エセ関西人(笑)ってなんやねん!? 〜転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします〜

紫南

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14th ステージ

148 待たせたなあ

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リンディエールは迷宮の真ん中で両膝をつき、握った拳を振り上げて雄叫びを上げていた。

「いっよっしゃぁぁぁぁっ!! 五百いったどぉぉぉぉっっっ」

ウィストラ国の王都の地下。そこに、神の創り上げた巨大な迷宮があった。リンディエールは先ずは様子見ということで、この迷宮を一人で攻略していたのだが、聖皇国の迷宮を完全攻略してから半月。

あとレベル十上げるのにひと月はかかると思っていたのだが、思ったよりもこの迷宮は難易度が高かったらしい。

たった今、三十階層を攻略。中ボスを倒した所だった。

「はあぁぁぁぁ~……中ボスがミノタウロス三兄弟とは……いや、親子やったかも? えらいデカかったなあ……」

十階層ごとに中ボスがおり、この三十階層までの三体のボスがミノタウロスだった。そして、だんだんと大きく見た目もごっついのが現れていた。

「ドロップも……これは、ヒーちゃん用か? デカすぎやろっ!」

床に転がるのは、巨大なミノタウロスの持っていた大きなハルバードだった。リンディエールには絶対に持ち上がらない。長さがリンディエールの背を三倍しても足りない大きさなのだ。

刃の所など、リンディエールが体を丸めても半分も埋まらない。

ミノタウロスがデカすぎた。ドラゴンであるヒストリアと同じくらいの大きさだったのだ。

最初、部屋に入ってその大きさを見た時、遠近感がおかしくなったのかと思ったというのが、リンディエールの感想だった。

「ドラゴン用とか意味わからんわっ! ドラゴンがハルバード持って追っかけてくるとか、笑かす気か!? 笑かせばええんか!? まさかそっち用か……?」

ドラゴンがハルバードを振り回すというのは、見た目的におかしい。なんだか滑稽に見えそうだ。だが、大きさからすると、ヒストリアくらいの巨大でないと持てない。

「いや、どっかの門番みたいに見え……る? かもしれん……遠近感おかしくなりそうやけど……」

リンディエールは真剣に想像してみた。立派なドラゴンに合う門があればいけると。

「これはやらなあかんなっ!」

よしっと頷いて、リンディエールは晴々しく笑う。

「そんじゃ! やったるでっ!!」

気合いを入れてリンディエールは迷宮を飛び出すと、ヒストリアの下へと転移した。

そこでは、グランギリアを先生にして、魔法の訓練をする家族や友人達の姿があった。

リンディエールが転移門ではなく、いきなりヒストリアの前に現れたことに気付き、グランギリアが声を掛けた。

「リン様。お帰りなさいませ。今日はお早いお戻りですね」

迷宮ではついつい夢中になってしまうこと、キリがつく所まで進まなくては、転移できないということがあり、夕食が終わってから帰宅ということもあった。

特に、今攻略を進めている迷宮は、一つの階層が広大だ。階層が終わる所、次の階層への入り口の間でしか抜け出すことができないというのが迷宮だった。

リンディエールならば、門限となっている寝る時間のギリギリまで計算して進む。そこは信用していた。

泊まりになりそうな時は、きちんと出かける前に宣言していく。本来ならば、護衛もなく一人で出かけることも、外泊もあり得ない立場と年齢だが、母親でさえも、もう文句は言わない。

心配するだけ無駄だと、誰もが思っているのだ。それは諦めたとか、関心がないというものではなく、リンディエールの強さや自己管理力を信頼しているからだ。

グランギリアにニッと、意味ありげに笑った後、リンディエールは大きく深呼吸をする。

雰囲気が変わったことに、真っ先に気付いたのはヒストリアだった。

《……リン?》
「うん……ヒーちゃん。待たせたなあ」
《……まさか……》
「五百と二」
《……は?》
「五百と二や! めっちゃ中ボスが強かったわっ。それと、階層内を全滅させたのが良かったんかもしれん。気付いたら五百越えとった」
《……リン……》

呆然した後、ヒストリアは笑いはじめた。

《五百を……くっ、くくくっ。はははははっ》

本気で、愉快だと。腹を抱えて笑っていた。

《ははっ。お前は本当にっ……すごい奴だな》
「当然や。ヒーちゃんの親友なんやからなっ」
《そうか……ああ……そうだな》

泣き笑いのような、そんな表情をしたヒストリアに、リンディエールは胸を張った。

そして、一歩、一歩とヒストリアの結界に近付き、触れるために手を伸ばす。

「そんなら、覚悟はええか?」
《……ああ……頼んだ》
「任せえ!」

結界に魔力を込めると、ヒストリアが繋がれている鎖が襲ってきた。それを、リンディエールは小太刀を抜いて躊躇わずに一閃、切り裂いたのだ。








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