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合流と遭難
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…シャ~
シャ~、シャシャ~
…
乗り継ぎ所を出発してから、一時間以上は経っただろうか?
俺はサンドスネーク達のご機嫌な歌を聴きながら、
蛇車ソリを走らせている。
あれから何度か、小型のモンスター…
サンドラビットや、サンドウルフに、梟のようなモンスターマジックオウル等を見かけたけど、サンドスネーク達の方が強いのだろうか、襲いかかってくる事は無かった。
「ユウト様、そろそろ御者を代わりましょうか?」
後ろの幌からティファが顔を出しながら、聞いてくる。
たった一時間で、すでに二回目だ…笑
どうやら、俺が働いているのに自分は、のほほん…としているのが、歯痒いようだ。
そんな働き屋なティファには、ルサリィの相手をお願いし、俺は前を向く。
ルサリィはティファお姉ちゃんに懐いてるようで、幌の中は二人の笑い声に満ちてる。
俺が代わって気を遣わせるよりは、ルサリィも楽しいだろうし、揺れない御者台は結構快適なのだ。
砂は飛んで来るけど…
ーーーードガガガッ!
「…なっ!?」
突然、ソリが地面にハマって舵がとられる!
先見の眼鏡が足元を赤く表示している。
しまった…二人の事に気を取られていて、モンスターの張った罠を見落としたようだ…
サンドスネーク達が、必死に這い出ようともがいているが、蟻地獄のようにソリが吸い込まれていくため、そう簡単には抜け出られそうにない。
異常を感じたティファが幌から出てこようとするのを、俺は右手で止めると反対の手で取り出したアイテムを使う。
「リロードオン!」
ー氷狼の牙ー
・対象に3~4本の氷塊を降らせる
アイテムを使うと、青色に淡く光る牙は、手の中から消え去る。
それと入れ替わりで、蟻地獄の中心にいるサンドスコーピオンの頭上には、氷柱のように大きな氷の塊が現れて、スコーピオンを串刺しに潰していく。
「…ギィィギギギ……」
サンドスコーピオンが倒れると、砂の流れは収まったけど、車輪の部分まで埋まってしまっている…
「…シャ~シャシャー!!」
スネーク達が頑張ってくれたお陰で、ようやく蟻地獄を脱出する事ができた。
…感謝、感謝だ、偉いぞ!
「さすが、ユウト様です!」
「…お兄ちゃん凄いです!」
元の体制に戻って走り出そうとすると、幌から体を半分出して、ティファが俺を称賛してくれ、さらに、そのティファの下からケモっ子のルサリィが顔を出して、同じく称賛してくれるのだが…
…ティファの胸にケモ耳が悲鳴を上げているでわないかぁぁっ!
おぉぉ、ルサリィよ…
そのポジションニングは萌えるぜっ!
……
俺はエロい事を考えているのを悟らせない様に、
爽やかな笑顔を意識して「二人共、大丈夫だったか?」と、返しておくのを忘れない。
…また変態返しのフォローするのはシンドイしな。
気を取り直して進み始めると、後ろから、
「ユウトお兄ちゃんは凄いんですね!」
「…そうなの、ユウト様は凄い御方なのよ!」
と、俺をベタ褒めする声が聞こえてくる。
…て、照れるじゃないか。
…思えば、現世では人と関わる事が少なかったから、褒められる事なんて皆無だったな…
あ、そういや昔、工場勤務の時に残業したくないが為に、超スピードでライン作業をしていると、金髪の関西弁が五月蝿い奴に、「作業が早くて正確だ!」と、褒められた事があったな。
コミュ障全開だった俺は、それを華麗にスルーしたんだけど…ちょっと嬉しかった思い出だな。
少し、おセンチな気分で蛇車を走らせる事、さらに一時間ちょっと。
四度目のティファの交代発言をスルーしていたら
…遠くに砂塵が上がっているのが見えた。
今回はしっかり、先見の眼鏡で辺りと進路を見渡す。
…うん。
どうやら、罠などは無いみたいだ。
確認が終わると、ティファに声を掛けて異常を知らせる。
顔を出したティファが、どうやら誰かが戦っているようだと言ってくるのだが、この距離だと俺には全然分からない。
…良くあんなに遠くの影が何か分かるもんだ。
そう関心しながらもスピードを上げていくと、確かに、結構大きめのモンスターと…人のようなシルエットが戦っているのが分かった。
…一人だろうか?
あのサイズ差だと、だいぶ実力差が無いと厳しそうに見える…美女の冒険者とかなら、助けて、是非お知り合いに…
と思って、近づきながら目を凝らしてよく見ていると見知った顔に気付く。
…レンだ。
…何でこんな所にレンが?
確か、王都に帰った筈じゃあないのか?
レンが必死にモンスターの周りを右往左往しながら攻撃している姿が見える。
それに障壁が見えるから、シャーロットもいる…
それに気付いた俺は途端に心配度が跳ね上がり、二人の元に進みながら声を張り上げる。
「…あぁ!?おぉ、ユウトやないかっ!頼む、助けて…うわっ」
火炎のブレスを間一髪のところで躱してるレンに「任せろ!」
と、カッコよく伝えると、アイテムを発動する。
「リロードオン」
ー氷狼の牙ー
モンスターの頭上に現れた氷塊を…
「ブレスで相殺しただとっ!?」
横からちょっかいを出した俺に気づくと、デッカイ鳥頭がこちらをロックオンして、魔法を打ち込もうとしてる…
このままだとティファやルサリィに被害が及ぶと判断して、俺はすぐに蛇車から横っ飛びすると、賢明の盾を召喚して構える。
ーーーーガガ…ドガーン!!
盾に直撃した雷撃は、アイテムの効果で俺にダメージを与えられないが、効果を発揮した盾は脆く崩れ去る
「ティファ、グーロだっ!厄介な奴だけど、三人ならなんとかなるはずだから殺るぞっ!!」
…バッ!
俺の声に反応して、すぐにティファも幌から飛び出してくる。
「サンドスネークはルサリィを安全な所に運んでくれ!」
「…シャシャー!」
俺の言う事を理解してくれたのか、はたまた本能なのか二匹はグーロの射程外へと離れて行く。
…お利口さんだ!
俺達はレンに近づき、シャーロットを含め四対一の状況になる。
…ん?グーロの横に人が立ってる…
俺の視線に気付いたのか「あれは敵や!」と、レンが叫ぶので、「なるほど、召喚士か?」と俺は納得する。
…その割に様子が変だけど
ティファが敵の注意を引きながら攻撃を仕掛けてくれていると、レンが経緯を掻い摘んで説明してきた。
「…すまんユウト!助かったわ。」
「一体、何があったんだ?」
「詳しい説明は後や…グーロの回復が早くて苦労しててんけど、あの綺麗な姉ちゃんが居ればなんとかなりそうやなっ!」
さらにレンは、自分が考えた作戦を伝えてくる。
…ふむ。
ティファが囮になって、シャーロットのスキルで輪切りにして倒す、か。
確かに成功率は高そうだけど、倒しきれるのだろうか?
俺は少し考えてからティファに指示を出す。
「ティファ!奴の注意を引きつけて、断罪の輪が発動されたら、直ぐに離れて距離を取ってくれ!」
ティファが目線と頷きで、了解の意を示してくる。
俺はレンに、追加で範囲アイテムを使うから巻き込まれないようにと注意し、それで倒しきれ無いようなら、トドメは頼むとお願いする。
レンは頷くとシャーロットの前に立ち、スキルを使う間の守りに入り。
障壁を解除したシャーロットが、タイミングを見て断罪の輪を発動した。
ティファに意識を向けていたグーロは、自分が光の輪に包まれて、突然、身動きが出来なくなった事に驚いているようだ。
「…ウゥグゥアアァァア!!」
発動された断罪の輪は、グーロの体に喰い込みその巨体を侵食して行く。
絶叫を上げながら、紫色の血液と悪臭を辺りに振りまくグーロ…
俺が握りしめていた炎龍の牙を発動しようとした瞬間、グーロの上に載っている、三つの頭の内の一つが動いた…
ボロのフードを被っていたので良く分からなかったんだが、どうやら"ソレ"は人間の頭部で、俺にはシスターのように見えた。
その頭部が絶叫すると、俺達は体が動かなくなり、俺を含めた周りにいた全員が砂に吸い込まれて行くのが見える。
「リロードオン!炎龍の牙ぁぁ!」
吸い込まれる前にグーロだけでも倒そうと、素早く周囲を見回して、効果範囲に味方が居ない事を確認し、アイテムを発動させる。
…ゴォォォ!!
「…グゥアゥゥオォォ」
グーロは激しく燃え上がって崩れ落ちていく…
「…やったか?」
頭が吸い込まれる前に見た感じだと、おそらく倒せた筈だ。
…だけど、落下は止まらず砂に呑まれた。
…
……
「…ここは?」
次に眼が覚めると、辺りは真っ暗だった。
どうやら死んだ…訳では無いようだな。
「おーい!…誰かいるかぁ!?」
……
返事は無いので、どうやらバラバラに落ちてしまったようだ。
…しかし、最期のアレは何だったんだろう?
モンスターの持つ、特殊スキルとかだろうか…
確かにグーロは頭部にある頭の力で適正レベルが変わるけど…それでもあんなのは見た事も戦った記憶もないな。
「そういや、グーロの横に居た奴も燃えてたっぽいけど……まぁ、敵だったみたいだし良いか。」
誰もいない洞窟に俺の独り言が辺りに響く。
辺りは暗く3m先になると人がいても気づかなさそうだ…取り敢えず暗闇を何とかしないと。
「リロードオン」
ー永久の灯(エターナルカンテラ)ー
・消そうとしても光が消えないカンテラ
辺りが、カンテラの光でポワッと明るくなるり辺りが見えてくる。
やっぱり周りは砂の壁で覆われている…砂の地底ダンジョンとかなんだろうか?
周りに見えるのは砂の通路が伸びているだけだ。
…とにかく誰かと合流しなければ。
遭難したのに動き回るのは良く無いそうだけど、このままじゃジリ貧だしと覚悟を決めて歩き出す。
……ザッザッ…ザッ
あれから、だいぶ歩いたのに誰とも会わない…
「う~ん…引き返した方が良いのだろうか?」
俺はかなり不安になっていたのだが、前方にようやく大きなドーム状のスペースを見つける事が出来て、喜びながら通路を通り中に入り辺りを照らす…
と、幼女が倒れていた。
「…ふむ。ルサリィルートに入ったか。」
俺は某恋愛シュミレーションゲームを思い浮かべながら、しょうもない事を呟いてルサリィの元に忍び寄る。
…レンルートじゃなくて良かった。
「おい…ルサリィ、しっかりしろ、大丈夫か?」
「ん…ぅ~ん…んん"?お、お兄ちゃん!?」
…何で寝込みを襲われそうになった顔をしているのかな、ルサリィよ…ちょっとしかヤラシイ顔になってないやい!
俺はイケメン顔を作って、モンスターを倒したら全員砂に飲み込まれてしまって、皆を探している所だと説明した。
「どっ、どうしよう!ティファお姉ちゃんが…」
「…大丈夫だって!俺達でも生きてるのにティファが死んだりするもんか。」
頭をポンポンと撫でて、泣きそうなルサリィを安心させる。
こっそりケモ耳を触っていたのは内緒だ。
…モフモフ最高……
……
俺が無言で耳の感触に感動していると、不思議に思ったのか、ルサリィが上目遣いで俺の顔を覗き込んでくる。
…くぅおんのぉ!ロリカワイイなぁ…こんちくしょうっ!!
俺は平静を装い直しつつ、ティファ達を探しい行こうと声をかけルサリィを起こすと、入った方と反対の通路に向かう。
そして、不安なのかそんな俺の服の裾をルサリィが摘み一緒に歩き出す。
『…ルサリィが仲間になった。』
脳内で素敵な効果音を鳴らしながら、ルサリィを連れてドーム状の部屋から出た。
…他にめぼしい物は何も無かったしな。
カンテラを照らしながら、転ばないようゆっくり歩いていると、通路の前方に"黒い何か"が、蠢いているのが見える。
俺はルサリィを自分の後ろに守りながら、ゆっくり進んで行く…
「なっ!?デザートスパイダーかっ!…リロードオン!」
ーシンドルの短剣ー
・第2~第5位までの魔法がランダムで発動
召喚した短剣を振ると、ファイヤーボールが出るけど、威力が弱い…
一応デザートスパイダーの弱点属性だったから、ソコソコの動揺は誘えたようで助かった。
そしてその隙にもう一度、俺は短剣を振りかざした。
…バチバチッ……ドォゥン!
次は、サンダースピアが出た!
……バヂチッ!…プス…プス…ドサッ
デザートスパイダーは煙を上げながら、動かなくなり地面に転がった。
「ふぅ、何とかなったな…」
「お兄ちゃん凄い!」
俺は額を拭うフリをしてカッコ良く台詞を言うと、手を叩いて褒めてくれるルサリィに振り向いた…
すると…
「ルサリィあぶないっ!!ぐぅあぁっ……」
…俺はデザートゴブリンの斧を受け吹き飛んだ。
シャ~、シャシャ~
…
乗り継ぎ所を出発してから、一時間以上は経っただろうか?
俺はサンドスネーク達のご機嫌な歌を聴きながら、
蛇車ソリを走らせている。
あれから何度か、小型のモンスター…
サンドラビットや、サンドウルフに、梟のようなモンスターマジックオウル等を見かけたけど、サンドスネーク達の方が強いのだろうか、襲いかかってくる事は無かった。
「ユウト様、そろそろ御者を代わりましょうか?」
後ろの幌からティファが顔を出しながら、聞いてくる。
たった一時間で、すでに二回目だ…笑
どうやら、俺が働いているのに自分は、のほほん…としているのが、歯痒いようだ。
そんな働き屋なティファには、ルサリィの相手をお願いし、俺は前を向く。
ルサリィはティファお姉ちゃんに懐いてるようで、幌の中は二人の笑い声に満ちてる。
俺が代わって気を遣わせるよりは、ルサリィも楽しいだろうし、揺れない御者台は結構快適なのだ。
砂は飛んで来るけど…
ーーーードガガガッ!
「…なっ!?」
突然、ソリが地面にハマって舵がとられる!
先見の眼鏡が足元を赤く表示している。
しまった…二人の事に気を取られていて、モンスターの張った罠を見落としたようだ…
サンドスネーク達が、必死に這い出ようともがいているが、蟻地獄のようにソリが吸い込まれていくため、そう簡単には抜け出られそうにない。
異常を感じたティファが幌から出てこようとするのを、俺は右手で止めると反対の手で取り出したアイテムを使う。
「リロードオン!」
ー氷狼の牙ー
・対象に3~4本の氷塊を降らせる
アイテムを使うと、青色に淡く光る牙は、手の中から消え去る。
それと入れ替わりで、蟻地獄の中心にいるサンドスコーピオンの頭上には、氷柱のように大きな氷の塊が現れて、スコーピオンを串刺しに潰していく。
「…ギィィギギギ……」
サンドスコーピオンが倒れると、砂の流れは収まったけど、車輪の部分まで埋まってしまっている…
「…シャ~シャシャー!!」
スネーク達が頑張ってくれたお陰で、ようやく蟻地獄を脱出する事ができた。
…感謝、感謝だ、偉いぞ!
「さすが、ユウト様です!」
「…お兄ちゃん凄いです!」
元の体制に戻って走り出そうとすると、幌から体を半分出して、ティファが俺を称賛してくれ、さらに、そのティファの下からケモっ子のルサリィが顔を出して、同じく称賛してくれるのだが…
…ティファの胸にケモ耳が悲鳴を上げているでわないかぁぁっ!
おぉぉ、ルサリィよ…
そのポジションニングは萌えるぜっ!
……
俺はエロい事を考えているのを悟らせない様に、
爽やかな笑顔を意識して「二人共、大丈夫だったか?」と、返しておくのを忘れない。
…また変態返しのフォローするのはシンドイしな。
気を取り直して進み始めると、後ろから、
「ユウトお兄ちゃんは凄いんですね!」
「…そうなの、ユウト様は凄い御方なのよ!」
と、俺をベタ褒めする声が聞こえてくる。
…て、照れるじゃないか。
…思えば、現世では人と関わる事が少なかったから、褒められる事なんて皆無だったな…
あ、そういや昔、工場勤務の時に残業したくないが為に、超スピードでライン作業をしていると、金髪の関西弁が五月蝿い奴に、「作業が早くて正確だ!」と、褒められた事があったな。
コミュ障全開だった俺は、それを華麗にスルーしたんだけど…ちょっと嬉しかった思い出だな。
少し、おセンチな気分で蛇車を走らせる事、さらに一時間ちょっと。
四度目のティファの交代発言をスルーしていたら
…遠くに砂塵が上がっているのが見えた。
今回はしっかり、先見の眼鏡で辺りと進路を見渡す。
…うん。
どうやら、罠などは無いみたいだ。
確認が終わると、ティファに声を掛けて異常を知らせる。
顔を出したティファが、どうやら誰かが戦っているようだと言ってくるのだが、この距離だと俺には全然分からない。
…良くあんなに遠くの影が何か分かるもんだ。
そう関心しながらもスピードを上げていくと、確かに、結構大きめのモンスターと…人のようなシルエットが戦っているのが分かった。
…一人だろうか?
あのサイズ差だと、だいぶ実力差が無いと厳しそうに見える…美女の冒険者とかなら、助けて、是非お知り合いに…
と思って、近づきながら目を凝らしてよく見ていると見知った顔に気付く。
…レンだ。
…何でこんな所にレンが?
確か、王都に帰った筈じゃあないのか?
レンが必死にモンスターの周りを右往左往しながら攻撃している姿が見える。
それに障壁が見えるから、シャーロットもいる…
それに気付いた俺は途端に心配度が跳ね上がり、二人の元に進みながら声を張り上げる。
「…あぁ!?おぉ、ユウトやないかっ!頼む、助けて…うわっ」
火炎のブレスを間一髪のところで躱してるレンに「任せろ!」
と、カッコよく伝えると、アイテムを発動する。
「リロードオン」
ー氷狼の牙ー
モンスターの頭上に現れた氷塊を…
「ブレスで相殺しただとっ!?」
横からちょっかいを出した俺に気づくと、デッカイ鳥頭がこちらをロックオンして、魔法を打ち込もうとしてる…
このままだとティファやルサリィに被害が及ぶと判断して、俺はすぐに蛇車から横っ飛びすると、賢明の盾を召喚して構える。
ーーーーガガ…ドガーン!!
盾に直撃した雷撃は、アイテムの効果で俺にダメージを与えられないが、効果を発揮した盾は脆く崩れ去る
「ティファ、グーロだっ!厄介な奴だけど、三人ならなんとかなるはずだから殺るぞっ!!」
…バッ!
俺の声に反応して、すぐにティファも幌から飛び出してくる。
「サンドスネークはルサリィを安全な所に運んでくれ!」
「…シャシャー!」
俺の言う事を理解してくれたのか、はたまた本能なのか二匹はグーロの射程外へと離れて行く。
…お利口さんだ!
俺達はレンに近づき、シャーロットを含め四対一の状況になる。
…ん?グーロの横に人が立ってる…
俺の視線に気付いたのか「あれは敵や!」と、レンが叫ぶので、「なるほど、召喚士か?」と俺は納得する。
…その割に様子が変だけど
ティファが敵の注意を引きながら攻撃を仕掛けてくれていると、レンが経緯を掻い摘んで説明してきた。
「…すまんユウト!助かったわ。」
「一体、何があったんだ?」
「詳しい説明は後や…グーロの回復が早くて苦労しててんけど、あの綺麗な姉ちゃんが居ればなんとかなりそうやなっ!」
さらにレンは、自分が考えた作戦を伝えてくる。
…ふむ。
ティファが囮になって、シャーロットのスキルで輪切りにして倒す、か。
確かに成功率は高そうだけど、倒しきれるのだろうか?
俺は少し考えてからティファに指示を出す。
「ティファ!奴の注意を引きつけて、断罪の輪が発動されたら、直ぐに離れて距離を取ってくれ!」
ティファが目線と頷きで、了解の意を示してくる。
俺はレンに、追加で範囲アイテムを使うから巻き込まれないようにと注意し、それで倒しきれ無いようなら、トドメは頼むとお願いする。
レンは頷くとシャーロットの前に立ち、スキルを使う間の守りに入り。
障壁を解除したシャーロットが、タイミングを見て断罪の輪を発動した。
ティファに意識を向けていたグーロは、自分が光の輪に包まれて、突然、身動きが出来なくなった事に驚いているようだ。
「…ウゥグゥアアァァア!!」
発動された断罪の輪は、グーロの体に喰い込みその巨体を侵食して行く。
絶叫を上げながら、紫色の血液と悪臭を辺りに振りまくグーロ…
俺が握りしめていた炎龍の牙を発動しようとした瞬間、グーロの上に載っている、三つの頭の内の一つが動いた…
ボロのフードを被っていたので良く分からなかったんだが、どうやら"ソレ"は人間の頭部で、俺にはシスターのように見えた。
その頭部が絶叫すると、俺達は体が動かなくなり、俺を含めた周りにいた全員が砂に吸い込まれて行くのが見える。
「リロードオン!炎龍の牙ぁぁ!」
吸い込まれる前にグーロだけでも倒そうと、素早く周囲を見回して、効果範囲に味方が居ない事を確認し、アイテムを発動させる。
…ゴォォォ!!
「…グゥアゥゥオォォ」
グーロは激しく燃え上がって崩れ落ちていく…
「…やったか?」
頭が吸い込まれる前に見た感じだと、おそらく倒せた筈だ。
…だけど、落下は止まらず砂に呑まれた。
…
……
「…ここは?」
次に眼が覚めると、辺りは真っ暗だった。
どうやら死んだ…訳では無いようだな。
「おーい!…誰かいるかぁ!?」
……
返事は無いので、どうやらバラバラに落ちてしまったようだ。
…しかし、最期のアレは何だったんだろう?
モンスターの持つ、特殊スキルとかだろうか…
確かにグーロは頭部にある頭の力で適正レベルが変わるけど…それでもあんなのは見た事も戦った記憶もないな。
「そういや、グーロの横に居た奴も燃えてたっぽいけど……まぁ、敵だったみたいだし良いか。」
誰もいない洞窟に俺の独り言が辺りに響く。
辺りは暗く3m先になると人がいても気づかなさそうだ…取り敢えず暗闇を何とかしないと。
「リロードオン」
ー永久の灯(エターナルカンテラ)ー
・消そうとしても光が消えないカンテラ
辺りが、カンテラの光でポワッと明るくなるり辺りが見えてくる。
やっぱり周りは砂の壁で覆われている…砂の地底ダンジョンとかなんだろうか?
周りに見えるのは砂の通路が伸びているだけだ。
…とにかく誰かと合流しなければ。
遭難したのに動き回るのは良く無いそうだけど、このままじゃジリ貧だしと覚悟を決めて歩き出す。
……ザッザッ…ザッ
あれから、だいぶ歩いたのに誰とも会わない…
「う~ん…引き返した方が良いのだろうか?」
俺はかなり不安になっていたのだが、前方にようやく大きなドーム状のスペースを見つける事が出来て、喜びながら通路を通り中に入り辺りを照らす…
と、幼女が倒れていた。
「…ふむ。ルサリィルートに入ったか。」
俺は某恋愛シュミレーションゲームを思い浮かべながら、しょうもない事を呟いてルサリィの元に忍び寄る。
…レンルートじゃなくて良かった。
「おい…ルサリィ、しっかりしろ、大丈夫か?」
「ん…ぅ~ん…んん"?お、お兄ちゃん!?」
…何で寝込みを襲われそうになった顔をしているのかな、ルサリィよ…ちょっとしかヤラシイ顔になってないやい!
俺はイケメン顔を作って、モンスターを倒したら全員砂に飲み込まれてしまって、皆を探している所だと説明した。
「どっ、どうしよう!ティファお姉ちゃんが…」
「…大丈夫だって!俺達でも生きてるのにティファが死んだりするもんか。」
頭をポンポンと撫でて、泣きそうなルサリィを安心させる。
こっそりケモ耳を触っていたのは内緒だ。
…モフモフ最高……
……
俺が無言で耳の感触に感動していると、不思議に思ったのか、ルサリィが上目遣いで俺の顔を覗き込んでくる。
…くぅおんのぉ!ロリカワイイなぁ…こんちくしょうっ!!
俺は平静を装い直しつつ、ティファ達を探しい行こうと声をかけルサリィを起こすと、入った方と反対の通路に向かう。
そして、不安なのかそんな俺の服の裾をルサリィが摘み一緒に歩き出す。
『…ルサリィが仲間になった。』
脳内で素敵な効果音を鳴らしながら、ルサリィを連れてドーム状の部屋から出た。
…他にめぼしい物は何も無かったしな。
カンテラを照らしながら、転ばないようゆっくり歩いていると、通路の前方に"黒い何か"が、蠢いているのが見える。
俺はルサリィを自分の後ろに守りながら、ゆっくり進んで行く…
「なっ!?デザートスパイダーかっ!…リロードオン!」
ーシンドルの短剣ー
・第2~第5位までの魔法がランダムで発動
召喚した短剣を振ると、ファイヤーボールが出るけど、威力が弱い…
一応デザートスパイダーの弱点属性だったから、ソコソコの動揺は誘えたようで助かった。
そしてその隙にもう一度、俺は短剣を振りかざした。
…バチバチッ……ドォゥン!
次は、サンダースピアが出た!
……バヂチッ!…プス…プス…ドサッ
デザートスパイダーは煙を上げながら、動かなくなり地面に転がった。
「ふぅ、何とかなったな…」
「お兄ちゃん凄い!」
俺は額を拭うフリをしてカッコ良く台詞を言うと、手を叩いて褒めてくれるルサリィに振り向いた…
すると…
「ルサリィあぶないっ!!ぐぅあぁっ……」
…俺はデザートゴブリンの斧を受け吹き飛んだ。
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過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
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伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
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武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
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転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
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目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
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