エセ関西人(笑)ってなんやねん!? 〜転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします〜

紫南

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7th ステージ

070 会ってみたかった

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リンディエールの両親であるディースリムとセリン、それとベンディ・リフスがいつもよりも緩慢かんまんな動きで、ヒストリアを見上げながらゆっくりと子ども達の後ろに辿り着いた。

ヒストリアが目を向けると、ディースリムとセリンはびくりと肩を揺らす。

昨晩。ファルビーラとヘルナからヒストリアに会ったらきちんと御礼を言うようにと念を押されたためだ。これにより、ようやく彼らはリンディエールが幼い頃に死にかけたことを正しく認識した。

遅過ぎる認識に、ファルビーラもヘルナもさすがに呆れ返っていたようだ。とはいえ、本当に今更なので仕方がない。

そして今、ディースリムとセリンは、初めて王に謁見する時よりも緊張していた。

《リンの両親だったな》
「っ、あ、は、はい。リンの父でディ、ディースリムと申します。こっちが妻のセリンですっ。む、娘を助けてくださりありがとうございました!」

とりあえず御礼は言えた。とっても頑張った感がある。だが、気になることがあったようだ。

「……あの……なぜ、私たちが親と……」
「っ!!」

驚きながらも、思わずなぜすぐに分かったのかとディースリムは尋ねた。セリンも目を丸くしている。リンディエールと似ているところが少ないと自覚があるためだ。

これに、ヒストリアは喉を鳴らすように笑う。

《すまんな。グランが付くまで、リンがとんでもないことをしでかさないか心配で、時折使い魔を飛ばしていたのだ。そこで、お前たちも確認していた》
「えっ……」

ヒストリアはそのまま続ける。

《なんせ、まともな武器も持たずに一人でゴブリンキングに挑むような娘だからな。普段からも、思い付いたらすぐに行動に移したがる性格だ。もちろん、屋敷の中だろうがどこだろうが、唐突に色々と始める……六つになる頃までが一番酷かったな……》

どこか遠いところへ視線を投げるヒストリア。

《何度屋敷が吹っ飛ぶかと思ったか……》

問いかけたのはフィリクスだった。

「あのっ。リンは一体何を?」

彼は、リンディエールのことを知りたくて仕方がないのだ。チャンスとばかりに目を輝かせる。

自分の知らないリンディエールを知っているヒストリアに嫉妬しなくはないが、知らない分は知れば良いのだと前向きに考えていた。

《ん? ああ。リンは自他ともに認める魔法バカでな。ここで魔法を覚えてから、毎日何かしら魔法を発動させていたのだ。ここでならばまだ良いが、屋敷でもやり出してな……最初にやらかしたのは、風の魔法だ》
「風なら……そう危ないこともないのでは?」
《そう思うだろう? 『おそうじまほうや!』とか言いながら、机や椅子どころかベッドやドレッサーまで風で浮かべて、埃を集めるつもりで部屋の中で竜巻を起こしていた》
「……」
《あと少し声を掛けるのが遅れていれば、窓やドアだけでなく、壁も風圧で吹き飛んだだろう》
「……」

まだ力の調整が上手くいっていない時で、慌ててヒストリアが通信を入れなければ、そのまま屋敷ごと吹っ飛んでいた可能性は、極めて高い。

《グランが来てくれて、本当に良かったよ。リンも、近くに見張ってくれる者が居ると分かっていれば、多少は自制が効く。まあ、それでも突発的にやり始めたりもするが、集中してやらかす前にグランが気付くからな》
「そうでしたか……」

風の魔法でそれならば、他はどうだったのだろうかと不安になる話だった。

話し終えたヒストリアは、真っ青になる二人に目を向ける。ディースリム達の後ろについていたシュルツとギリアンだ。しかし、彼らよりも先にと、ずっと真っ直ぐに見つめてくるベンディに目を留めた。

《そちらは、リンの友人のベンディ殿だな》
「はい。ベンディ・リフスと申します。先立って、ここ、デリエスタ領と領地を並べることとなりました」

ベンディは真面目な顔で、初対面にしては珍しくはっきりと伝えてきた。

《ヒストリアだ。君にはぜひとも会ってみたかった》
「私に……」

不思議に思うベンディをよそに、ヒストリアは一冊の本を取り出して、それをベンディの前へ飛ばした。

「これは……?」
《伝説の筆耕士、ユフラン・ミフルースの書いた『書字集』だ》
「ッ、ユフランの!? み、拝見しても!?」
《ああ。君の字を見て、きっと好きだろうと思ったんだ。こればかりは、写してという訳にはいかないのでな》
「た、確かに……よ、よろしいでしょうか」
《よければそのまま貸そう》
「そ、そんな!?」

かつてないほどベンディは興奮し、声を出していた。

彼の様子からも明らかなように、ユフランのファンらしい。ヒストリアは、ベンディの字を見てユフランの字を真似ていると気付いた。

これまでもユフランに憧れて、それを真似る者は多く、そういった者たちの書いた本もいくつも持っているのだ。

そうしてユフランの字を手本にする者たちが書いた本は、とても読みやすく美しい書物とされる。

リンディエールによって初めてベンディの字を見た時、この時代にも居たかとヒストリアは嬉しく思ったものだ。

《その本には特殊な術が込められていてな。所有者が貸し与えた者にしか手に出来なくなる。安心して持っていてくれ。こういうものだから、直接会わなければ渡せなかった。会えて良かったよ》
「っ、あ、ありがとうございます!」

大感激したベンディ。少年のような表情で目を通し出した。それを確認して、ようやくシュルツとギリアンへ目を向ける。

待っていたというように、シュルツとギリアンは一歩前に出て丁寧に頭を下げた。

「お初にお目にかかります。家令のシュルツと申します。お嬢様をお助けくださったこと、深く感謝申し上げます」
「現領主護衛長のギリアンです。私からも御礼申し上げます。情けなくもリンお嬢様に教えられてではありますが、当家に紛れていた闇ギルドの者も捕らえることができました。ご挨拶が遅くなりましたこと、お詫びいたします」

これに、全ての視線が集まっていた。

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読んでくださりありがとうございます◎
また来週!
よろしくお願いします◎
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