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14th ステージ
158 怒っとった時やろ?
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リンディエールの見ている先では、この迷宮に挑戦できるかどうかという試しが行われている。
碑石の台座、そこに地下へ続く階段が隠されている、石で出来ているらしい扉がある。騎士達や冒険者達の手ではびくともしない扉を見ながら、リンディエールはベンチに座り、頬杖をついて近づいてきたヒストリアに問う。
「結局、あの扉……何で出来とるん?」
「そうだなあ……ただの石ではないのは確かだが……」
「重さに比べて、大きさもそうやけど、厚みがないねんなあ」
「ああ。あれならば、謁見の間の扉くらいだろう」
「あそこの扉も重厚やもんなあ」
普通の扉よりは十分に分厚い。しかし、持ち上げられないほど、大の大人の男がピクリとも動かせないほどの見た目の厚さはない。
「大きさやって、横はうちが片方の腕を広げた幅くらいやろ?」
「そうだな。縦もリンの身長に少し足りないくらいだ」
それが片方の扉だけの大きさだ。大きすぎるということもない。
「あないな重い鉱石なんてあるん? 手触りはザラザラした普通の石みたいやし」
「あるんだろうな……俺も鉱石はそれほど詳しくないからなあ」
「うちも知らんよ」
一般的になものは知っていても、特殊な鉱石までは知らない。興味もなかった。
「けど、あれ……なんや、魔力吸われるゆうか……変な感じせんかった?」
「……したな。気のせいかとも思ったが……」
「それで、思ったんやけど、今までにもあった入り口なあ……同じ石やったかもしれん」
「ん? どういうことだ?」
リンディエールが手を握ったり開いたりしながら、その手を見て説明する。
「吸われる感じがなあ……同じなんよ。やから、魔力の方も、アレで判断しとる可能性があるんやないかと……」
「……」
「聖皇国の迷宮は、魔力登録せな扉が現れんかったけど……」
「ウィストラやここでは、そんな感じがないな。まさか、それを強制的に?」
「それも考えたんやけど……これ、作ったん、怒っとった時やろ?」
「……」
神が、苛立ちながらも、精神安定のために作り上げたものだ。深夜テンションみたいな感覚も入っていたりするが、基本的に親切や優しさはないと言って良いはず。
もっとも怒りが向けられていたはずの聖皇国を考えてみると、リンディエールはとある予想を立てた。
「うち、なんでかさっき、魔力の質と人間性……倫理観の研究を思い出したんよ……」
「……まさか……」
「……選別していそうで怖いなあと……」
「……あの扉の試しは力だけではなく、魔力の……質? 神ならもっと……何かを読み取れるかもしれないな……」
魔力の質が人の性格でも変わるものだという研究があった。古い研究だが、今でも細々とデータを取って研究している者もいる。
「マークはされそうやん? 魔力で個人を特定できるゆうんは、分かっとるし」
「ああ……」
「これで、ブラックリスト作っとるかも?」
「……ない……とはいえないな……聞いてみないのか?」
神とコンタクトを取れるリンディエールならば、その真相を直接聞くこともできる。だが、リンディエールは目を逸らした。
「確認すんの、怖いやん……」
「……そうだな……」
この話はここまでにしようとリンディエールは立ち上がり、ヒストリアと共に迷宮の方へと歩き出す。
そろそろ、本当に持ち上がるのかと疑念を抱く者達が出て来たようなのだ。
そこに、バーグナーとファルビーラがやって来た。
「なんだあ? うちの騎士共は軟弱者ばかりだったか?」
「若いのが多いな」
「いや、普通だからな? じじいになっても現役な方が稀だから」
「練度が足りんのだろ。危機感が足りんのだ」
「まあ、経験不足もあるな」
「こいつら、貴族の血筋か?」
「ああ」
「なら余計にか……うちの孫娘を胡散臭そうな目でみやがって……」
「おお、そりゃあいかんなあ」
「「「「「っ……」」」」」
一瞬で、バーグナーとファルビーラは剣呑な空気を纏った。
「「ちょい相手してやるか」」
「……やりたいだけやん?」
「楽しそうな顔して……」
リンディエールとヒストリアは、再び後退してベンチに座り、これを見守ることにした。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
碑石の台座、そこに地下へ続く階段が隠されている、石で出来ているらしい扉がある。騎士達や冒険者達の手ではびくともしない扉を見ながら、リンディエールはベンチに座り、頬杖をついて近づいてきたヒストリアに問う。
「結局、あの扉……何で出来とるん?」
「そうだなあ……ただの石ではないのは確かだが……」
「重さに比べて、大きさもそうやけど、厚みがないねんなあ」
「ああ。あれならば、謁見の間の扉くらいだろう」
「あそこの扉も重厚やもんなあ」
普通の扉よりは十分に分厚い。しかし、持ち上げられないほど、大の大人の男がピクリとも動かせないほどの見た目の厚さはない。
「大きさやって、横はうちが片方の腕を広げた幅くらいやろ?」
「そうだな。縦もリンの身長に少し足りないくらいだ」
それが片方の扉だけの大きさだ。大きすぎるということもない。
「あないな重い鉱石なんてあるん? 手触りはザラザラした普通の石みたいやし」
「あるんだろうな……俺も鉱石はそれほど詳しくないからなあ」
「うちも知らんよ」
一般的になものは知っていても、特殊な鉱石までは知らない。興味もなかった。
「けど、あれ……なんや、魔力吸われるゆうか……変な感じせんかった?」
「……したな。気のせいかとも思ったが……」
「それで、思ったんやけど、今までにもあった入り口なあ……同じ石やったかもしれん」
「ん? どういうことだ?」
リンディエールが手を握ったり開いたりしながら、その手を見て説明する。
「吸われる感じがなあ……同じなんよ。やから、魔力の方も、アレで判断しとる可能性があるんやないかと……」
「……」
「聖皇国の迷宮は、魔力登録せな扉が現れんかったけど……」
「ウィストラやここでは、そんな感じがないな。まさか、それを強制的に?」
「それも考えたんやけど……これ、作ったん、怒っとった時やろ?」
「……」
神が、苛立ちながらも、精神安定のために作り上げたものだ。深夜テンションみたいな感覚も入っていたりするが、基本的に親切や優しさはないと言って良いはず。
もっとも怒りが向けられていたはずの聖皇国を考えてみると、リンディエールはとある予想を立てた。
「うち、なんでかさっき、魔力の質と人間性……倫理観の研究を思い出したんよ……」
「……まさか……」
「……選別していそうで怖いなあと……」
「……あの扉の試しは力だけではなく、魔力の……質? 神ならもっと……何かを読み取れるかもしれないな……」
魔力の質が人の性格でも変わるものだという研究があった。古い研究だが、今でも細々とデータを取って研究している者もいる。
「マークはされそうやん? 魔力で個人を特定できるゆうんは、分かっとるし」
「ああ……」
「これで、ブラックリスト作っとるかも?」
「……ない……とはいえないな……聞いてみないのか?」
神とコンタクトを取れるリンディエールならば、その真相を直接聞くこともできる。だが、リンディエールは目を逸らした。
「確認すんの、怖いやん……」
「……そうだな……」
この話はここまでにしようとリンディエールは立ち上がり、ヒストリアと共に迷宮の方へと歩き出す。
そろそろ、本当に持ち上がるのかと疑念を抱く者達が出て来たようなのだ。
そこに、バーグナーとファルビーラがやって来た。
「なんだあ? うちの騎士共は軟弱者ばかりだったか?」
「若いのが多いな」
「いや、普通だからな? じじいになっても現役な方が稀だから」
「練度が足りんのだろ。危機感が足りんのだ」
「まあ、経験不足もあるな」
「こいつら、貴族の血筋か?」
「ああ」
「なら余計にか……うちの孫娘を胡散臭そうな目でみやがって……」
「おお、そりゃあいかんなあ」
「「「「「っ……」」」」」
一瞬で、バーグナーとファルビーラは剣呑な空気を纏った。
「「ちょい相手してやるか」」
「……やりたいだけやん?」
「楽しそうな顔して……」
リンディエールとヒストリアは、再び後退してベンチに座り、これを見守ることにした。
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