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第四章 騎士と薬師の指導編
第3巻連動SS ①
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**********
【人気者です♪】
夕日のオレンジと、夜の青に分かれる空の下。屋台に取り付けられた淡い灯りが点き始める頃だ。
コウヤとタリス、ジルファスやその護衛騎士と共にやって来たパックンとダンゴは、ゲン達の夕食の買い出しを開始した。
パックンの上に乗って、ダンゴは後ろ足で立つと、ようやく最近コウヤやパックン以外にも伝えられるようになった言葉を屋台のオヤジさんに届ける。
《タコ焼きくださいでしゅ!》
「おっ、ダンゴちゃんか。いくつだい?」
ゲンの薬屋で、ナチと共に店番もしていたため、ダンゴの認知度もいつの間にか高くなっていた。けれど、屋台のオヤジさんに答えたのはパックンだ。
《10舟ね ♪(´ε` )》
《しょんなに!? パックン、多過ぎるでしゅ!》
「おいちゃんも、十は多いと思うが……何人分だ?」
ダンゴは動揺し、屋台のオヤジさんの方からも戸惑いの声が上がる。
《15でもいいかと |( ̄3 ̄)| 》
《薬師の人もいましゅけど、ゲンさん達、タコ焼きだけでお腹いっぱいになるでしゅよ?》
「そうそう。他にも美味いもんいっぱいあるぞ?」
屋台部隊は一つのチームだ。商売敵ではないので、オヤジさんは他の屋台も覗いてもらいたい。
因みに、タコ焼きの中のタコは海にいるタコではない。寧ろ、この世界にイカはいるが、タコはいなかった。このタコ焼きの中身は、森の木に生えるキノコの一種を使っており、これが茹でるとタコそっくりな食感と味になるのだ。
その名も『タナキノコ』棚のように木に生えるからだ。最初の『タ』と『コ』を取って、『タコ焼き』とした。とはいえ、コウヤとしてはこの名付けは後付けだ。最初から『タコ焼き』でしかないのだから。
《え (・・?) 》
《ゲンさん達には5舟だよ?》
五つならば、量に納得だ。だが、残りはどうするのか。
《……パックン……まさか……残りは保管でしゅ……?》
《2つはすぐ食べる ψ(`∇´)ψ 》
《残りはいつか (。-_-。) 》
《いざという時の賄賂 ♪(´ε` ) 》
《誰用のでしゅ!?》
「いや……まあ……その……腐らんならいいけどな……数もあるし、マケとくわ……」
オヤジさんは、追及することを諦めた。素早く焼きにかかる。
「ちょい時間かかるし、他回って来たらどうだ?」
《そうする~》
《でも焼きたてが良いな~ (๑>◡<๑)》
「なら、今出来上がる三舟、まず持ってけ」
《先にお代は、払っとくでしゅ》
「悪いなあ。一舟分、サービスしとくぜ。そんじゃあ、まだ回るんだろ? 十分後くらいにまた来てくれや」
《了解 ( ̄^ ̄)ゞ 》
《次行くぞ~ ψ(`∇´)ψ 》
《わわっ》
次の屋台へ行くぞとパックンが動き出す。すると、子ども達が駆け寄ってくる。
「あー! パックンだぁ!」
《転ぶなよ ( ̄+ー ̄)》
「うん! あのねっ。あっちでねっ。おっきなソーセージあるよ! あとねっ、グルグルまいたやつ!」
《ぐるぐる? (๑•ૅㅁ•๑) 》
《うずまきでしゅ?》
「そう! グルグルなの!」
《それは買いだな! 面白い!》
次に、りんご飴を売っている女性が、商品を持って屋台から出てくる。
「ダンゴちゃ~ん。こっちのりんご飴どう?」
《キレイでしゅ! 買いましゅ!》
「っ、こ、これは私からのプレゼントよ!」
《いいでしゅか?》
「もちろんよ!」
是非ともこれに齧り付くダンゴが見たいと、目をキラキラさせていた。
《ありがとうでしゅっ。なら二本買いましゅ》
「っ、いいのよ~♪ あ、二本ね。少しマケておくわ~♪」
《うれしいでしゅ! んっ、美味しいでしゅ!》
「っ~、か、かわいいっ」
悶えながらも追加で二本のりんご飴を持って来る。そこで、小さなダンゴの手からお金をもらうことで、更にクネクネと女性は悶えていた。
それを見た焼きモロコシの屋台をしているお兄さんが両手にモロコシを持って出てくる。
「モロコシあるぞ! 食ってけよ」
《食べる食べる (๑>◡<๑)》
《いいでしゅか? ゲンさん達にも欲しいので、あと五本くだしゃい!》
《えっ、ダメダメ。10本》
「ははっ。おう、十本な。ちょうど焼けてるぞ。持ってくるから待ってろ」
パックンは焼き立て、出来立てを好むことはお兄さんも知っていた。
《熱そ~♪ 》
「感じんのか?」
《もちろん! 鉄の溶けたのとかもあるよ》
「……それ、どうすんの?」
《攻撃手段 d( ̄  ̄) 》
「やべえなそれ……」
《ふっ ( ̄+ー ̄)》
《ほんと、何入ってるんでしゅかねえ……》
「だな……」
ダンゴは足下、パックンを見下ろし、お兄さんも複雑そうな顔をしながらパックンを見つめた。
《パックンあとは汁物とご飯物が欲しいでしゅね》
《シシ汁の匂いはあっちだ (*´∀`)♪ 》
《……気になってたんでしゅけど……匂いはどこで感じてるんでしゅ?》
《全体!》
《……なるほど……でしゅ》
永く一緒に居たからこそ、今更な疑問。木の箱が匂いを吸収するようなものだろうかと、ダンゴは納得した。
シシ汁、コウヤ的には豚汁の店に向かう途中で、焼きそばを買う。
《焼きそばみっ……十個くださいなっ、でしゅ!》
「じゅ……ああ、パックン用な。待ってろ」
《分かってるね ( ̄+ー ̄)》
ダンゴも何となく量が分かってきた。そして、屋台をしている寡黙なおじさんも、パックンを見て納得。
《今日は肉じゃないんだねえ》
ぴょんぴょんと跳ねてから、パックンは文字を表示する。寡黙なおじさんも、慣れたようにそれを合図として確認する。
このおじさん、いつもは串焼き肉の屋台を広場で出していた。
「部隊に入る時は、特別だ」
《いつもの肉も美味しいから期待してる》
「任せろ」
《……お知り合い……なんか、割り込めない雰囲気でしゅ……》
お互い、わかってるよ的な雰囲気。言葉少なくても通じる何かがそこにはあった。
「おい。いつもの常連にはサービスだ。一つ余分に持ってけ」
《おっちゃん (*´꒳`*) 》
「っ……今度、肉持って来いよ」
《良いの入れる d( ̄  ̄) 》
同じようにグッと親指を立てて見せるおじさん。通じ合うものがあった。
《……仲良しでしゅ……》
ちょっとダンゴは羨ましそうだった。
焼きそばを受け取ると、今度は子どもがおすすめしていたソーセージの店。
《ホントにグルグル! (๑>◡<๑)》
《グルグルでしゅ!》
二人(?)してちょっと興奮気味だ。
「あら。パックンちゃんとダンゴちゃん。グルグルソーセージどう?」
《グルグルすごいね!》
《面白いでしゅ!》
「でしょ? 最初は、細くなっちゃったから、長さをどうしようかと思ってたんだけど、棟梁さんがロープをグルグルしてるのを見て、コレだ! って。どうかしら♪」
お姉さんが楽しそうに両手にグルグルソーセージを持ってウインクする。
《さすが商人 d(^_^o) 》
《さすがでしゅ!》
「ふふふっ。まあ、自慢げにしたけど、これ、部隊長の姐さんと考えたんだけどね~」
ドレッドヘアのカッコいい屋台部隊をまとめる姐さん。商人としても一流だ。柔軟な発想の持ち主だと、コウヤも尊敬する人だった。
《姐さんカッコいいよね!》
「ね~。第一線で女の姐さんが頑張ってくれてるから、私たちも男どもに負けないぞって、やりやすいのよ」
《気持ちで負けないのは大事でしゅ!》
《商人なら特にね ( ^ω^ ) 》
「さすが、コウヤくんの従魔ね。分かってるわ……ふふふっ」
感心してから、お姉さんは可笑しそうに笑った。
《とりあえず五本グルグル (*´꒳`*)》
《パックン? とりあえず?》
《うん》
少し訝しげにするダンゴ。信用ならない。
そして、パックンはお姉さんにお願いした。
《チーズ乗せて焼いて欲しいな ♪(´ε` ) 》
「チーズ!?」
《チーズ……まさか、とろけるやつ……》
《とろけるやつ! (๑>◡<๑)》
「とろけるやつ……チーズ……それ……」
《コレね》
ポンっと器に入ったコウヤ自慢のピザ用チーズがパックンの中から出てくる。それを受け取り、お姉さんがパックンを確認する。
《パラパラたっぷりかけるの》
《ちょっとコゲても美味しいよ d( ̄  ̄) 》
「やってみる!!」
出来上がったチーズ乗せグルグルソーセージは、上からこぼれたチーズが少し焦げていてとても美味しそうだ。
《天才的な出来!》
「お、美味しそう……パ、パックン!! このチーズどこで売ってる!?」
《まだ売ってないよ》
《いくらで買う?》
《交換でもいいよ ( ˘ω˘ ) 》
《この器二つ分まで》
たっぷりかけて、一つの器で二十本分くらいだ。
「くっ……この器二つで……グルグルソーセージ五本! 向こうから来たなら……シシ汁五つも付ける!」
《よかろう d( ̄  ̄) 》
「よし! 一筆書くよ!」
シシ汁を五つ。請求をお姉さんにするということを書き付けた紙をダンゴが受け取った。
《毎度あり!》
《ありがとうでしゅ》
「こっちこそっ。さあ、売るわよ!! トロトロチーズを乗せたグルグルソーセージ! 限定四十本! どうですか~!」
すぐに興味を持った人たちがお姉さんの店を囲んでいた。すぐに四十本くらい売れるだろう。
《得したでしゅね》
《汁物も手に入った (*´꒳`*)》
シシ汁を余分に三つ手に入れ、更に焼きおにぎりを買うと、買い物は終了した。
「……すげえ量だな……」
《ちゃんと予算内だよ d( ̄  ̄) 》
「買い物上手ですね……」
ゲンやナチ、薬師達は、テーブルいっぱいに並んだ屋台の熱々の食べ物に唖然とする。十分な量だった。
《まだパックンの中にあるでしゅよ》
《それは言わない約束よ ( ̄+ー ̄)》
こうして、今日もまたパックンの中身は増えていくのだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、もう一本SSお付き合いください!
三日空きます。
よろしくお願いします◎
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【人気者です♪】
夕日のオレンジと、夜の青に分かれる空の下。屋台に取り付けられた淡い灯りが点き始める頃だ。
コウヤとタリス、ジルファスやその護衛騎士と共にやって来たパックンとダンゴは、ゲン達の夕食の買い出しを開始した。
パックンの上に乗って、ダンゴは後ろ足で立つと、ようやく最近コウヤやパックン以外にも伝えられるようになった言葉を屋台のオヤジさんに届ける。
《タコ焼きくださいでしゅ!》
「おっ、ダンゴちゃんか。いくつだい?」
ゲンの薬屋で、ナチと共に店番もしていたため、ダンゴの認知度もいつの間にか高くなっていた。けれど、屋台のオヤジさんに答えたのはパックンだ。
《10舟ね ♪(´ε` )》
《しょんなに!? パックン、多過ぎるでしゅ!》
「おいちゃんも、十は多いと思うが……何人分だ?」
ダンゴは動揺し、屋台のオヤジさんの方からも戸惑いの声が上がる。
《15でもいいかと |( ̄3 ̄)| 》
《薬師の人もいましゅけど、ゲンさん達、タコ焼きだけでお腹いっぱいになるでしゅよ?》
「そうそう。他にも美味いもんいっぱいあるぞ?」
屋台部隊は一つのチームだ。商売敵ではないので、オヤジさんは他の屋台も覗いてもらいたい。
因みに、タコ焼きの中のタコは海にいるタコではない。寧ろ、この世界にイカはいるが、タコはいなかった。このタコ焼きの中身は、森の木に生えるキノコの一種を使っており、これが茹でるとタコそっくりな食感と味になるのだ。
その名も『タナキノコ』棚のように木に生えるからだ。最初の『タ』と『コ』を取って、『タコ焼き』とした。とはいえ、コウヤとしてはこの名付けは後付けだ。最初から『タコ焼き』でしかないのだから。
《え (・・?) 》
《ゲンさん達には5舟だよ?》
五つならば、量に納得だ。だが、残りはどうするのか。
《……パックン……まさか……残りは保管でしゅ……?》
《2つはすぐ食べる ψ(`∇´)ψ 》
《残りはいつか (。-_-。) 》
《いざという時の賄賂 ♪(´ε` ) 》
《誰用のでしゅ!?》
「いや……まあ……その……腐らんならいいけどな……数もあるし、マケとくわ……」
オヤジさんは、追及することを諦めた。素早く焼きにかかる。
「ちょい時間かかるし、他回って来たらどうだ?」
《そうする~》
《でも焼きたてが良いな~ (๑>◡<๑)》
「なら、今出来上がる三舟、まず持ってけ」
《先にお代は、払っとくでしゅ》
「悪いなあ。一舟分、サービスしとくぜ。そんじゃあ、まだ回るんだろ? 十分後くらいにまた来てくれや」
《了解 ( ̄^ ̄)ゞ 》
《次行くぞ~ ψ(`∇´)ψ 》
《わわっ》
次の屋台へ行くぞとパックンが動き出す。すると、子ども達が駆け寄ってくる。
「あー! パックンだぁ!」
《転ぶなよ ( ̄+ー ̄)》
「うん! あのねっ。あっちでねっ。おっきなソーセージあるよ! あとねっ、グルグルまいたやつ!」
《ぐるぐる? (๑•ૅㅁ•๑) 》
《うずまきでしゅ?》
「そう! グルグルなの!」
《それは買いだな! 面白い!》
次に、りんご飴を売っている女性が、商品を持って屋台から出てくる。
「ダンゴちゃ~ん。こっちのりんご飴どう?」
《キレイでしゅ! 買いましゅ!》
「っ、こ、これは私からのプレゼントよ!」
《いいでしゅか?》
「もちろんよ!」
是非ともこれに齧り付くダンゴが見たいと、目をキラキラさせていた。
《ありがとうでしゅっ。なら二本買いましゅ》
「っ、いいのよ~♪ あ、二本ね。少しマケておくわ~♪」
《うれしいでしゅ! んっ、美味しいでしゅ!》
「っ~、か、かわいいっ」
悶えながらも追加で二本のりんご飴を持って来る。そこで、小さなダンゴの手からお金をもらうことで、更にクネクネと女性は悶えていた。
それを見た焼きモロコシの屋台をしているお兄さんが両手にモロコシを持って出てくる。
「モロコシあるぞ! 食ってけよ」
《食べる食べる (๑>◡<๑)》
《いいでしゅか? ゲンさん達にも欲しいので、あと五本くだしゃい!》
《えっ、ダメダメ。10本》
「ははっ。おう、十本な。ちょうど焼けてるぞ。持ってくるから待ってろ」
パックンは焼き立て、出来立てを好むことはお兄さんも知っていた。
《熱そ~♪ 》
「感じんのか?」
《もちろん! 鉄の溶けたのとかもあるよ》
「……それ、どうすんの?」
《攻撃手段 d( ̄  ̄) 》
「やべえなそれ……」
《ふっ ( ̄+ー ̄)》
《ほんと、何入ってるんでしゅかねえ……》
「だな……」
ダンゴは足下、パックンを見下ろし、お兄さんも複雑そうな顔をしながらパックンを見つめた。
《パックンあとは汁物とご飯物が欲しいでしゅね》
《シシ汁の匂いはあっちだ (*´∀`)♪ 》
《……気になってたんでしゅけど……匂いはどこで感じてるんでしゅ?》
《全体!》
《……なるほど……でしゅ》
永く一緒に居たからこそ、今更な疑問。木の箱が匂いを吸収するようなものだろうかと、ダンゴは納得した。
シシ汁、コウヤ的には豚汁の店に向かう途中で、焼きそばを買う。
《焼きそばみっ……十個くださいなっ、でしゅ!》
「じゅ……ああ、パックン用な。待ってろ」
《分かってるね ( ̄+ー ̄)》
ダンゴも何となく量が分かってきた。そして、屋台をしている寡黙なおじさんも、パックンを見て納得。
《今日は肉じゃないんだねえ》
ぴょんぴょんと跳ねてから、パックンは文字を表示する。寡黙なおじさんも、慣れたようにそれを合図として確認する。
このおじさん、いつもは串焼き肉の屋台を広場で出していた。
「部隊に入る時は、特別だ」
《いつもの肉も美味しいから期待してる》
「任せろ」
《……お知り合い……なんか、割り込めない雰囲気でしゅ……》
お互い、わかってるよ的な雰囲気。言葉少なくても通じる何かがそこにはあった。
「おい。いつもの常連にはサービスだ。一つ余分に持ってけ」
《おっちゃん (*´꒳`*) 》
「っ……今度、肉持って来いよ」
《良いの入れる d( ̄  ̄) 》
同じようにグッと親指を立てて見せるおじさん。通じ合うものがあった。
《……仲良しでしゅ……》
ちょっとダンゴは羨ましそうだった。
焼きそばを受け取ると、今度は子どもがおすすめしていたソーセージの店。
《ホントにグルグル! (๑>◡<๑)》
《グルグルでしゅ!》
二人(?)してちょっと興奮気味だ。
「あら。パックンちゃんとダンゴちゃん。グルグルソーセージどう?」
《グルグルすごいね!》
《面白いでしゅ!》
「でしょ? 最初は、細くなっちゃったから、長さをどうしようかと思ってたんだけど、棟梁さんがロープをグルグルしてるのを見て、コレだ! って。どうかしら♪」
お姉さんが楽しそうに両手にグルグルソーセージを持ってウインクする。
《さすが商人 d(^_^o) 》
《さすがでしゅ!》
「ふふふっ。まあ、自慢げにしたけど、これ、部隊長の姐さんと考えたんだけどね~」
ドレッドヘアのカッコいい屋台部隊をまとめる姐さん。商人としても一流だ。柔軟な発想の持ち主だと、コウヤも尊敬する人だった。
《姐さんカッコいいよね!》
「ね~。第一線で女の姐さんが頑張ってくれてるから、私たちも男どもに負けないぞって、やりやすいのよ」
《気持ちで負けないのは大事でしゅ!》
《商人なら特にね ( ^ω^ ) 》
「さすが、コウヤくんの従魔ね。分かってるわ……ふふふっ」
感心してから、お姉さんは可笑しそうに笑った。
《とりあえず五本グルグル (*´꒳`*)》
《パックン? とりあえず?》
《うん》
少し訝しげにするダンゴ。信用ならない。
そして、パックンはお姉さんにお願いした。
《チーズ乗せて焼いて欲しいな ♪(´ε` ) 》
「チーズ!?」
《チーズ……まさか、とろけるやつ……》
《とろけるやつ! (๑>◡<๑)》
「とろけるやつ……チーズ……それ……」
《コレね》
ポンっと器に入ったコウヤ自慢のピザ用チーズがパックンの中から出てくる。それを受け取り、お姉さんがパックンを確認する。
《パラパラたっぷりかけるの》
《ちょっとコゲても美味しいよ d( ̄  ̄) 》
「やってみる!!」
出来上がったチーズ乗せグルグルソーセージは、上からこぼれたチーズが少し焦げていてとても美味しそうだ。
《天才的な出来!》
「お、美味しそう……パ、パックン!! このチーズどこで売ってる!?」
《まだ売ってないよ》
《いくらで買う?》
《交換でもいいよ ( ˘ω˘ ) 》
《この器二つ分まで》
たっぷりかけて、一つの器で二十本分くらいだ。
「くっ……この器二つで……グルグルソーセージ五本! 向こうから来たなら……シシ汁五つも付ける!」
《よかろう d( ̄  ̄) 》
「よし! 一筆書くよ!」
シシ汁を五つ。請求をお姉さんにするということを書き付けた紙をダンゴが受け取った。
《毎度あり!》
《ありがとうでしゅ》
「こっちこそっ。さあ、売るわよ!! トロトロチーズを乗せたグルグルソーセージ! 限定四十本! どうですか~!」
すぐに興味を持った人たちがお姉さんの店を囲んでいた。すぐに四十本くらい売れるだろう。
《得したでしゅね》
《汁物も手に入った (*´꒳`*)》
シシ汁を余分に三つ手に入れ、更に焼きおにぎりを買うと、買い物は終了した。
「……すげえ量だな……」
《ちゃんと予算内だよ d( ̄  ̄) 》
「買い物上手ですね……」
ゲンやナチ、薬師達は、テーブルいっぱいに並んだ屋台の熱々の食べ物に唖然とする。十分な量だった。
《まだパックンの中にあるでしゅよ》
《それは言わない約束よ ( ̄+ー ̄)》
こうして、今日もまたパックンの中身は増えていくのだ。
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三日空きます。
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