エセ関西人(笑)ってなんやねん!? 〜転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします〜

紫南

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14th ステージ

157 起爆スイッチ

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リンディエールとヒストリアは王太子であるローグナーと護衛も連れてその場所に立っていた。

ローグナーはそこに階段が現れたことに唖然とする。

「っ、こんなものが……今まで気付かなかったとは……」

護衛の騎士達も顔を青ざめていた。王城の敷地内に、こんな隠し階段が現れたら驚くのも無理はない。彼らからすれば、見回りもある中で、今まで誰も見つけられなかったというのが衝撃なのだろう。

しかし、見つけられなかったのは仕方がないことだ。リンディエールは、ウィストラ国でも同じようにショックを受けている騎士や魔法師が多かったなと思い出す。

「しゃあないわ。これは神が用意したもんやからなあ」
「そっ、それならば……いえ、ですが、いつ頃に……」

騎士の中でもまとめ役なのだろう。王太子よりも少しばかり年上の男性が問いかける。

リンディエールは笑顔で答えた。

「地上と階段を繋げたんは、一年前やって言うとったわ」
「そうですか……」

そう聞いても、騎士としては納得できないだろう。

「いや、普通は見つけられんって。神の方も意地になっとってなあ……怒っとった頃やもん」
「怒って……神がですか……」
「せやで? 研究者らが数年後に大氾濫がある言うて訴えても無視しとったり、聖皇国の横暴を止められんかったり、色々と不満が溜まっとったんやろ」

魔族と呼ばれる者達との交流を、能力に対する嫉妬で断絶した頃から、神の不満は募っていたはずだ。

「今の、平和慣れした貴族らは、事が起きても自分らだけ助かればええと考えとる。その根性も神からしたら気に入らんねん」

そんな人たちばかりではないが、どうしてもそうした問題のある者達が目立ってしまう。そちらに目がいってしまいがちだ。その他大勢を見ると印象は悪くなってしまう。

「そんで『こんな奴らばっかりなら、一度全部無くしてしまえ!』と考えられても不思議やないやろ?」
「……それは……神がそう思われている……と?」

ローグナーが恐る恐る確認してくる。これに、リンディエールは迷わず頷いた。

「せやで。やから、この入り口を王城に設定したんよ。バカ共が真っ先に死ぬやろ。ここに迷宮があるやなんて知らんから、その迷宮がいつ氾濫を起こしても、不思議やないし」
「っ、まさか……いつでも……」
「いつでも手を下せるようにしたんよ」
「「「っ……」」」

神の判断で、いつでもその国を落とせる状態にされていたということだ。爆弾を貴族が集まる王城の真下にセットし、いよいよ気に入らないと思った時に起爆スイッチをいつでも押せるように、そこまで神は用意していたのだ。

「まあ、その苛立ちも今は抑えられとるし、貴身病の問い合わせで来た使者に、ついでに王城地下の迷宮についての通達もしとる。そろそろ、入り口を探し始めとるやろ。見つけられるかは知らんが」

治療法が分からなかった病。それも、王侯貴族がかかるということで、各国も慎重だった。治療法が分かったと報告しても、治療できるものだとは思えなかった為、本当かどうかしばらく様子見をしていたようだが、ここひと月で大陸中の国の使者がウィストラ国にやって来ている。

この治療法が本当に効くのだと分かれば、同時に教えられた大氾濫についての信憑性も増し、地下迷宮についても確認しようとするだろう。

「……見つけられないのですか……?」
「どうも、それなりに人は選んでそうやわ。神なりの優しさやろうなあ」

そこで、先に階段を降りて中を確認していたヒストリアが階段を上り、入り口となっていた石の扉に触れながら続ける。

「中に入って対応できる力量があるかどうか、これで確認しているんだろうな。ここを開けられる力か魔力を持っているかどうかを」

聖皇国の迷宮は、魔力の質を判断されていた。ウィストラ国の迷宮では、身体強化を使えるかどうか。

「ここのも、ウィストラと同じで、身体強化がそれなりに出来ないとならないようだな」
「……リン嬢が開けていましたが……」

碑石の台座の所に石の扉があったのだ。それをリンディエールは普通に開けていた。だから、それほど力のいる重さではないと思い込んでいたようだ。

だからこそ、騎士達はコレに気付かなかったことに、必要以上に衝撃を受けていた。

ヒストリアが騎士に声をかける。

「これ、引っ張ってみると良い」

片方の扉。鉄の輪の取手を指差して促す。

「はい……」

そして、それを持ち上げようとした騎士は、微かにも動かない重さに目を丸くする。

「っ……え?」
「重さからすると、お前達全員の体重でもまだ軽いぞ。身体強化は使えるか?」
「はい……やってみます……っ!!」

それでもピクリとも動かなかった。それを見て、リンディエールは首を横に張る。

「あ~……無理やでヒーちゃん。ウィストラの迷宮より、強めに身体強化せなあかんかったもん。何が居るんやろ……」

思わず階段の奥へと視線を向けるリンディエール。その視線に釣られて見たローグナーと騎士達は、ゴクリと唾を飲み込む。

ヒストリアも同じように目を向けて口を開く。

「ゴトゴト音がした。中はそれなりに整備された洞窟といった感じだったから、パターンで推測すると、ゴーレム系だな」
「剣がダメになるやつやん……ってことで、騎士さんら、身体強化訓練と、体術の訓練を頑張ろか」
「「え?」」
「……リン嬢が攻略するのでは……?」

ローグナーが表情を固くする。

「そのつもりやったけど、思ったんよ。訓練にも使えるて。ウィストラでは、スパルタ気味に尻叩いて、他の迷宮に潜らせて訓練しとるけど、近場で使えるんやもん。使ったらええと思わん? ほら、遠征費もバカにならんやん」
「……そ、そうですね……」
「大丈夫や。やる気があるゆうことを態度で見せれば、神も起爆スイッチ押さんて」
「……そう……ですか……」

リンディエールとしては、その日の気分でも、あの神なら『押しちゃおっかな~』とやりそうだとも思っているが、それは言わないでおく。

「この扉を開けられるようになる訓練だけでも意味あるで?」

確かにと頷く騎士達。ヒストリアも頷き、リンディエールに確認する。

「それに、ヘルナやファルも攻略に乗り気なんだろう? バーグナーもあの性格だと加わるだろうし、否応なく巻き込まれるだろう」
「その辺に居ると、引っ張って行かれるかもしれへんで? そうなると今から気合いを入れななあ」
「「「……はい……」」」

これは大変なことになったぞと、騎士達だけでかくローグナーも顔色を失くしていた。








**********
読んでくださりありがとうございます◎


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