たのでしょうか?」
マティアスとシェリスが首を傾げると、聞こえていた冒険者達は、気まずそうに目をそらしたように見えた。
冒険者達は昨晩、二人のお陰で
とはいえ、あまり人付き合いが得意ではないシェリスと、小さなことは気にしないマティアスには追及する気はなかった。
「まぁ、気にしても意味がありません。行きますよ」
「おう」
ギルドの奥。カウンターより右手に向かう。壁一面がクエストボードと呼ばれ、手のひら大のサイズの様々な形の木の板が、いくつもかけられている。
そこに記されているのが依頼内容だ。
「細かくて嫌になるなぁ。形が違うのはなんでだ?」
「大まかな種類が分かるようになっています。円形のものが採取依頼。四角が護衛。三角が配達。五角形が討伐です」
「へぇ……」
紙は貴重で値が張るため、公式に残して置かなくてはならないもの以外は大抵が木に墨で書かれている。
見れば、新しい最初のものは分厚く、不要になれば、だんだんと表面を削られて次の内容が書かれるのだ。
「気をつける必要があるのは、木の色が白いものです」
「難しいのか?」
「いいえ。難易度は一番上に書いてあるでしょう。白いものは、複数受けることができず、なおかつ、受けたギルドでしか清算ができないものです」
「なるほど……この町でずっと生活するなら良いが、旅をするなら良くないってことだな」
「そういうことです」
白い木版に書かれたものは、その町独自の依頼だ。とはいえ、内容はこの町の周辺で片付けられるものだけではない。
いくつもの国をまたがないと達成できないものもある。普通ならば、どの町でも達成の確認と清算は可能で、行った先で完了することができる。しかし、この白いものだけは、受けた場所のギルドに戻らなくてはならないのだ。
「なら、白は選ばないようにする。そんじゃぁ……ん?」
「どうしました? 変な内容がありましたか?」
「あ~……いや、なんでもない」
クエストボードを同じように見ている冒険者は数人おり、少し目についたクエストは、そんな冒険者の一人に持って行かれてしまった。
気を取り直して選び取る。
「う~ん。これはどうだ?」
「Aランクですか……構いませんが、少々交渉しなくてはなりませんね」
「そのランクってのが問題なのか?」
難易度を示すランクは全部で七段階。一番下からF、E、D、C、B、A、Sとなる。
「ええ。マティは登録したばかりなので、実績もありません。最初は誰でもFランクからのスタートです。本来、冒険者の安全のために、自身のランクより一つ上までしか受注することができないのです」
Fランクであるマティアスは、一つ上のEランクならば問題ない。ただし、Aと最上ランクのSは、同ランクのものしか受注できない。もちろん、冒険者は基本、自己責任だ。交渉し、命の危険が高くても文句は言わないとなれば、ギルド側も止めはしない。
「なんだよ、それ。面倒だな。Fって、薬草の採取依頼しかなさそうだぞ? Eでも……フットウルフか。あの灰色の野犬だろ? 群れでいても退屈だ。あいつら、すぐに尻尾振るしなぁ」
「尻尾ですか? はぁ、そうですねぇ。私と一緒ですから、なんとかなるでしょう。これと……これにしましょう」
シェリスは、尻尾を振るというのが気になるが、気にするほどのことでもないだろうと片付けたようだ。そして、円形のものを一つ手に取った。
これもAランクだ。採取クエストとしては珍しい。マティアスが先に選んだのが五角形。討伐クエストということで、バランスは良い。
「二つか。次の町にいくまでの暇つぶしにするなら、もっとどうだ?」
「まずはこれくらいにしましょう。それに、この二つが完了できれば、マティのランクも次の町でDに上がれますよ」
「マジ? よしっ、早速行こうぜ」
もう出発する気になっているマティアスに、シェリスは呆れる。
「これから交渉だと言ったでしょう? もう少し待っててください」
「分かった……早くしてくれよ?」
「あなたも来るんですよ」
「え~……」
シェリスに受け付けに行ってもらおうと思っていたマティアス。しかし、シェリスはマティアスの自立を目指しているのだ。何でもやらせるつもりでいた。
「面倒くさがらない。ちゃんと色々覚えてください」
「分かったよ……」
こうして、クエストの受注の仕方や、交渉の仕方などを見せたシェリスだが、数日後、少々後悔することになるとは知る由もない。
**********
舞台裏のお話。
冒険者A 「あ~、今日もキレイだ……」
冒険者B 「おいおい、呆け過ぎだ。シャキッとしろ」
冒険者A 「いいじゃねぇか。寝てねぇけど、いい気分なんだぜ?」
冒険者B 「……それ、良くないスイッチ入ってるって……」
冒険者C 「なぁなぁ、あの人ら、町を出るっぽいんだけど……」
冒険者A 「なんだとっ!」
冒険者C 「間違いねぇよ。選んだクエストから見ると……」
冒険者B 「おいおい、それはマナー違反だぞ」
冒険者C 「うっ、だって……」
冒険者A 「……よし、俺も町を出る」
冒険者B 「はぁ!?」
冒険者C 「あ、俺も! そろそろ旅立ちの季節だよな」
冒険者B 「どんな季節だ! ん? お、おい! まさかお前らまで……」
冒険者D 「思いの外、のんびりしてしまった。私も旅立とう」
冒険者E 「いやぁ、出発するにはいい天気だ」
冒険者B 「……マスターを呼んでくれ。至急だ」
職員 「了解です!!」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
追っかけ大移動は許しません。
こうして色々と覚えていきます。
次回、23日0時です。
よろしくお願いします◎
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冒険者ギルド。昨日に訪れた時には、煩いくらいに賑わっていたのだが、今日は人数も少なく、全体的に元気がない。
落ち着いているというより、疲れ切っている様子だった。
「何かあったのか?」
「えらく静かですね。何か大きなクエストでも出たのでしょうか?」
マティアスとシェリスが首を傾げると、聞こえていた冒険者達は、気まずそうに目をそらしたように見えた。
冒険者達は昨晩、二人のお陰で
とはいえ、あまり人付き合いが得意ではないシェリスと、小さなことは気にしないマティアスには追及する気はなかった。
「まぁ、気にしても意味がありません。行きますよ」
「おう」
ギルドの奥。カウンターより右手に向かう。壁一面がクエストボードと呼ばれ、手のひら大のサイズの様々な形の木の板が、いくつもかけられている。
そこに記されているのが依頼内容だ。
「細かくて嫌になるなぁ。形が違うのはなんでだ?」
「大まかな種類が分かるようになっています。円形のものが採取依頼。四角が護衛。三角が配達。五角形が討伐です」
「へぇ……」
紙は貴重で値が張るため、公式に残して置かなくてはならないもの以外は大抵が木に墨で書かれている。
見れば、新しい最初のものは分厚く、不要になれば、だんだんと表面を削られて次の内容が書かれるのだ。
「気をつける必要があるのは、木の色が白いものです」
「難しいのか?」
「いいえ。難易度は一番上に書いてあるでしょう。白いものは、複数受けることができず、なおかつ、受けたギルドでしか清算ができないものです」
「なるほど……この町でずっと生活するなら良いが、旅をするなら良くないってことだな」
「そういうことです」
白い木版に書かれたものは、その町独自の依頼だ。とはいえ、内容はこの町の周辺で片付けられるものだけではない。
いくつもの国をまたがないと達成できないものもある。普通ならば、どの町でも達成の確認と清算は可能で、行った先で完了することができる。しかし、この白いものだけは、受けた場所のギルドに戻らなくてはならないのだ。
「なら、白は選ばないようにする。そんじゃぁ……ん?」
「どうしました? 変な内容がありましたか?」
「あ~……いや、なんでもない」
クエストボードを同じように見ている冒険者は数人おり、少し目についたクエストは、そんな冒険者の一人に持って行かれてしまった。
気を取り直して選び取る。
「う~ん。これはどうだ?」
「Aランクですか……構いませんが、少々交渉しなくてはなりませんね」
「そのランクってのが問題なのか?」
難易度を示すランクは全部で七段階。一番下からF、E、D、C、B、A、Sとなる。
「ええ。マティは登録したばかりなので、実績もありません。最初は誰でもFランクからのスタートです。本来、冒険者の安全のために、自身のランクより一つ上までしか受注することができないのです」
Fランクであるマティアスは、一つ上のEランクならば問題ない。ただし、Aと最上ランクのSは、同ランクのものしか受注できない。もちろん、冒険者は基本、自己責任だ。交渉し、命の危険が高くても文句は言わないとなれば、ギルド側も止めはしない。
「なんだよ、それ。面倒だな。Fって、薬草の採取依頼しかなさそうだぞ? Eでも……フットウルフか。あの灰色の野犬だろ? 群れでいても退屈だ。あいつら、すぐに尻尾振るしなぁ」
「尻尾ですか? はぁ、そうですねぇ。私と一緒ですから、なんとかなるでしょう。これと……これにしましょう」
シェリスは、尻尾を振るというのが気になるが、気にするほどのことでもないだろうと片付けたようだ。そして、円形のものを一つ手に取った。
これもAランクだ。採取クエストとしては珍しい。マティアスが先に選んだのが五角形。討伐クエストということで、バランスは良い。
「二つか。次の町にいくまでの暇つぶしにするなら、もっとどうだ?」
「まずはこれくらいにしましょう。それに、この二つが完了できれば、マティのランクも次の町でDに上がれますよ」
「マジ? よしっ、早速行こうぜ」
もう出発する気になっているマティアスに、シェリスは呆れる。
「これから交渉だと言ったでしょう? もう少し待っててください」
「分かった……早くしてくれよ?」
「あなたも来るんですよ」
「え~……」
シェリスに受け付けに行ってもらおうと思っていたマティアス。しかし、シェリスはマティアスの自立を目指しているのだ。何でもやらせるつもりでいた。
「面倒くさがらない。ちゃんと色々覚えてください」
「分かったよ……」
こうして、クエストの受注の仕方や、交渉の仕方などを見せたシェリスだが、数日後、少々後悔することになるとは知る由もない。
**********
舞台裏のお話。
冒険者A 「あ~、今日もキレイだ……」
冒険者B 「おいおい、呆け過ぎだ。シャキッとしろ」
冒険者A 「いいじゃねぇか。寝てねぇけど、いい気分なんだぜ?」
冒険者B 「……それ、良くないスイッチ入ってるって……」
冒険者C 「なぁなぁ、あの人ら、町を出るっぽいんだけど……」
冒険者A 「なんだとっ!」
冒険者C 「間違いねぇよ。選んだクエストから見ると……」
冒険者B 「おいおい、それはマナー違反だぞ」
冒険者C 「うっ、だって……」
冒険者A 「……よし、俺も町を出る」
冒険者B 「はぁ!?」
冒険者C 「あ、俺も! そろそろ旅立ちの季節だよな」
冒険者B 「どんな季節だ! ん? お、おい! まさかお前らまで……」
冒険者D 「思いの外、のんびりしてしまった。私も旅立とう」
冒険者E 「いやぁ、出発するにはいい天気だ」
冒険者B 「……マスターを呼んでくれ。至急だ」
職員 「了解です!!」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
追っかけ大移動は許しません。
こうして色々と覚えていきます。
次回、23日0時です。
よろしくお願いします◎
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