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038 私の望んだことだぞ?
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久し振りにケルストに会った。
だいたい一年毎に会っていたのだ。二年も空けばそう感じるのも当たり前だろう。
「ケルスト……また強くなったな」
「っ、ん……師匠……会いたかった」
「ははっ。そうか。ほら、屈め」
「はい……っ」
嬉しそうに目の前で膝を突いたケルストのこめかみの辺りを撫でる。はじめの頃の、背が足りなくて屈んでもらっても頬までしか届かなかったのが懐かしい。
冒険者になって、余裕が出来たケルストは、いつの間にか騎士のように膝をつくことを覚えた。
それでもシルフィスカには、最初の頃と同じように、主人にのみ懐く魔獣のように思えてならない。
この間、ジルナリスはニヤニヤと笑い。侯爵は呆然としていた。レイルも痛みを忘れて呆けている。
「仕事は順調か?」
撫でながら問えば、小さく頷いた。
「でも……貴族相手の仕事……全部ヒリアとクルに回したら……怒られた……今回も……」
「なんだ。ヒリアリアとクルチスと一緒だったのか? 任せてここに? それはまた……」
ヒリアリアもクルチスも弟子で、特級になって一年ほどだ。特級になるための試験の前に挨拶に来た時、ケルストのことを話していたため、弟子同士で交流するようになったらしい。
ヒリアリアは双剣の使い手で、社交性の高い青年。今年二十二歳。他国の貴族の妾腹の子で、見た目も良い。義兄と元婚約者を見返したいと言っていたので、ダンスも仕込んでやったら、見事に貴公子になった。
それ以降、特級の他の弟子達も貴族関係で舞踏会などの護衛依頼があると、彼に振るようにしているようだ。別にヒリアリアは嫌ではないらしく、ダンスも好きだ。完璧に振る舞うことで自分を捨てた家への当て付けとしている。
特級に上がってからは特に、実家から戻って来ないかと打診されているらしい。それを拒否するのが楽しいのだという。良い性格をしている。
もう一人のクルチスは、元娼婦だ。年齢はそろそろ四十だろうか。鍛えている間にも、日々色香が増すばかりだった。彼女の武器はナイフ。
彼女は男性嫌い。とはいえ、仕事の上ではうまく取り繕って不快な思いはさせない。そこは元とはいえ娼婦としての高いプロ意識を忘れてはいないようだ。
ただ、キレると高笑いしながら張り付けにして投擲の的にしたり、確実に手を下す時は首を狙うという危ない女王様になるので注意が必要だ。
舞踏会に出ると、寄ってくる男達が不憫過ぎるというのが、正直なところだ。
「あ~……後で面倒そうだな。迎えに行くか」
「その内来る……問題ない」
「そうなのか? ならいいが……ん? ユジア?」
そこでユジアが居ることに気付いた。
「おやっ。ようやく気付いていただけましたか!」
シルフィスカはユジアの服装を確認する。一つ頷く。この場にいることはもちろん予想外だ。だが、気配だけはずっと感じていたので、彼はこの家に仕えているのだろう。もう一つ頷いた。
「……そういえば、執事だったか。違和感しかないな……気持ち悪い」
「ほっほっほっ。相変わらず手厳しい! ゾクゾクして堪りませんぞ!」
「あ、ユジアだ。良かった。きちんと変態だ」
それで安心するのもどうかと、周りが驚いているが、シルフィスカの知るユジアは正しく変態。痛いの大好き。罵られるのに快感を覚える。
とはいえ、この本性を見せるのはシルフィスカ相手の時限定らしいというのは付き合い始めてすぐに知った。なので、シルフィスカにとってユジア=変態で間違いない。
「お前がこの家の執事だって、何で言わない? というか、隠れてたよな? 会いたくないんだと思って知らない振りをしていたんだが……」
「私がシルフィ様に会いたくないですと!? そ、そのように……っ、あえて無視されるのがちょっと気持ちイイとは思ってました!」
「だよな。そんな気してた」
いつかやって欲しいと言っていたのが『放置プレイ』というやつ。全く意味が分からなかったが、多分コレだ。
そこで重要なことに気付く。後を追ってきたキリルへ一度目を向ける。そうすると、キリルは不思議そうに首を傾げた。
「どうされました?」
「ん? ああ……キリル。お前、まさかコイツの下で……」
「え、はい。尊敬する先輩ですが」
「……変態が感染って……ない……よな?」
「はい? ヘン……あの?」
シルフィスカはよくキリルを見て、今までのキリルと、ユジアに出会う前のキリルを思い出す。
頷いた。
「大丈夫そうだな。よかった……」
「は、はあ……」
キリルにはユジアの変態ぶりが理解できなかったらしい。それならそれで良い。キリルには白いままでいて欲しい。
「そこまで安心されるとはっ。これは期待されていましたかな!? 期待を裏切ってしまいましたかな!?」
「それが気持ち悪い。きっちり執事服着てるのとかも……普通に笑えるんだが」
「なんとっ! では今すぐに脱ぎます!」
「脱ぐな変態。仕事して来い」
「その目! 冷た過ぎて美しい!!」
「「「「「……」」」」」
誰もが絶句していた。やはり、変態行動はシルフィスカの前でだけだったようだ。
周りが引いているなと見回す。そこでようやくレイルが壁を背に座り込んでいることに気付いた。
「旦那様? あ、ケルスト?」
なんとなく事情を察した。ビスラ達の態度でも理解している。きっと、弟子達はシルフィスカの自由を奪う者を許さないのだ。だから、必要以上にレイルに突っ掛かる。
会話が苦手なケルストだ。手や足を先に出したのだろうと予想できた。
「ん……俺は悪くない……弟子なら……やってもおかしくない」
「っ、ぅ……っ」
「こら。殺気を当てるな。旦那様。すぐに治療します」
「っ、い、いや……っ、ありがとう……」
一度断ろうとしたレイル。だが、どうやら他の弟子達が今度は威圧したようだ。
それには気付かない振りをしてやり、レイルに治癒魔法をかけた。一瞬で傷付いていた内臓も元通り。やり過ぎだと苦笑した。
「治りましたよ」
「すまない……本当に……」
立ち上がったレイルは、深く頭を下げた。それは多分、シルフィスカにだけではなかった。
「旦那様?」
落ち込む様子を見てどうしたのかと、少し高い位置にある顔を覗き込む。
「っ、い、いえ。お手を煩わせてすみません。その……そちらの方と話をさせていただきたいのですが、構いませんか?」
「ケルストとですか?」
振り返ってケルストを見れば、少し怖い顔をしていた。親しい者以外には無表情に見えるだろう。だが、シルフィスカやユジアには不機嫌であることが分かった。
ケルストはただでさえ口下手だ。察しなければならない事も多い。話が出来るだろうかと考える。すると、ユジアが視界に割り込んだ。
「ご心配要りませんぞ。私がついておきましょう。シルフィ様は少しお休みになられるべきですな。後ろの方々が、先ほどから休ませろと訴えておりますし」
後ろ。そこには、ユキトとサクラが居た。
「……よく分かったな」
「これでも主人に仕えるということを知っておりますからなあ。分かりますよ」
「ただの変態ではなかったか」
「なんと!! 褒められましたな! 興奮して眠れなくなりそうです!」
「……その時はケルストに落としてもらえ」
「ユジア……やる?」
「今は結構ですぞー♪」
めちゃくちゃ笑顔だった。やはり変態だ。
そんな中、ビスラ、フラン、ミィアが前に出る。
「そんじゃ、俺らも混じるか?」
「そうですね。言いたいことはまだまだ沢山ありますし」
「この際にな」
「お前たち?」
同じように疲れているはずだが、三人の気力は充分なようだ。まだレイルに言い足りないのかと少しばかり呆れる。
「あまり迷惑をかけるな。ここへ来たことで家から解放されたんだ。私の望んだことだぞ?」
もちろん、押しつけられたものではある。だが、それでも、あの家から出られたことは大きい。
「それでも……」
「ケルスト……?」
ゆっくりと立ち上がったケルストは、シルフィスカの手を取り、引き寄せた。そっと抱きしめられる。それは、壊れないように、締め付けないように全力で気を付けているのが分かるほど不器用な抱擁。
「誰よりも幸せで居て欲しいから……だから、許せない……あの家の奴らも……」
「ケル……っ」
ゆっくりと離され、ユキト達の方へと背を押された。すると、ごく自然にユキトに手を取られる。
「師匠は……休んで……三日もすれば……きっと全員揃う……」
「全員……」
全員とはまさかと考える。
「シルフィ様。参りましょう。お休みになられなくては……お怪我の治療もさせていただきます」
「あ、ああ……」
「失礼いたします」
ユキトは、問答無用でシルフィスカを横抱きにした。驚く暇さえ与えず、離れの屋敷に向かって歩き出す。その後ろにはサクラがおり、キリルは残るようだ。
「ユキト」
「ご命令であっても下ろしません。膿んでいたらどうするのですか。傷が残るなど……許せません」
「いや、もうほとんどふさがっているし、唾付けといても治る」
それくらい大丈夫だと伝えたかったのだが、ユキトは真面目に返してきた。
「なるほど。ではお舐めしましょうか。構いませんよね?」
「ダメだろ……おい。ユキト。絶対にそれはやめろよ?」
「さて、それは傷の具合によりますね。どうします? きちんと手当てさせていただけますか?」
「……頼む……」
「はい。そのあとはしっかりと睡眠を取っていただきます。どこぞの国王が来たとしても通しませんのでご安心ください」
「……わかった……」
多分、ユキトには絶対にこういうことで逆らってはいけない。ある意味での古代兵器の恐ろしさを知ったシルフィスカだった。
そして、しばらくして、とあるユキトの言葉が現実になる。
国王と第一王子が侯爵家を訪ねてきたのだ。
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読んでくださりありがとうございます◎
次回、26日の予定です。
よろしくお願いします◎
だいたい一年毎に会っていたのだ。二年も空けばそう感じるのも当たり前だろう。
「ケルスト……また強くなったな」
「っ、ん……師匠……会いたかった」
「ははっ。そうか。ほら、屈め」
「はい……っ」
嬉しそうに目の前で膝を突いたケルストのこめかみの辺りを撫でる。はじめの頃の、背が足りなくて屈んでもらっても頬までしか届かなかったのが懐かしい。
冒険者になって、余裕が出来たケルストは、いつの間にか騎士のように膝をつくことを覚えた。
それでもシルフィスカには、最初の頃と同じように、主人にのみ懐く魔獣のように思えてならない。
この間、ジルナリスはニヤニヤと笑い。侯爵は呆然としていた。レイルも痛みを忘れて呆けている。
「仕事は順調か?」
撫でながら問えば、小さく頷いた。
「でも……貴族相手の仕事……全部ヒリアとクルに回したら……怒られた……今回も……」
「なんだ。ヒリアリアとクルチスと一緒だったのか? 任せてここに? それはまた……」
ヒリアリアもクルチスも弟子で、特級になって一年ほどだ。特級になるための試験の前に挨拶に来た時、ケルストのことを話していたため、弟子同士で交流するようになったらしい。
ヒリアリアは双剣の使い手で、社交性の高い青年。今年二十二歳。他国の貴族の妾腹の子で、見た目も良い。義兄と元婚約者を見返したいと言っていたので、ダンスも仕込んでやったら、見事に貴公子になった。
それ以降、特級の他の弟子達も貴族関係で舞踏会などの護衛依頼があると、彼に振るようにしているようだ。別にヒリアリアは嫌ではないらしく、ダンスも好きだ。完璧に振る舞うことで自分を捨てた家への当て付けとしている。
特級に上がってからは特に、実家から戻って来ないかと打診されているらしい。それを拒否するのが楽しいのだという。良い性格をしている。
もう一人のクルチスは、元娼婦だ。年齢はそろそろ四十だろうか。鍛えている間にも、日々色香が増すばかりだった。彼女の武器はナイフ。
彼女は男性嫌い。とはいえ、仕事の上ではうまく取り繕って不快な思いはさせない。そこは元とはいえ娼婦としての高いプロ意識を忘れてはいないようだ。
ただ、キレると高笑いしながら張り付けにして投擲の的にしたり、確実に手を下す時は首を狙うという危ない女王様になるので注意が必要だ。
舞踏会に出ると、寄ってくる男達が不憫過ぎるというのが、正直なところだ。
「あ~……後で面倒そうだな。迎えに行くか」
「その内来る……問題ない」
「そうなのか? ならいいが……ん? ユジア?」
そこでユジアが居ることに気付いた。
「おやっ。ようやく気付いていただけましたか!」
シルフィスカはユジアの服装を確認する。一つ頷く。この場にいることはもちろん予想外だ。だが、気配だけはずっと感じていたので、彼はこの家に仕えているのだろう。もう一つ頷いた。
「……そういえば、執事だったか。違和感しかないな……気持ち悪い」
「ほっほっほっ。相変わらず手厳しい! ゾクゾクして堪りませんぞ!」
「あ、ユジアだ。良かった。きちんと変態だ」
それで安心するのもどうかと、周りが驚いているが、シルフィスカの知るユジアは正しく変態。痛いの大好き。罵られるのに快感を覚える。
とはいえ、この本性を見せるのはシルフィスカ相手の時限定らしいというのは付き合い始めてすぐに知った。なので、シルフィスカにとってユジア=変態で間違いない。
「お前がこの家の執事だって、何で言わない? というか、隠れてたよな? 会いたくないんだと思って知らない振りをしていたんだが……」
「私がシルフィ様に会いたくないですと!? そ、そのように……っ、あえて無視されるのがちょっと気持ちイイとは思ってました!」
「だよな。そんな気してた」
いつかやって欲しいと言っていたのが『放置プレイ』というやつ。全く意味が分からなかったが、多分コレだ。
そこで重要なことに気付く。後を追ってきたキリルへ一度目を向ける。そうすると、キリルは不思議そうに首を傾げた。
「どうされました?」
「ん? ああ……キリル。お前、まさかコイツの下で……」
「え、はい。尊敬する先輩ですが」
「……変態が感染って……ない……よな?」
「はい? ヘン……あの?」
シルフィスカはよくキリルを見て、今までのキリルと、ユジアに出会う前のキリルを思い出す。
頷いた。
「大丈夫そうだな。よかった……」
「は、はあ……」
キリルにはユジアの変態ぶりが理解できなかったらしい。それならそれで良い。キリルには白いままでいて欲しい。
「そこまで安心されるとはっ。これは期待されていましたかな!? 期待を裏切ってしまいましたかな!?」
「それが気持ち悪い。きっちり執事服着てるのとかも……普通に笑えるんだが」
「なんとっ! では今すぐに脱ぎます!」
「脱ぐな変態。仕事して来い」
「その目! 冷た過ぎて美しい!!」
「「「「「……」」」」」
誰もが絶句していた。やはり、変態行動はシルフィスカの前でだけだったようだ。
周りが引いているなと見回す。そこでようやくレイルが壁を背に座り込んでいることに気付いた。
「旦那様? あ、ケルスト?」
なんとなく事情を察した。ビスラ達の態度でも理解している。きっと、弟子達はシルフィスカの自由を奪う者を許さないのだ。だから、必要以上にレイルに突っ掛かる。
会話が苦手なケルストだ。手や足を先に出したのだろうと予想できた。
「ん……俺は悪くない……弟子なら……やってもおかしくない」
「っ、ぅ……っ」
「こら。殺気を当てるな。旦那様。すぐに治療します」
「っ、い、いや……っ、ありがとう……」
一度断ろうとしたレイル。だが、どうやら他の弟子達が今度は威圧したようだ。
それには気付かない振りをしてやり、レイルに治癒魔法をかけた。一瞬で傷付いていた内臓も元通り。やり過ぎだと苦笑した。
「治りましたよ」
「すまない……本当に……」
立ち上がったレイルは、深く頭を下げた。それは多分、シルフィスカにだけではなかった。
「旦那様?」
落ち込む様子を見てどうしたのかと、少し高い位置にある顔を覗き込む。
「っ、い、いえ。お手を煩わせてすみません。その……そちらの方と話をさせていただきたいのですが、構いませんか?」
「ケルストとですか?」
振り返ってケルストを見れば、少し怖い顔をしていた。親しい者以外には無表情に見えるだろう。だが、シルフィスカやユジアには不機嫌であることが分かった。
ケルストはただでさえ口下手だ。察しなければならない事も多い。話が出来るだろうかと考える。すると、ユジアが視界に割り込んだ。
「ご心配要りませんぞ。私がついておきましょう。シルフィ様は少しお休みになられるべきですな。後ろの方々が、先ほどから休ませろと訴えておりますし」
後ろ。そこには、ユキトとサクラが居た。
「……よく分かったな」
「これでも主人に仕えるということを知っておりますからなあ。分かりますよ」
「ただの変態ではなかったか」
「なんと!! 褒められましたな! 興奮して眠れなくなりそうです!」
「……その時はケルストに落としてもらえ」
「ユジア……やる?」
「今は結構ですぞー♪」
めちゃくちゃ笑顔だった。やはり変態だ。
そんな中、ビスラ、フラン、ミィアが前に出る。
「そんじゃ、俺らも混じるか?」
「そうですね。言いたいことはまだまだ沢山ありますし」
「この際にな」
「お前たち?」
同じように疲れているはずだが、三人の気力は充分なようだ。まだレイルに言い足りないのかと少しばかり呆れる。
「あまり迷惑をかけるな。ここへ来たことで家から解放されたんだ。私の望んだことだぞ?」
もちろん、押しつけられたものではある。だが、それでも、あの家から出られたことは大きい。
「それでも……」
「ケルスト……?」
ゆっくりと立ち上がったケルストは、シルフィスカの手を取り、引き寄せた。そっと抱きしめられる。それは、壊れないように、締め付けないように全力で気を付けているのが分かるほど不器用な抱擁。
「誰よりも幸せで居て欲しいから……だから、許せない……あの家の奴らも……」
「ケル……っ」
ゆっくりと離され、ユキト達の方へと背を押された。すると、ごく自然にユキトに手を取られる。
「師匠は……休んで……三日もすれば……きっと全員揃う……」
「全員……」
全員とはまさかと考える。
「シルフィ様。参りましょう。お休みになられなくては……お怪我の治療もさせていただきます」
「あ、ああ……」
「失礼いたします」
ユキトは、問答無用でシルフィスカを横抱きにした。驚く暇さえ与えず、離れの屋敷に向かって歩き出す。その後ろにはサクラがおり、キリルは残るようだ。
「ユキト」
「ご命令であっても下ろしません。膿んでいたらどうするのですか。傷が残るなど……許せません」
「いや、もうほとんどふさがっているし、唾付けといても治る」
それくらい大丈夫だと伝えたかったのだが、ユキトは真面目に返してきた。
「なるほど。ではお舐めしましょうか。構いませんよね?」
「ダメだろ……おい。ユキト。絶対にそれはやめろよ?」
「さて、それは傷の具合によりますね。どうします? きちんと手当てさせていただけますか?」
「……頼む……」
「はい。そのあとはしっかりと睡眠を取っていただきます。どこぞの国王が来たとしても通しませんのでご安心ください」
「……わかった……」
多分、ユキトには絶対にこういうことで逆らってはいけない。ある意味での古代兵器の恐ろしさを知ったシルフィスカだった。
そして、しばらくして、とあるユキトの言葉が現実になる。
国王と第一王子が侯爵家を訪ねてきたのだ。
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