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連載
401 移住先は……
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2016. 5. 1
********************************************
ファルが旅立って数日後の夜。
毎日、夕食が終わる頃にファルから連絡がある。
今日も部屋へと戻ってきて暫くすると伝話心具が反応した。因みに、ファルの物は、鳥の形をしている。
そろそろ数が多くなってきたなと思うこの頃だ。
「旅路は順調?」
『……あぁ、問題ない……』
ファルとの会話は、独特の間があるので、これは通信障害ではないかと思う時がある。しかし、それもここ数日で慣れてきた。
どれほど離れても、時差は生まれていないとの確認も出来たのは僥倖だ。
『……そうだ。サティアが気にしていた物についての事を思い出したのだが……』
「うん? なんだっけ?」
再会してから時間が許す限り、ティアはファルと話をした。これまでの事もそうだが、他愛のない会話の中には、戦争で失われてしまった知識や武器の話もあった。
ティア自身、気になった事を手当たり次第に尋ねたので、ピンと来なかった。
『……神具の事だ……』
「あ……」
それは、魔族の持つ神具の記録がなされる以前の知識。
ティアがカルツォーネに見せてもらった記録には、七つある神具の内、四つまでが記されていた。
しかし、それがどんな物かまでは詳細に書かれてはいなかったのだ。
竜人族は伝承などを口伝で継承していく風習があると聞いた事があったティアは、神具についてはないのかと尋ねていた。
『……神具の力には火・水・風・土・闇の念・光の空・理の時……がある……』
この世界にある七つの属性。それぞれの力を持つ導具。理とは神属性の元となるもの。
『……それぞれの神具は……神焔、神扇、神器、神環、神笛、神玉、神鏡……』
人族の国にあるこの七つが、決して関わってはならないものだと伝わっていたらしい。
「どこの国に何があったか分からない?」
『……国の名は聞いていない……だが……姐さんが知っていた気がする……』
「へ? サクヤ姐さんが?」
『……姐さんは長生きだから……』
「そういえば……」
豪嵐の中で、サクヤが最も年上だったかもしれない。
『……そろそろ千年の大台も見えている……』
実際はそれほどでもないが、確かにそちらの方が近くなっているだろう。
「うそ。そんな歳? わ、わかった。これについては聞いてみる」
『……あぁ。多分、今の神具の名前を言えば思い出してくれるはずだ……』
忘れっぽい訳ではないが、長く生きている分、蓄積された情報は多い。昔の記憶を思い出してもらうには必要だろう。
「ありがとう。じゃぁ、また明日ね」
『……あまり一人で動くなよ……』
「はぁい。心配性だなぁ。見た目より大人だよ?」
『……サティアは無理でも無茶をする……』
だから心配なのだと、ファルはこの日、ぽつりぽつりと長く諭し続けたのだった。
◆◆◆◆◆
ファルの地味なお説教を聞き終わると、今度はシェリスのおやすみコール。
それも終えると、今度はカルツォーネだ。
もうこれは儀式みたいなもので、ここ数日で既に慣れてきていた。
通信を終えたティアが一息つくと、
今度はシルが現れる。
「本日の進捗報告をさせていただきます」
そうして始まるのが、スラム街の住人達の移住先についてだ。
こんな感じで、ティアが部屋でも忙しくしている為、先日からマティとフラムはアデルに預けている。
おかげでティアは誰に憚る事なく、自由に計画を進行中だった。
「今朝方、手配されておりました創工師のご夫婦が到着されました」
「え? 早くない? それに、夫婦って……もしかして本人?」
「はい。それが、ティア様の為ならばと、予定を繰り上げていらしたようです」
「うわぁ。ナルカさん忙しいのに」
スラムの住人達の移住先。それは琥珀の迷宮から数分としない場所だ。
森の只中。国も管理出来ていない土地だ。昔はそこに小さな集落があった。しかし、今では完全に朽ち果て、森に飲み込まれてしまっている。
ティアはその森の木々を上手く利用し、雨風の凌げる広い場所を作った。
スラム街に暮らしていた者達は、多くが外で暮らしていた。建物も老朽化していた為、雨風が辛うじて凌げるといった場所でしかなかったのだ。
それならば、少しの間、野宿で我慢してもらおうという事になった。
彼らもそれで構わないと言っていたのでこれは問題ない。
そして、ティアはナルカに手紙を書いたのだ。
それは一見して無茶なお願い……だった。
『村一つ分の数の家を建ててくれないか』と……。
************************************************
舞台裏のお話。
アデル「ぎゅ~ぅ」
火王 《どうした》
アデル「なんとなく……」
マティ《マティもぎゅ~ってする~》
フラム《キュ~ゥ》
アデル「ふふっ」
火王 《……眠るまでここにいる》
アデル「本当っ?」
マティ《マティもお泊りだし》
フラム《キュ~、キュゥ》
アデル「うんっ。ティアは何してるんだろうね」
火王 《……世情調査と立村計画……》
アデル「へ? セジョウとリッ……なんか難しい事やってるんだね」
マティ《うん。マティ、頭痛くなっちゃうから避難してきたんだよ?》
フラム《キュゥ……》
アデル「なら、いつでもお泊りしに来てよ」
マティ《そうするっ》
フラム《キュ……》
アデル「あ、フラムちゃんは、やっぱりティアがいないと寂しいんだね」
フラム《キュゥ》
マティ《でもパパがいるから平気だよね》
フラム《キュっ》
アデル「私も~」
火王 《そろそろ眠るといい》
アデル「はぁ~い。えへへ」
火王 《どうした》
アデル「ふふっ、だって……こうやって寝るまでお父さんやお母さんがそばにいるって……ずっと憧れてたから……」
火王 《っ……ちゃんといてやる》
アデル「うんっ。ねぇ、手繋いで」
火王 《あぁ……おやすみ》
アデル「ふふっ、おやすみなさいパパ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
パパはノックアウト。
携帯電話を三つ四つ持っているようなものですね。
時間差でその時を狙ってかけてくる相手も相手です。
順番としてはファル→シェリス→カルツォーネの順番。
これが狂う事はありません。
サクヤ姐さんが入る場合は、恐らくファル兄の後です。
神具の種類も明らかに。
そして、ティアちゃんの計画が密かに進行中。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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ファルが旅立って数日後の夜。
毎日、夕食が終わる頃にファルから連絡がある。
今日も部屋へと戻ってきて暫くすると伝話心具が反応した。因みに、ファルの物は、鳥の形をしている。
そろそろ数が多くなってきたなと思うこの頃だ。
「旅路は順調?」
『……あぁ、問題ない……』
ファルとの会話は、独特の間があるので、これは通信障害ではないかと思う時がある。しかし、それもここ数日で慣れてきた。
どれほど離れても、時差は生まれていないとの確認も出来たのは僥倖だ。
『……そうだ。サティアが気にしていた物についての事を思い出したのだが……』
「うん? なんだっけ?」
再会してから時間が許す限り、ティアはファルと話をした。これまでの事もそうだが、他愛のない会話の中には、戦争で失われてしまった知識や武器の話もあった。
ティア自身、気になった事を手当たり次第に尋ねたので、ピンと来なかった。
『……神具の事だ……』
「あ……」
それは、魔族の持つ神具の記録がなされる以前の知識。
ティアがカルツォーネに見せてもらった記録には、七つある神具の内、四つまでが記されていた。
しかし、それがどんな物かまでは詳細に書かれてはいなかったのだ。
竜人族は伝承などを口伝で継承していく風習があると聞いた事があったティアは、神具についてはないのかと尋ねていた。
『……神具の力には火・水・風・土・闇の念・光の空・理の時……がある……』
この世界にある七つの属性。それぞれの力を持つ導具。理とは神属性の元となるもの。
『……それぞれの神具は……神焔、神扇、神器、神環、神笛、神玉、神鏡……』
人族の国にあるこの七つが、決して関わってはならないものだと伝わっていたらしい。
「どこの国に何があったか分からない?」
『……国の名は聞いていない……だが……姐さんが知っていた気がする……』
「へ? サクヤ姐さんが?」
『……姐さんは長生きだから……』
「そういえば……」
豪嵐の中で、サクヤが最も年上だったかもしれない。
『……そろそろ千年の大台も見えている……』
実際はそれほどでもないが、確かにそちらの方が近くなっているだろう。
「うそ。そんな歳? わ、わかった。これについては聞いてみる」
『……あぁ。多分、今の神具の名前を言えば思い出してくれるはずだ……』
忘れっぽい訳ではないが、長く生きている分、蓄積された情報は多い。昔の記憶を思い出してもらうには必要だろう。
「ありがとう。じゃぁ、また明日ね」
『……あまり一人で動くなよ……』
「はぁい。心配性だなぁ。見た目より大人だよ?」
『……サティアは無理でも無茶をする……』
だから心配なのだと、ファルはこの日、ぽつりぽつりと長く諭し続けたのだった。
◆◆◆◆◆
ファルの地味なお説教を聞き終わると、今度はシェリスのおやすみコール。
それも終えると、今度はカルツォーネだ。
もうこれは儀式みたいなもので、ここ数日で既に慣れてきていた。
通信を終えたティアが一息つくと、
今度はシルが現れる。
「本日の進捗報告をさせていただきます」
そうして始まるのが、スラム街の住人達の移住先についてだ。
こんな感じで、ティアが部屋でも忙しくしている為、先日からマティとフラムはアデルに預けている。
おかげでティアは誰に憚る事なく、自由に計画を進行中だった。
「今朝方、手配されておりました創工師のご夫婦が到着されました」
「え? 早くない? それに、夫婦って……もしかして本人?」
「はい。それが、ティア様の為ならばと、予定を繰り上げていらしたようです」
「うわぁ。ナルカさん忙しいのに」
スラムの住人達の移住先。それは琥珀の迷宮から数分としない場所だ。
森の只中。国も管理出来ていない土地だ。昔はそこに小さな集落があった。しかし、今では完全に朽ち果て、森に飲み込まれてしまっている。
ティアはその森の木々を上手く利用し、雨風の凌げる広い場所を作った。
スラム街に暮らしていた者達は、多くが外で暮らしていた。建物も老朽化していた為、雨風が辛うじて凌げるといった場所でしかなかったのだ。
それならば、少しの間、野宿で我慢してもらおうという事になった。
彼らもそれで構わないと言っていたのでこれは問題ない。
そして、ティアはナルカに手紙を書いたのだ。
それは一見して無茶なお願い……だった。
『村一つ分の数の家を建ててくれないか』と……。
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舞台裏のお話。
アデル「ぎゅ~ぅ」
火王 《どうした》
アデル「なんとなく……」
マティ《マティもぎゅ~ってする~》
フラム《キュ~ゥ》
アデル「ふふっ」
火王 《……眠るまでここにいる》
アデル「本当っ?」
マティ《マティもお泊りだし》
フラム《キュ~、キュゥ》
アデル「うんっ。ティアは何してるんだろうね」
火王 《……世情調査と立村計画……》
アデル「へ? セジョウとリッ……なんか難しい事やってるんだね」
マティ《うん。マティ、頭痛くなっちゃうから避難してきたんだよ?》
フラム《キュゥ……》
アデル「なら、いつでもお泊りしに来てよ」
マティ《そうするっ》
フラム《キュ……》
アデル「あ、フラムちゃんは、やっぱりティアがいないと寂しいんだね」
フラム《キュゥ》
マティ《でもパパがいるから平気だよね》
フラム《キュっ》
アデル「私も~」
火王 《そろそろ眠るといい》
アデル「はぁ~い。えへへ」
火王 《どうした》
アデル「ふふっ、だって……こうやって寝るまでお父さんやお母さんがそばにいるって……ずっと憧れてたから……」
火王 《っ……ちゃんといてやる》
アデル「うんっ。ねぇ、手繋いで」
火王 《あぁ……おやすみ》
アデル「ふふっ、おやすみなさいパパ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
パパはノックアウト。
携帯電話を三つ四つ持っているようなものですね。
時間差でその時を狙ってかけてくる相手も相手です。
順番としてはファル→シェリス→カルツォーネの順番。
これが狂う事はありません。
サクヤ姐さんが入る場合は、恐らくファル兄の後です。
神具の種類も明らかに。
そして、ティアちゃんの計画が密かに進行中。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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