女神なんてお断りですっ。

紫南

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453 あの人は今

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2016. 7. 12
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何とか頭が割れる前に、隊長と副隊長の反省行動という奇行は止める事ができた。

その隊長と副隊長はといえば、今は再びそのような行動に出ないようにと、ティアの手で縄で縛り上げられて転がされていた。

「さて、話を戻すぞ」
「はっ」

ティアの前で手も足も出せずに縄で雁字搦めにされた二人は、その間抜けな姿とは打って変わって、真剣な顔をしている。

その様子がかなり異様なのだが、今はそれを気にしている時ではないと、話を続けた。

「ん″っん″っ、それで、そのダンジョンなんだが、お前達で試験的に挑戦して欲しいんだ。勿論、対抗戦までの良い訓練になるだろう。小隊に分け、数日ずつ交代で挑戦するといい。訓練合宿として申請すれば問題はないだろう。宿場町の方に泊まる施設もあるからな」

琥珀の迷宮の中の魔獣の強さや罠などのあらゆる設定は、ティアが考案した訓練のメニューであり、緻密に計算、反映されているのだ。 

全て実戦仕様ではあるが、死ぬ事はない。とても安全であるにも関わらず、確実に実力を上げられる。画期的な訓練施設と言っても良かった。

「是非とも挑戦させていただきたい。人体実験でも、実証実験でも如何様にでも我らをお使いください」
「あ~……そうだな。少しデータを取らせてもらうかもしれん。お前達は特殊だしな」
「はっ、お役に立てるとは光栄です」

その時だった。

少々前から彼らの気配には気付いていたのだ。しかし、タイミングが悪かったかもしれない。

「お待たせいたし……っ」
「ちっ、やはり出遅れたかっ」
「なんて羨ましい状況にっ」
「……お前達……」

現れたのは三バカ達だ。彼らは、ティアの前に転がされている隊長と副隊長の姿を見て、ショックを受けていた。

「あんな風に縛られるなんてっ……」
「僕らだってまだなのにっ」
「殴り飛ばされるのとどっちが良いのかな……」

そんな三バカ達に、隊長と副隊長は縛られて身動きが取れないという状況であるにも関わらず、なぜか優越感たっぷりのドヤ顔をしていた。

「羨ましかろう。手ずから縄を掛けて下さったのだ」
「この絶対的に外れず、抜け出せぬ縛り方。それを実体験出来る喜びを知らぬとはな」
「「「くっ」」」

この様子を一人離れて見せられていたケイギルは、虚ろな目をしながらティアを見た。

「……その目はやめろ……私が悪いわけじゃない。こいつらが変態なのがいけないんだ」
「変えたのはあなたでしょう」
「知らんな」

責められても困る。ティアは自分に責任はないと思っているのだ。

これは、彼らの生まれ持っていた性質。それが表にこうして出てしまっただけだと言いたかった。

ティアがケイギルの視線を必死で受け流している間にも、隊長と副隊長と三バカ達は、おかしな優劣を決める為の言い合いと睨み合いを続けていたのだった。

◆◆◆◆◆

不毛で低レベルな諍いをなんとか止めると、ティアは三バカとケイギルを連れて騎士学校へ向かっていた。

未だその姿はバトラールのままだ。多くの者がすれ違いざまに振り向く中、そんな視線を気にする事なく説明をする。

「学校の方からは、どれだけ厳しく指導しても良いと言われている。死ななければ良いとな。それと、お前達。ちゃんと受かったんだろうな?」

そうティアは三バカ達へ尋ねた。すると彼らは満面の笑みを得意気に浮かべて言った。

「はいっ」
「ティア様のお陰ですっ」
「僕達がAランクなんてっ……夢でも見てるのかもっ」

自信があったわけではなかったのだろう。ティアが認定試験を受けるようにと半ば命じた時も、愕然としていたのだ。

間違いなく、あれは無理だろうと思っていたはずだ。しかし、そこは三バカだ。変態は健在で、すぐにティアが実力は保証すると言ったところ、それならばと気合いを入れてディムースから王都へ向かっていった。

「まぁ、当然だな。だいたい、お前達。ルクスやクロノス。それに、最近はファル兄に相手をしてもらっていただろう。実力がついて当然だ」

サルバの方では、ゲイルにも気に入られている為、そちらでも度々手合わせしていたようだ。これで強くならなければ嘘だろう。

「あ、そういえば、王都でザランさんに会いました」

ザランはディムースへ来てから数日後、Aランク認定試験を受け、合格したらしい。それからよく王都でクエストを受けている。

トーイの言葉に、ケイギルも思い至った。

「ザランさんといえば、うちの隊長達と仲が良いらしく、よく顔を出されていますよ」
「それだよ。なんでこっちに顔を出さないんだか。最近避けられてるみたいなんだよな~」

ザランは、ディムースにもこの学園街の冒険者ギルドにも立ち寄っているのに、二年ほどまともに顔を見ていなかった。

もちろん、ティアが本気で捕まえようとすれば簡単だが、そんな理由もなく、ただすれ違う日々が続いていた。

「何かしたのでは?」
「覚えがないなぁ……まともに会ったのは、確か……ディムースの祭りの時なんだけど……う~ん。ないな」
「……本当ですか……?」

ケイギルが疑いの目を向けているが、本当に何かした覚えがない。

「ない。あの時は、サラちゃん弄りもそんなにしてる暇なかったし……今度会ったら聞いておいてくれないか?」
「私がですか?」

言われたケイギルは、自分を指差し、目を見開く。

「うん。なんで避けてるのか聞いといてくれ。あ~、それか、もういっその事捕まえるか」

ティアは今、王都にいるザランの位置を、正確に感じ取っていた。獲物を狙うような鋭く光る瞳。それを見て、ケイギルが慌ててフォローする。

「わ、わかりましたっ。近いうちに聞いておきますっ」
「そうか? ならよろしく」
「はい……」

会うのを避けているのに、捕まえられようとしていたザラン。それを何とか助けられたと、ケイギルは内心汗を拭ったのだった。


************************************************
舞台裏のお話。

紅翼の騎士A「隊長達。何があったんだろうな」

紅翼の騎士B「あぁ。物凄く機嫌がいいのに……ボロボロだったな」

紅翼の騎士A「爽やかな感じで……まさか、あの方に稽古をつけてもらった……とか」

紅翼の騎士B「っ、そんなっ……羨ましいすぎる」

紅翼の騎士C「おい、見たか? 隊長達、何か腕に縛られたような痕を嬉しそうに撫でていたんだが……」

紅翼の騎士A「しっ、縛られたのかっ⁉︎」

紅翼の騎士B「む、鞭ではなくっ……」

紅翼の騎士C「そうだ。それに縄を大切そうに見つめていた……」

紅翼の騎士A・B「「ゴクリ……」」

紅翼の騎士D「先輩? さっきからムチやナワってなんです?」

紅翼の騎士A「お前……そうか。知らないのか」

紅翼の騎士B「そうかそうか……」

紅翼の騎士D「えっと……なんだか憐れまれているような……」

紅翼の騎士C「お前は知らないんだな。あの方の愛を」

紅翼の騎士D「へ?」

紅翼の騎士A「あの痛みを知らないとはっ……」

紅翼の騎士D「痛み……?」



つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎


変態ではない新人さんもいます。


変態の中でも種類がありますね。
そして、その中でもティアちゃんを思う事で優劣がある様子。
もちろん、頂点はあの方でしょう。
最近出ていません……落ち着いているのでしょうか。
そして、出ていないといえばこの人。
サラちゃんは今何処に?


では次回、一日空けて14日です。
よろしくお願いします◎
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