趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南

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ミッション12 舞台と遠征

479 こやつが一番危ないのだ

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尻尾を二度振って息を吐くキラ。

《ふぅ~……ざっとこんなもんだわい》

近くに行って見てみると、間違いなく指定した薬草だった。

「……花咲じじいならぬ、草生やしじいさんなのか……」
《野草と薬草は大体問題なく生やせるのでなっ》
「すげえな……」
《うむっ》

得意げにするキラ。早速と薬草を手を伸ばしたフィルズの肩に、アカネがとまる。

《私の能力は気にならないの?》
「あ、これ固有のやつなのか? なら、ジュエルが鉱石を発生させるのも?」
《そうよ。まあ、私達も宝石とかキラキラしたのは好きだけど、末っ子ちゃんは特別よ。執着がね》
「それは分かる」

うんうんと頷いてしまうほど、ジュエルの宝石に
対する執着は強い。

「で? 綺羅は植物を生やす能力か?」
《少し違うぞ。我のは、植物への干渉だ。任意のものを生やすことも出来るが、召喚することもできる》
「どこかから持って来るということか?」
《そうだ。末っ子も鉱石にならできるぞ》
「へえ……」
《とはいえ、植物は生きたものだ。よって、土や気候が適したものではないと、すぐに枯れてしまう。あくまでも、我のは植物に対しての干渉であるからな》
「土や環境への干渉はできないってことか」
《うむ。そこは地道に人の手でやって欲しいところだ。何が足りないかなど良し悪しは分かるのだがな》

土作りや環境を整えることは、人がやってくれということらしい。

《だが、それもアカ……アカネが居れば解決だ》
「ん?」
《ふっふっふっ。私の能力は環境への干渉なのよ。分かりやすく言うと、天候を操作できる能力ね》
「……やべえじゃん……」
《気に入らない人たちの国に雷とか落とせるわ》
《一番常識があるとか言いながら、こやつが一番危ないのだ。雨を一切降らせなかったり、逆にずっと雨を降らせたり……竜巻を発生させたりとな……一応、制限はあるのだが……》
「そりゃあ、ねえと怖えわ……」

制限なくそれをやられたらめちゃくちゃになる。人が嫌いだとアカネが認識したら、普通に滅ぶ。

《いやあね。人が増えた時点で、極端なことは出来ないようになってるわ。あと、神の加護が行き届いている国には、大きな干渉ができないの》
「へえ……なら、加護の具合が分かるのか?」
《ええ。あの山の向こうにある国は薄いわね。アレくらいだと海もあるから、雨をずっと降らせるのは可能よ》
「場所の影響もあるんだな……」

やりやすいという元の環境でも左右されるらしい。因みに、山の向こうはドラスリールだ。教会が戻って来て間もないため、まだまだ加護は薄い。

《ええ。あと気になるのは隣の……確か、ガーネルと言ったかしら? その国も極端に加護が薄いわね。まあ、あそこは私が干渉しなくても、土地が痩せてるから、竜巻とかは起きやすくなっているみたい》
《砂だけの大地を作ったこともあったが、そうならぬか?》
《なる可能性は高いわね。あの辺、大地に毒素が染み込んでいるもの。まともな植物が育たないわ》

話を聞きながらも、薬草をある程度採り終えてフィルズは立ち上がる。

歩き出すと、三匹ともがついて来た。ゆらゆらとジュエルとキラは飛んでいる。

毒素と聞いて、フィルズは思い出す。

「あ~、そういえば……」
《知ってるの? あれは、鉱石からのやつね。石から出る毒は土に染み渡りやすいのよ》
「水源の方から来てるだろ」
《だと思うわ。ただでさえ痩せてる土地に、アレでは、仮にここの植物を持っていってもどうにもならないわね》

そんな話をしながら歩いていれば、農作業をしていた村人が近付いてきた。

「あのっ! さ、さっきの話っ。ガーネルの話ですかっ?」
《そうよ。ちゃんと今の時代のことを勉強したの。ガーネルのことで間違いないわよ》
「っ……」

アカネの話を聞いていたらしい。

尋ねた村人は、青い顔になって何かに耐えるように俯く。

《もしかして、あそこの国の子なの?》
「っ……はい……」
「ここの奴らは、職人のおっちゃん達やカルバートとレヴィ以外はほぼガーネルの奴らだ」
《あらまあ……》

それは大変とアカネは小さな手で口元を押さえて見せる。可愛らしいだけだ。

「こいつらは、いつか国に戻って、ここで得た知識で畑を作り、生活を豊かにしようとしてるんだよ」
《そうだったの》
「なあ、アカネ。どうにかならないか? 俺も、あそこはどうにかしたいんだよ。その毒素ってのも、こっちの貴族が関わってる。そいつは捕まったとはいえ、放置はできねえんだよ」
《そうねえ……そういうことなら、少し見てくるわ》
《我も行こう》
《ぼくもー》
「あ、おい!?」

三匹は連れ立って飛んで行ってしまった。

「はあ……まあ、悪いようにはならんだろ。お前らも、夕食後にちょい聞いて欲しい話がある。時間は追ってクロットやシロットから伝えるからそのつもりで」
「わ、分かりました」
「とりあえず、こっちをどうにかせんとな」

薬草を見て、解毒薬作りのためレヴィリア達の待つ家に早足で向かった。







**********
読んでくださりありがとうございます◎




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