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ーーーーレン ルート
「……んっ…んん!?なんや、ここ…あっ!シャル、シャルー!どこやーっ!?」
レンは焦りながら辺りを見回して、シャーロットを探す…が、辺りには気配が無く、しかも真っ暗で視界がほとんど効かない。
「ヤバイな…バラバラに飛ばされてもうたんか?シャルのやつ、だいぶ疲労しとるやろからな……」
特殊なスキルである、シャーロットの【断罪の輪、絶対障壁】は、かなり強力な能力である分、制約と消費エネルギーが高い。
実際、別の場所に居るシャーロットは、精神的な疲労で殆ど動けないでいる。
「とにかく、シャルを探しにいかんとな…」
頭をよぎる心配を一旦落ち着かせて、自分に言い聞かせるように呟くと、レンは手探りで動き出す。
手探りで進むレンは、イベントリバッグに灯りを発するような物を持っておらず、このまま進んで行くしか方法が無かったのだ。
少し暗闇に目が慣れて来たお陰か、何とか歩いて行く分には問題無いようだけど、やはり遠くは見渡せないので慎重に進んでいく必要はあるが…
砂の壁に手を当てながら歩いて居ると、前方に黒い影…のような物があるように見える。
近づくとモゾモゾと動いているような…アレが何かは不明だが「警戒して損は無いか」と、レンは己の刀に手を当てながらさらに近づく…
……
「…ゲギャッ!?」
暗闇に赤い光が二つ浮かび、同時に驚きの声も上がる。
薄っすらと見えたシルエット…はどうやら、棍棒を持ったデザートゴブリンのようだが、敵も突然現れたレンに警戒しているのか、直ぐには襲って来そうに無い。
「…なんや、ゴブゾーかいな。」
正体が分かり安堵すると、レンは刀を抜きゴブリンを瞬殺する。
……ゴトッ…ドサッ
ゴブリンの足元には、喰い千切られた蝙蝠の無残な姿があった。
首が落ち、倒れたゴブリンを見てレンは思いつく。
…棍棒にゴブリンの着ているボロを巻き付けて火を点ければ、松明替わりになるのでは…と。
早速、棍棒を拾おうとレンが屈んだ瞬間…
「「ゲキャアァ!」」
背後から斧と剣を持った、デザートゴブリンが二匹同時に襲い掛かってくる。
……ヒュン、ヒュン
完全に虚を突かれたはずだったが、レンの身体は一瞬揺らめきゴブリン達の攻撃は空を切る。
それを嘲笑うように、刀を軽く振るう音がしたかと思うと、二匹のゴブリンは死体となり地面に転がる。
「…そーいや、ゴブゾーは相手を油断させてから、襲った来るんやったっけか?…まぁ、弱い事には変わらんけどな。」
20~30LVしか無いデザートゴブリンでは、油断を突いたとしても、レンに攻撃を掠らせる事すら出来ない。
後に続く奇襲が無い事を確認したレンは、先程思い付いた作業を行う。
……
「ファイア」
掌の上に炎を出すと、松明替わりの布に火を付ける。
「これで、結構明るなったから、歩きやすうなるわ…」
ゲーム時代の初期に遊びで取っていた、魔法職の基礎である、一位魔法の【ファイア】をが役立ったと喜ぶレン…ただ、火を点けるとゴブリンが着ていた服が燃えるので、
…臭いが凄い。
鼻を摘みながら臭いを我慢して進んで行くと、前方に開けた場所があり、そのまま進み中に入って辺りを松明で照らしてみる。
すると…
「おいおい、コレはでアカンて……」
レンの前に現れたのは、そこら中に張り巡らされた蜘蛛の巣と、巨大な蜘蛛【ギガントスパイダー】だった。
ーーーーティファ ルート
「ここは…砂の中でしょうか?」
ティファも他の皆と同じく、砂の通路に落ちていたようだが、特に焦る事は無く冷静に自分の体に異常が無いかを確認していく。
「…大丈夫そうですね。では、ユウト様とルサリィを探しに行きましょうか。」
そう自分に言うと辺りの暗闇を照らすために、聖魔法【ホーリーライト】を使用する。
すると、ティファの持つバスターソードが聖なる光を灯し闇を払う。
この魔法の通常での用途は、アンデットや死霊属性持ちのモンスターを倒す時に使うのだが、今のティファからすれば多少のMP消費で、辺りを明るく出来る便利魔法といった感覚で、せっかく利用しない手は無いと判断したのだ。
取り敢えず、壁や辺りを調べながら歩いていると、三叉路に差し掛かる。
「…ん~。運頼みはレアの得意分野なのですが…仕方ありませんね。」
ティファはその場で少し考えると、おもむろに剣を逆さにし剣先を地面に軽く突き刺すと手を離した。
……カランッ…カラ
「…こっち、ですか。」
意外にも、ベタなやり方で進む方向を決めると、迷いなくどんどん歩いて行く。
最悪、行き止まりや、方向が間違っていても、全てのルートをマッピングすれば良いだけの事だと、頭の中で割り切っているが故の行動でもあった。
途中で、サンドゴブリン、スパイダー、スネーク(野生)etc…
様々なモンスターが現れるが、剣を振った衝撃波で気絶させ、通り過ぎ様にトドメを刺して行く。
まったく淀みの無い行動と、あまりのレベル差に半分以上のモンスターは戦う事を諦め逃げ出していた。
なんの問題も無く歩いて行くが…
かなり歩いている筈のに、砂壁しか見えず代わり映えのしない状況にティファは少し焦り始める。
「こちらでは無いのでしょうか…」
不安を口にするが、今更引き返すのも不毛だとさらに歩みを早めて進む。
と、ようやく先に部屋のような物が見えて来た。
誰かと合流出来ないかと、少しの期待を胸に部屋に入ると…
そこに居たのは、このダンジョンの主…
【デザートイーター ロード】
…だった。
……ブンッ!
ティファは無言で剣を振ると、ツカツカとデザートイーターロードに向かって行く。
ちなみに、ロードが付くのはコロニー単位の王に当たる存在だけだ。
通常のデザートイーターがLV50~60程度なのに対して、ロードはプラス15~20はレベルが上がり、適正レベルのパーティなら問題ないが、適正ソロだと絶望できる相手になる。
「…アァァヴォォ!」
デザートイーターはティファを見て、警戒の咆哮をあげ武器を構える。
…しかしティファからすれば、通常種でもロードでも大した差は無い。
自分を見ても何の動揺もしない人間に、若干挙動不審になりながらも威嚇するように、死神が使うような巨大な鎌を振りかざす。
…カンッ!
ズバッ!!
ドスンッ…
デザートイーターロードの鎌はティファの剣に跳ね飛ばされ、続く一撃でロード自身も真っ二つに割れて倒れる。
ティファは死骸を見下ろすと、特に興味の無さそうな視線を送り、その場を後にしようとしてキラリと光る物に気付く。
倒れたモンスターの横に、サンドクリスタルフラワーが落ちていたのだ。
どうやら、このボスが持っていたドロップアイテムのようなので、後でルサリィに渡す為と回収しておく。
目的のアイテムはゲットしたので、後は二人を回収して、ルサリィの親を治療させるだけだ…と少し気が軽くなる。
そのまま部屋を出て、さらに早足に進んで行くと通路の前方に蹲る"ナニカ"を発見する。
……ウゥゥ
…少し警戒しながら進んで行くと、倒れていたのはシャーロットだった。
「…あなた、大丈夫ですか?」
「うっ…あ、あなたは確か…」
「ユウト様の従者でティファと申します。」
「…す、すみません…力を使い過ぎて……その、歩けなくて」
「…分かりました。私がおぶって行きましょう。放っておいて死なれては、ユウト様に叱られてしまいますし。」
「も…申し訳ありせん……」
力無く項垂れるシャーロットだが、実際、今の彼女には迫ってくるモンスターを退けるのが精一杯で、とても一人で、歩いて脱出できる力は残っていなかった。
…ティファに拾ってもらえたのは、かなりの幸運と言えるだろう。
待っていても、必ずレンが見付けてくれるとは限らない…そう分かっていても、最初に発見したのがティファだと、少し残念に思ってしまっている自分を恥じる。
…そして、そんな自分を背負ってくれる女性の横顔を見つめる。
…綺麗な人だなぁ
同性でありながらも、見惚れてしまうティファの美貌とスタイルに、少しの嫉妬心が湧いてくる…が、何を考えいるんだと、自分を戒める。
ティファは周りに転がっている、切断されたモンスターを見る。
「…これは、あなたのスキルで?」
「あ、はいっ…」
「…そうですか。」
シャーロットをおぶる体制を整えると、ティファは無言で歩き出す。
「お…重いですよね、すいません…」
「問題ありません。」
素っ気なく返される言葉に、シャーロットの心は痛む。
しかし、自身がこの女性の仕える主人に何をしたかを考えれば当然の事か…とあの時の事を思い返す。
……
王都からの命令で、帝国軍を圧倒的少数で退けると言う力を持った集団、【アイアンメイデン】なる組織を調べ、王国にとって危険と判断すれば「直ちに処分するように」と言われ、辺境のアスペルで会った男…
ユウトと呼ばれるその男性は、周りには美女をはべらせているし、人の話もちゃんと聞かない生意気な男だった。
しかし、一触即発の状態になった時の冷静な対応、今回も自分達のピンチに体を張って助けてくれた…
もしかすると、あの時がおかしかっただけで良い人なのかもしれない。
…でも、そんな彼に私は牙を向けた。
当然、殺す気でだ。
未遂とは言え、仕える主人に牙を向けた人間を助けるのは、もちろん気持ちが良い物では無いだろう。
それなのに「ユウト様が怒るから」と主人の意を汲み取って、嫌な相手までも助けてくれる…
私はレンが、この女性達に美人だ綺麗だと言う言葉に苛立って、軽々にも先制攻撃をしてしまった。
八ツ当りと言われても仕方がなかったかもしれない
…はぁ。私はなんて小さい人間なのでしょうか。
「私に助けられるのは、不本意でしたか?」
横目に見えたシャーロットの表情を見て、ティファが見当違いな質問を投げかける。
「いっ…いえ、とんでもない!以前の私が、あなた方に失礼な事をしたと思って…」
「ユウト様は気にしておられませんよ。それに先程も、あなたが襲われていると知って、全速力で助けに向かわれましたし……」
ティファの表情が少し曇る。
…嫉妬、しているのだろうか?シャーロットは完璧そうなティファの人間らしい所を見て、少し身近な感覚を覚える。
そのせいか、立ち入った質問をしてしまう。
「あなたは、ユウト…さんが、お好きなのですか?」
「もちろん、敬愛しておりますよ?」
即答で答えるティファを見て…羨む。
…自分に置き換えたとして、レンに対して同じ事を質問されて即答出来るだろうか?
「そんなに素敵な人なんですね…」
「彼の方は、私の全てですから。」
ティファの恥ずかしい台詞に、シャーロットの方が顔を赤らめる。
…こんなに強くて綺麗な女性に、そこまで言わせる男とは一体何者なのか?
シャーロットの中に少しの好奇心が芽生えてきた。
それから暫くは、黙々と歩いていたのだが…
「…何かありますね。」
ティファの声に前方を見ると、確かに通路の先に開けたスペースがありそうで、シャーロットはおぶられたまま、その部屋に入って行った。
…しかし、特に何も無いようだ。
二人は少し拍子抜けしたのか…
「「ふぅ~」」
と、同時に息を吐いた。
…ふふっ
そんな自分達の様子にティファが少し笑い、シャーロットも釣られて笑顔になり、先程までより少し空気が軽くなった。
「…きぃやぁぁあっ!おにいちゃぁあん!」
……前方から少女の叫び声が聞こえて来る。
ティファはシャーロットの身体をしっかり掴むと、猛スピードで駆け出した…
「……んっ…んん!?なんや、ここ…あっ!シャル、シャルー!どこやーっ!?」
レンは焦りながら辺りを見回して、シャーロットを探す…が、辺りには気配が無く、しかも真っ暗で視界がほとんど効かない。
「ヤバイな…バラバラに飛ばされてもうたんか?シャルのやつ、だいぶ疲労しとるやろからな……」
特殊なスキルである、シャーロットの【断罪の輪、絶対障壁】は、かなり強力な能力である分、制約と消費エネルギーが高い。
実際、別の場所に居るシャーロットは、精神的な疲労で殆ど動けないでいる。
「とにかく、シャルを探しにいかんとな…」
頭をよぎる心配を一旦落ち着かせて、自分に言い聞かせるように呟くと、レンは手探りで動き出す。
手探りで進むレンは、イベントリバッグに灯りを発するような物を持っておらず、このまま進んで行くしか方法が無かったのだ。
少し暗闇に目が慣れて来たお陰か、何とか歩いて行く分には問題無いようだけど、やはり遠くは見渡せないので慎重に進んでいく必要はあるが…
砂の壁に手を当てながら歩いて居ると、前方に黒い影…のような物があるように見える。
近づくとモゾモゾと動いているような…アレが何かは不明だが「警戒して損は無いか」と、レンは己の刀に手を当てながらさらに近づく…
……
「…ゲギャッ!?」
暗闇に赤い光が二つ浮かび、同時に驚きの声も上がる。
薄っすらと見えたシルエット…はどうやら、棍棒を持ったデザートゴブリンのようだが、敵も突然現れたレンに警戒しているのか、直ぐには襲って来そうに無い。
「…なんや、ゴブゾーかいな。」
正体が分かり安堵すると、レンは刀を抜きゴブリンを瞬殺する。
……ゴトッ…ドサッ
ゴブリンの足元には、喰い千切られた蝙蝠の無残な姿があった。
首が落ち、倒れたゴブリンを見てレンは思いつく。
…棍棒にゴブリンの着ているボロを巻き付けて火を点ければ、松明替わりになるのでは…と。
早速、棍棒を拾おうとレンが屈んだ瞬間…
「「ゲキャアァ!」」
背後から斧と剣を持った、デザートゴブリンが二匹同時に襲い掛かってくる。
……ヒュン、ヒュン
完全に虚を突かれたはずだったが、レンの身体は一瞬揺らめきゴブリン達の攻撃は空を切る。
それを嘲笑うように、刀を軽く振るう音がしたかと思うと、二匹のゴブリンは死体となり地面に転がる。
「…そーいや、ゴブゾーは相手を油断させてから、襲った来るんやったっけか?…まぁ、弱い事には変わらんけどな。」
20~30LVしか無いデザートゴブリンでは、油断を突いたとしても、レンに攻撃を掠らせる事すら出来ない。
後に続く奇襲が無い事を確認したレンは、先程思い付いた作業を行う。
……
「ファイア」
掌の上に炎を出すと、松明替わりの布に火を付ける。
「これで、結構明るなったから、歩きやすうなるわ…」
ゲーム時代の初期に遊びで取っていた、魔法職の基礎である、一位魔法の【ファイア】をが役立ったと喜ぶレン…ただ、火を点けるとゴブリンが着ていた服が燃えるので、
…臭いが凄い。
鼻を摘みながら臭いを我慢して進んで行くと、前方に開けた場所があり、そのまま進み中に入って辺りを松明で照らしてみる。
すると…
「おいおい、コレはでアカンて……」
レンの前に現れたのは、そこら中に張り巡らされた蜘蛛の巣と、巨大な蜘蛛【ギガントスパイダー】だった。
ーーーーティファ ルート
「ここは…砂の中でしょうか?」
ティファも他の皆と同じく、砂の通路に落ちていたようだが、特に焦る事は無く冷静に自分の体に異常が無いかを確認していく。
「…大丈夫そうですね。では、ユウト様とルサリィを探しに行きましょうか。」
そう自分に言うと辺りの暗闇を照らすために、聖魔法【ホーリーライト】を使用する。
すると、ティファの持つバスターソードが聖なる光を灯し闇を払う。
この魔法の通常での用途は、アンデットや死霊属性持ちのモンスターを倒す時に使うのだが、今のティファからすれば多少のMP消費で、辺りを明るく出来る便利魔法といった感覚で、せっかく利用しない手は無いと判断したのだ。
取り敢えず、壁や辺りを調べながら歩いていると、三叉路に差し掛かる。
「…ん~。運頼みはレアの得意分野なのですが…仕方ありませんね。」
ティファはその場で少し考えると、おもむろに剣を逆さにし剣先を地面に軽く突き刺すと手を離した。
……カランッ…カラ
「…こっち、ですか。」
意外にも、ベタなやり方で進む方向を決めると、迷いなくどんどん歩いて行く。
最悪、行き止まりや、方向が間違っていても、全てのルートをマッピングすれば良いだけの事だと、頭の中で割り切っているが故の行動でもあった。
途中で、サンドゴブリン、スパイダー、スネーク(野生)etc…
様々なモンスターが現れるが、剣を振った衝撃波で気絶させ、通り過ぎ様にトドメを刺して行く。
まったく淀みの無い行動と、あまりのレベル差に半分以上のモンスターは戦う事を諦め逃げ出していた。
なんの問題も無く歩いて行くが…
かなり歩いている筈のに、砂壁しか見えず代わり映えのしない状況にティファは少し焦り始める。
「こちらでは無いのでしょうか…」
不安を口にするが、今更引き返すのも不毛だとさらに歩みを早めて進む。
と、ようやく先に部屋のような物が見えて来た。
誰かと合流出来ないかと、少しの期待を胸に部屋に入ると…
そこに居たのは、このダンジョンの主…
【デザートイーター ロード】
…だった。
……ブンッ!
ティファは無言で剣を振ると、ツカツカとデザートイーターロードに向かって行く。
ちなみに、ロードが付くのはコロニー単位の王に当たる存在だけだ。
通常のデザートイーターがLV50~60程度なのに対して、ロードはプラス15~20はレベルが上がり、適正レベルのパーティなら問題ないが、適正ソロだと絶望できる相手になる。
「…アァァヴォォ!」
デザートイーターはティファを見て、警戒の咆哮をあげ武器を構える。
…しかしティファからすれば、通常種でもロードでも大した差は無い。
自分を見ても何の動揺もしない人間に、若干挙動不審になりながらも威嚇するように、死神が使うような巨大な鎌を振りかざす。
…カンッ!
ズバッ!!
ドスンッ…
デザートイーターロードの鎌はティファの剣に跳ね飛ばされ、続く一撃でロード自身も真っ二つに割れて倒れる。
ティファは死骸を見下ろすと、特に興味の無さそうな視線を送り、その場を後にしようとしてキラリと光る物に気付く。
倒れたモンスターの横に、サンドクリスタルフラワーが落ちていたのだ。
どうやら、このボスが持っていたドロップアイテムのようなので、後でルサリィに渡す為と回収しておく。
目的のアイテムはゲットしたので、後は二人を回収して、ルサリィの親を治療させるだけだ…と少し気が軽くなる。
そのまま部屋を出て、さらに早足に進んで行くと通路の前方に蹲る"ナニカ"を発見する。
……ウゥゥ
…少し警戒しながら進んで行くと、倒れていたのはシャーロットだった。
「…あなた、大丈夫ですか?」
「うっ…あ、あなたは確か…」
「ユウト様の従者でティファと申します。」
「…す、すみません…力を使い過ぎて……その、歩けなくて」
「…分かりました。私がおぶって行きましょう。放っておいて死なれては、ユウト様に叱られてしまいますし。」
「も…申し訳ありせん……」
力無く項垂れるシャーロットだが、実際、今の彼女には迫ってくるモンスターを退けるのが精一杯で、とても一人で、歩いて脱出できる力は残っていなかった。
…ティファに拾ってもらえたのは、かなりの幸運と言えるだろう。
待っていても、必ずレンが見付けてくれるとは限らない…そう分かっていても、最初に発見したのがティファだと、少し残念に思ってしまっている自分を恥じる。
…そして、そんな自分を背負ってくれる女性の横顔を見つめる。
…綺麗な人だなぁ
同性でありながらも、見惚れてしまうティファの美貌とスタイルに、少しの嫉妬心が湧いてくる…が、何を考えいるんだと、自分を戒める。
ティファは周りに転がっている、切断されたモンスターを見る。
「…これは、あなたのスキルで?」
「あ、はいっ…」
「…そうですか。」
シャーロットをおぶる体制を整えると、ティファは無言で歩き出す。
「お…重いですよね、すいません…」
「問題ありません。」
素っ気なく返される言葉に、シャーロットの心は痛む。
しかし、自身がこの女性の仕える主人に何をしたかを考えれば当然の事か…とあの時の事を思い返す。
……
王都からの命令で、帝国軍を圧倒的少数で退けると言う力を持った集団、【アイアンメイデン】なる組織を調べ、王国にとって危険と判断すれば「直ちに処分するように」と言われ、辺境のアスペルで会った男…
ユウトと呼ばれるその男性は、周りには美女をはべらせているし、人の話もちゃんと聞かない生意気な男だった。
しかし、一触即発の状態になった時の冷静な対応、今回も自分達のピンチに体を張って助けてくれた…
もしかすると、あの時がおかしかっただけで良い人なのかもしれない。
…でも、そんな彼に私は牙を向けた。
当然、殺す気でだ。
未遂とは言え、仕える主人に牙を向けた人間を助けるのは、もちろん気持ちが良い物では無いだろう。
それなのに「ユウト様が怒るから」と主人の意を汲み取って、嫌な相手までも助けてくれる…
私はレンが、この女性達に美人だ綺麗だと言う言葉に苛立って、軽々にも先制攻撃をしてしまった。
八ツ当りと言われても仕方がなかったかもしれない
…はぁ。私はなんて小さい人間なのでしょうか。
「私に助けられるのは、不本意でしたか?」
横目に見えたシャーロットの表情を見て、ティファが見当違いな質問を投げかける。
「いっ…いえ、とんでもない!以前の私が、あなた方に失礼な事をしたと思って…」
「ユウト様は気にしておられませんよ。それに先程も、あなたが襲われていると知って、全速力で助けに向かわれましたし……」
ティファの表情が少し曇る。
…嫉妬、しているのだろうか?シャーロットは完璧そうなティファの人間らしい所を見て、少し身近な感覚を覚える。
そのせいか、立ち入った質問をしてしまう。
「あなたは、ユウト…さんが、お好きなのですか?」
「もちろん、敬愛しておりますよ?」
即答で答えるティファを見て…羨む。
…自分に置き換えたとして、レンに対して同じ事を質問されて即答出来るだろうか?
「そんなに素敵な人なんですね…」
「彼の方は、私の全てですから。」
ティファの恥ずかしい台詞に、シャーロットの方が顔を赤らめる。
…こんなに強くて綺麗な女性に、そこまで言わせる男とは一体何者なのか?
シャーロットの中に少しの好奇心が芽生えてきた。
それから暫くは、黙々と歩いていたのだが…
「…何かありますね。」
ティファの声に前方を見ると、確かに通路の先に開けたスペースがありそうで、シャーロットはおぶられたまま、その部屋に入って行った。
…しかし、特に何も無いようだ。
二人は少し拍子抜けしたのか…
「「ふぅ~」」
と、同時に息を吐いた。
…ふふっ
そんな自分達の様子にティファが少し笑い、シャーロットも釣られて笑顔になり、先程までより少し空気が軽くなった。
「…きぃやぁぁあっ!おにいちゃぁあん!」
……前方から少女の叫び声が聞こえて来る。
ティファはシャーロットの身体をしっかり掴むと、猛スピードで駆け出した…
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