課金ガチャアイテムだけで生き抜く!異世界生活‼︎

ネコまっしぐら。

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不安と秘めたる想い

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 その日、テントの中で眠るフリをしていた私の胸の奥は穏やかでは無かった。
 もちろん眠る事なんて出来なくて、次の日は体調最悪だったけど、皆に心配かけないように必死に笑顔を作った。

 そこまで私を追い込んだ事。
 今までは、まったく望みが無かった『地球』と呼ばれる異世界への転移できる可能性だ。
 今までもレンが、こそこそと昔の仲間に依頼して、可能性がありそうな場所を探しているのは知っていた。
 でも、今までは全部ダメだったし、その都度イラついている彼を慰めるのは私の仕事だ、と勝手に張り切って…他の女の子達に優越感を持っていたんだ。
 なんてちっぽけな自分なんだろう。

 そんな自分が嫌になって、ユウトさん達と一緒に旅に出る事にした。
 レンの次に、小さかった私の世界を広げてくれた人…ユウトさん。
 最初は嫌な奴だったし、変な人だったけど、意外と真っ直ぐで仲間思いな人だった。

 ユウトさんの仲間達も凄い人が沢山いて刺激もいっぱい受けた。
 だから、多少の事では動揺なんてしない。
 って、そう思ってたのになぁ…
 レンが元の世界に帰ってしまうかもって思うと、胸の奥が張り裂けそう。
 最近はレンの事を考える事も少なくなっていたのに、なんでこんなにも痛いんだろう。

 …分かってる。
 私はレンが好き。
 でも、多分同じくらいユウトさんの事も好きだと思う。
 分かってる、私に選ぶ権利なんて無い。
 レンには奥さんや子供もいるし、ユウトさんの周りには綺麗で強くて素敵な人が沢山いる。
 だから、私は誰の一番にもなれない。
 物語のヒロインになんて、私はなれやしないんだ。

 レンは地球に帰れなければ、私をお嫁さんにしてくれるって言ってくれた。
 だから、レンは帰れなければ良いって心の奥底で思ってしまった。
 私が独りぼっちにならないで済むように。
 …最低だ。
 なんて自分勝手で卑しい感情なんだろう。
 旅に出て十分理解したのに、自分なんて大した価値の無い人間で、そんな事を思えるほど大事にされるべき存在じゃ無いって


 気付いたら涙が流れていた
 悲劇のヒロインを気取って
 だけど、涙は止まってくれなかった
 溢れても溢れても…

「……しゃ、シャル?起きてる?」
 涙が収まりかけていたタイミングでユウトさんから小さな声がした。
 煩かったのだろうか、泣いているのを気付かれていなかっただろうか。

「…はい。起きてます。」
 色んな思いが頭をグルグルしていたけど、精一杯普通を装って、涙声に聞こえないよう小声で応えた。

「俺も眠れなくてさ…ちょっとだけ、外の風にあたりに行かないか?」
「…分かりました。」

 私達は皆を起こさないように、こっそりとテントを抜け出した。





 ーーーーユウト視点
 案の定だ。
 悶々としている俺の横で寝ているシャルの肩が小刻みに震えている。
 鼻をすする音もするし間違いなく泣いてるんだろう…

 声を掛けるべきか、そっと抱き締めるべきか散々悩んだあげく、肩の震えが止まったタイミングで、ようやく声を掛ける事ができた。
 皆を起こさないように、緊張で声が裏返らないように小さな声で慎重に話しかけた。

 横を向いていたシャルからは、もちろん起きていると返事があり、思いつく限りキザな感じで外に行こうと誘う。
 特に拒否られる事も無く、そっと外に出た。
 夜の森は少し怖かったが、何かあれば微精霊達がユートリアに報せをくれるそうだから、大丈夫…なはず。

 テントの近くでは喋っていると煩いので少し歩いた。
 風が優しく二人を撫でる、心地いいな。
「あんまり遠くに行くと危ないよ?」
「そうですね。でも、皆を起こしたく無いですし」
 シャルの声は普通に戻っていた。
 俺の前を歩く彼女の顔は見えないけど、涙顔はもう見れないだろうな。
 そんな事を考えていると、シャルが立ち止まりこちらを振り向いた。

「もう大丈夫ですよ?煩かったですよね、ごめんなさい。」
 そう言った彼女の顔を月明かりが照らしていた。
 頼りなくて、寂しそうで、儚くて、綺麗だった…

「…きゃっ」
 頭の中は真っ白だった。
 何も考えられなくなった俺はシャルを抱き締めてしまっていた。
 嫌がられるかもと少し後悔したけど、シャルは小さく声を上げた後、そっと両手を後ろに回してくれた。

「あのさ、俺…」
「はい。」

「偉そうな事なんて言えなくて…シャルの気持ちだって大して分からないと思う。」
「…はい。」

「ティファやメリーにレア、彼女達がいなければ、俺はシャルに会う事も…今、こうやって無事に生きてる事も無かったと思う。」
「そうですね。」

「それに、ルサリィは俺が責任持って育てるって決めたんだ…親代わりみたいなもんかな。」
「はい。」

「だから……だから、シャル一人だけを大切にするって約束が出来なくて」
「……」

「でも、だけど…俺はシャルが大切だ。世界中敵にしても良いくらい大好きだ!」
「……」

「レンにだって負けないくらい大切にする。あいつが元の世界に帰っても、君が悲しまなくて済むように、めちゃくちゃ大事にするし、甘やかしまくるから!」
「……はい…っ。」

「だから、こんな俺でも良ければ…これからも、俺の側に居てくれないかな?シャルが愛想尽かすまででいいからさっ」
 情けない笑顔だったと思う。
 自信なんて無くて、普段のように茶化したふざけた言葉じゃない、本当の心からの素直な気持ちを吐き出して、シャルを安心させようと必死で笑顔を作って見せた。

「んっ…!?」
 不恰好な笑顔の俺に、泣き顔のシャルが唇を重ねた。

「…ありがとうございます。その……だ、大事にして下さいね?一番じゃなくても、私の前から消えたりしないで下さい。」
 両手を後ろに組んで、少し悪戯っ子のようにはにかんだ笑顔を見せてくれるシャル

「ぁ…あぅぁう…うぎゅう。」
「きゃぁーっ!」

 只でさえオーバーフロー寸前だった俺の脳味噌は、その瞬間限界を超えたのであった。






 ……翌朝
「ふぇっ!?ここはどこっ?私はだぁれ?」

「元気そうで何よりですユウト様」

「…おはよう、ティファ。」

 昨晩、シャルを元気付けようと勢い余ってめちゃくちゃな告白をした俺は、彼女からキスをされて気絶してしまっていた。
 若干、記憶喪失気味に大袈裟なリアクションで目覚めてみたが、皆の姿は無く、真顔のティファが冷静な挨拶をくれる。

「朝食の用意ができています。昨晩はお疲れでしたでしょうが、食べられますか?」
 俺に右手を差し出して尋ねてくるティファ

 ななな、なんででしょうか。
 綺麗なお顔がいつもより不機嫌そうなのは俺の見間違いでしょうか。
 …いえ、これは間違い無くthat's不機嫌ってやつですっ!!

 俺は昨日の事を質問する事も出来ず、ティファの手を掴むと起き上がる。
 …痛い痛い、ティファさん、手が手ががが

 テントの外に出ると、テーブルの上に朝食が用意され、簡易食卓が完成していた。
 せっせと用意するルサリィに、もはやつまみ食いのスピードを超える勢いで食べるレア。
 アキラは椅子に座り静かに待っていて、メリーも珍しく準備万端だ。
 シャルも食器を並べ終えると席に着いた。
 心なしか頬が赤い気がする…
 膝の上にはユートリアも座ってスタンバイ済みだ。

 ティファが椅子を引いてくれて、俺が席に着くと全員が席に着いた。

「…それでは、本日の実験の成功を祈っ……カップル成立のお祝いも一緒のほうが良いかな?」
 …ピキッ、パリンッ
 アキラの余計な一言で、メリーが持っていたティーカップがひび割れる。

「…では、いただきますっ」
「「いただきます。」」
 煽るだけ煽っておいて普通に食事を始めるアキラを睨みつつも、この場で言葉を発する事も出来ず、ただ食事を胃の中に流し込むのであった…



 …
「お兄ちゃん?なんでこんなに空気悪いの?わたしが寝ている間に何か悪い事したの?」
 食事の片付けを終わらせたルサリィが、隙を見て俺に怪訝な表情で尋ねてきた。

「な、なんでだろ~なんでだろ~ななななんでだろぉ~」
「……はぁ。」
 上手く切り返せる言い訳も思いつかず、娘だとか妹だとか言っていた年下の女の子に、ため息で返される。

「…お家に帰るまでには何とかしておいてねっ!」
 いい笑顔でそう言うと、ルサリィはユートリアの方に走って行ってしまった。

 立つ瀬が無かった俺はシャルを見たが、視線が合うと思いっきり目を逸らされた…
 訳の分からないまま、アキラの元に行って色んな意味で状況を伺う。

「…やぁ、色男さん。準備はもうすぐ終わるよ」
「その一言で、ほとんどの答えになるわな。まさか皆知ってるのか?」

「…ルサリィちゃん以外はね。そりゃ深夜に絶叫してぶっ倒れればそうなるでしょ、お姫様が一番可愛そうだと思うけど」
 アキラは呆れ顔でそう言うとチラリとシャルを見た。

 どうやらキスされてぶっ倒れた俺は、皆に介抱されながらテントに戻されたらしい。
 シャルは皆に何があったのか聞かれて、公開処刑状態だったそうだ。
 助けを求めたくても、俺は呑気にオネンネで役立たず…
 後で聞いた話だと、そもそも色んな方法で盗み聞きしていたらしくて、聞く必要も無いのにシャルは質問責めにされたとか。

 恥ずかしさとシャルへの申し訳なさで怒鳴り散らしてやろうかと思ったけど…
 怖くて出来ませんでした、はい。


「…さぁ、できた。最後にココを使ったプレーヤーの元に飛ぶように設定したから、後は本当に飛べるか…だね」
 俺の気持ちなんて関係なしで、準備を完了ささたアキラが全員に伝える。

 さっきまでの剣呑とした空気から、緊張感を孕んだ物へと変化していく。

 スタートホールの魔法陣の中心にユートリアが立ち、アキラがコントロールパネルがある柱に手を置く。
 その横の台座でレアが魔力を練っているそうだ。
 俺には見えないけど、何やら集中しているのが分かる。

 残りのメンバーは一箇所に集まり少し離れて実験の様子を見守っていた。
 斜め後ろに立っていたシャルが俺の手をギュッと掴んできた。
「…それじゃ、いくよ!3…2…1…GO!」
 アキラの掛け声に反応して、レアから魔力が白い光となって迸る。

 その光は魔法陣へと流れていき、淡い光から光の柱へと変化していく
「眩しいっ!」
 光は最高の光度を放つとパッと消え去った。
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