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第十三章
589 充填?
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この日、レナルカと共にコウヤは王城に居た。
「どうしたのかな? レナルカ?」
「うう~」
「熱はないみたいだし……お腹痛いとかある?」
「むぅ~っ」
「う~ん……」
じいじ大好きなレナルカは、ゲンの店でほぼ毎日寝起きしていた。コウヤはたまにだが夜勤もあるし、出勤時間もまちまちになる。その上に、王都への移動もあるのだ。幼い子を連れ回すことになるのはと思い、ゲンの薬屋に世話になっていた。
レナルカの方も、領主邸に招かれたり、ギルドのマリーファルニェの所に行ったり、タリスと遊んだり、時折は王都にも一緒に来て、王城で世話になったりもしていた。
基本的に人見知りをしない上、愛想も良い。貴族の当主や先代達、五十代頃の男達は、城内を時折飛び回るレナルカに仕事の疲れを癒されていた。
そんな自由に過ごすレナルカが、今朝方からコウヤから離れない。書類を見ていても、コウヤの腹にくっ付いているし、少し散歩に出かければ、背中にくっ付いて離れない。
どうしたのかと聞いても唸るだけ。さすがのコウヤもお手上げだった。
そこに、ルディエが報告に現れたのだ。
「兄さん。神教国で動きがあったよ」
「ん? 結界は正常だけど……?」
大聖堂を囲む結界は、ジンク達やベニ達で張ったものだ。それに揺らぎが出れば、世界管理者権限を使って分かるようにしていた。今現在もそんな兆候はない。だが、中の事までは分からなかった。ジンク達が交代で監視しているのだ。そこは任せるべきだろうとの判断だった。
「中で殺し合いになってるみたい。生け贄的な」
「……そこまで影響が?」
「むぅぅぅうっ」
「レナルカ?」
不満げな唸り声を上がるレナルカに、視線を落とすと、むくれた顔をゆっくりと上げた。
「あいつ、いやっ、きらいっ! たたかう!」
「戦う?」
「ボコボコにするっ!」
「……え~っと……レナルカが? したいの?」
「するっ! したいっ! じゅうてんしてるっ」
「じゅうてん……充填?」
首を傾げていると、机の上のパックンが答えた。
《主からずっと吸ってるもんね ( ̄^ ̄)》
「え?」
《主様、気付かなかったでしゅか? 神気を吸ってるでしゅよ》
《朝からかなり頑張ってましたよね》
「……へ? レナルカが?」
どうやら、レナルカがずっとくっ付いていたのは、そのためらしい。パックン達は気付いていたようだ。
《そのせいか、主の体にかなり神気が溜まってきています》
「あ……なんか落ち着かないのはそのせいか……」
「いっしょにボコボコにするっ」
「ボコボコ……あ、うん。そうだね。決着は付けないとね」
「んっ!」
レナルカは既にやる気充分らしい。
「なら、すぐに仕掛ける?」
ルディエにそう言われて、コウヤは頷いた。
「そうだね。これ以上、引き延ばしておくこともないかな。あの辺りはもう人は引き上げたんだよね?」
「うん。戦場にしても問題ないよ」
「それじゃあ、ベニばあさまにも伝えて。できるだけ早く準備をって」
「分かった。二日以内に」
「そうだね」
「了解」
そうして、タリス達やエルフ達にも連絡を出し、本物の邪神の討伐を始めることになった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
また来週あけます。
「どうしたのかな? レナルカ?」
「うう~」
「熱はないみたいだし……お腹痛いとかある?」
「むぅ~っ」
「う~ん……」
じいじ大好きなレナルカは、ゲンの店でほぼ毎日寝起きしていた。コウヤはたまにだが夜勤もあるし、出勤時間もまちまちになる。その上に、王都への移動もあるのだ。幼い子を連れ回すことになるのはと思い、ゲンの薬屋に世話になっていた。
レナルカの方も、領主邸に招かれたり、ギルドのマリーファルニェの所に行ったり、タリスと遊んだり、時折は王都にも一緒に来て、王城で世話になったりもしていた。
基本的に人見知りをしない上、愛想も良い。貴族の当主や先代達、五十代頃の男達は、城内を時折飛び回るレナルカに仕事の疲れを癒されていた。
そんな自由に過ごすレナルカが、今朝方からコウヤから離れない。書類を見ていても、コウヤの腹にくっ付いているし、少し散歩に出かければ、背中にくっ付いて離れない。
どうしたのかと聞いても唸るだけ。さすがのコウヤもお手上げだった。
そこに、ルディエが報告に現れたのだ。
「兄さん。神教国で動きがあったよ」
「ん? 結界は正常だけど……?」
大聖堂を囲む結界は、ジンク達やベニ達で張ったものだ。それに揺らぎが出れば、世界管理者権限を使って分かるようにしていた。今現在もそんな兆候はない。だが、中の事までは分からなかった。ジンク達が交代で監視しているのだ。そこは任せるべきだろうとの判断だった。
「中で殺し合いになってるみたい。生け贄的な」
「……そこまで影響が?」
「むぅぅぅうっ」
「レナルカ?」
不満げな唸り声を上がるレナルカに、視線を落とすと、むくれた顔をゆっくりと上げた。
「あいつ、いやっ、きらいっ! たたかう!」
「戦う?」
「ボコボコにするっ!」
「……え~っと……レナルカが? したいの?」
「するっ! したいっ! じゅうてんしてるっ」
「じゅうてん……充填?」
首を傾げていると、机の上のパックンが答えた。
《主からずっと吸ってるもんね ( ̄^ ̄)》
「え?」
《主様、気付かなかったでしゅか? 神気を吸ってるでしゅよ》
《朝からかなり頑張ってましたよね》
「……へ? レナルカが?」
どうやら、レナルカがずっとくっ付いていたのは、そのためらしい。パックン達は気付いていたようだ。
《そのせいか、主の体にかなり神気が溜まってきています》
「あ……なんか落ち着かないのはそのせいか……」
「いっしょにボコボコにするっ」
「ボコボコ……あ、うん。そうだね。決着は付けないとね」
「んっ!」
レナルカは既にやる気充分らしい。
「なら、すぐに仕掛ける?」
ルディエにそう言われて、コウヤは頷いた。
「そうだね。これ以上、引き延ばしておくこともないかな。あの辺りはもう人は引き上げたんだよね?」
「うん。戦場にしても問題ないよ」
「それじゃあ、ベニばあさまにも伝えて。できるだけ早く準備をって」
「分かった。二日以内に」
「そうだね」
「了解」
そうして、タリス達やエルフ達にも連絡を出し、本物の邪神の討伐を始めることになった。
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読んでくださりありがとうございます◎
また来週あけます。
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