95 / 106
強い想いと兆し
しおりを挟む
「…はぁ。言い過ぎましたね。」
部屋を出て、項垂れながら呟くティファ
「仕方ありませんわ。お姉様は良く我慢されていましたもの。」
誰も居なかったはずの空間から、突如メリーが現れティファの背中に手を添える。
普通であれば何処にいたのかと驚く所だが、既に部屋の中で存在に気付いていたティファは特に驚かず、力なく首を左右にふった。
屋根裏で聞き耳を立てていた者として、メリーは少し責任を感じていた。
…お姉様は、あの子と仲が良かったようだしお任せしたけど、私が言った方がよかったのかしら。
でも、わたくしあの子は好きになれないのよねぇ。
優柔不断のくせに、横からしゃしゃり出てユウト様を攫っていくんですもの。
ありえませんわ。
「あれが失敗となれば、別の方法を考えた方が良さそうですわ。」
フォローするように、メリーはワザとらしく「むぅっ」と拗ねた顔をした。
…だけど、お姉様の言う事も一理あるわ。
ユウト様をこの世界に留める為には「何でも利用する」と、言うのは正しいこと。
さすがのわたくしも、あの時はユウト様の姿には動揺しましたもの。
ユウト様が『不能者』でなければ、わたくしの身体でいくらでも虜にして差し上げれますのに…口惜しいですわ。
「…まぁ、無い物ねだりしても始まりませんわね」
「あるものを最大限に利用して戦う…これは基本ですからね」
二人は力なく笑い合う。
そして考える。
自分達に使えるものは何があるか、と話しながら。
…
「なんの騒ぎだろうか…」
メイド姉妹の買い物にレアと付き合って帰ってきたら、二階で怒鳴り声が聞こえた。
しかも、あれはシャルの声だろうか。
相当エキサイトしてらっしゃるようだけど、俺の事じないよな?
悪い事なんてしてない…はず。
「ユ、ユウト様…」
「あら、もうお戻りになられまして?」
二階から降りて来た二人が俺を見つけて、少し狼狽えている。
あの様子だと、シャルと揉めたのはティファだな。
あ、ティファが階段を踏み外しかけてた。
まぁ、天然なところがあるから別段驚きはしないが。
あの二人が、俺の気配に気付かないほど集中して話をしていたのだろうか?
「あぁ、四人いたからすぐに終わってな」
「そうでしたの。それで…お疲れはとれまして?」
「ユウト様。私達に出来ることがあれば、何でも仰って下さい。」
二人共、表情に覇気がないな。
何か心配事でも…いや、逆に俺が出来る事なら何でもするんだけど。
それとも、二人には俺の正体を明かした方がいいんだろうか?
でも、それを考えると動悸が酷くなる…
「ど、どうしたんだよ。腹減ったのか?それに元気と無さそうだけど、あ~…俺で良ければ相談にのるぞ?まぁ役に立つかわからんけどな」
ワザと明るく振る舞い、茶化すように尋ねてみた。
「わたくし達は、レアさんと違ってお気楽なキャラではありませんことよ?」
ワザとらしく頬をプクッとして拗ねた顔をしてくる。
普段見せない表情は可愛いな…
これがギャップ萌えか。
いや、それは置いておこう。
二人のこんな反応は珍しい。
やっぱり俺絡みの悩みなのだろうか。
二人は、ソファに座って情けない顔をする俺の左右に腰掛けた。
いい匂いがフワッと香ってくる。
メリーは頭を肩に乗せてくると、太ももを弄り出す。
反対側のティファは、左腕に胸を押し当てたままジッと前を向いている。
心なしか頬が赤い。
二人ともラフな服装のせいから上から見下ろすと、左右の桃源郷具合がハンパないな。
山脈がそびえ立ってるぞ。
しかし、これだけの眺めに反応を見せない我が愚息には溜息がでる。
元の世界の体に戻れば、アソコだけは最強伝説をつくれるのだが。
「……ユウト様こそ、何かありまして?」
上目遣いの潤んだ瞳が色っぽい。
それに、含みのある少しワザとらしい聞き方をしてくるな。
空色の髪からのぞくエルフ耳と相まって、威力がハンパない。
反対側では、おずおずといった感じで、さらに腕を絡ませてくる。
「わ、わわわ私達に出来ることであれば、なんなりとお言いつけ下さぇあっ…」
…噛んだな。
言い慣れんことを言ったせいだろう。
まぁ、そっとしておくのが男ってもんよ。
それに…こっちに来て間もない頃から考えると、ティファのデレ度も育ったものだ。
乙女ゲーの攻略済みツンデレヒロインくらかな。
まぁ、ツンは無いけど。
「おの、俺さ、二人には言って…」
「たたた大変です!!ユ、ユウト殿!」
リビングの扉を体当たりするかの如く押し開けて、幹部の一人レオが駆け込んでくる。
「ぷひーぷひー、たたた」
「うるさいですわよ子豚……良いところでしたのに」
今度はメリーが言葉を遮るように極寒の眼差しを向ける。
「あわわ…い、いや、違うんです。王都に行っておられた父上からクーデターとの報せが」
「はぁ、なんだって?クーデターって誰が?」
気の抜けるような音で呼吸を整えながら、覚悟を決めた顔で俺たちを見つめてくる。
そして、彼の口から伝えられた内容は驚きの事実であった。
ーーーーアダド王国 王都エリオペア
…その頃王城では。
「きぃさまぁぁ、ゲルノアァ!陛下から手を離さんかっっ」
能力低下の効力があるアイテム『怨嗟の鎖』で全身を簀巻きにされた、オリバー騎士長が叫ぶ。
「ほっほっほ。あまり煩くすると、間違って陛下の首が落ちてしまいますぞ?」
「ぅぬぐぐぅっ」
オリバーを始めとする騎士の幹部達は既に捕らえられ、国王は王座から落ち四つん這いになり、その首元には鋭い剣が向けられている。
「あなた…」
「…お父様」
王冠は転がり落ち、黒尽くめの暗殺者に足蹴にされる国王。
それを心配する王女や皇子も後ろ手に縛られている。
「…ゲルノア大臣よ手引きご苦労であった。魔法士長がいないのは気掛かりだが」
「アールヴの転移でしたら、既に手を打っております。王城内に結界を張り巡らせておるので転移魔法は無効ですぞ。」
王城一階の扉は固く閉ざされ、城内至る所に水晶型のアイテムが光り輝いている。
ラクシャスから借り受けた兵士と、ゲルノア個人の私兵により既に場内は制圧済みのため、もはや王城へ忍び込む事すら困難な状況になっていた。
「なにゆえ…なにゆえ陛下を裏切るのか?私益を肥やす貴様を、陛下はお目溢し下さっていただろう」
歯噛みしながら顔だけを巡らせるオリバー。
彼もゲルノアの裏の顔は知っていたが、ここまでの無理をする程の度胸があるとは思っていなかった。
「すでに…城下も我らラヴァーナ教の者によって死と恐怖の支配下にあるだろう」
「そして、この世界はラクシャス猊下の物となるのだ!わたしは…わたしは、猊下の僕としてこの地を治めるのだよ!」
目を充血させ、両手を広げるゲルノアはまさに狂信者そのものであった。
「無駄な事を…民が、国民が貴様など認めるものか」
オリバーは常々思っていた。
『国』とは、王と民の信頼無くして成り立たないと。
頭だけをすげ替えた所で身体が拒否すれば、それは完全な形を保てない。
だから、王と王都を落とした所で、各都市の都市長達が黙っているわけがないのだ。
たしかにラヴァーナ教と餓狼蜘蛛の力は強大である。
「民の替えなど、いくらでもおるのだよ。オリバー…牢に放り込んでおけ!」
下卑た笑顔を作りオリバーを見下ろす。
…そんな訳はない。
あの神国ですら、全てが教徒と言うわけではないのだ。
国家を維持できない国の王になんの価値があるというのか。
「「さぁ、立て!」」
「…せいぜい、偽りの王を楽しむんだな。じきに彼らが来てくれる」
…じきに都市長達が、そして世界最高の戦力であるアイアンメイデンが暴挙を阻止してくれる。
それまでの辛抱だ。
オリバーは私兵に引き摺られるように王座の間を後にした。
「さて陛下…おっと、ガイゼフよ教えてもらおうか。この城の地下に眠る祭壇への鍵を」
ガイゼフの頭から落ちた王冠を拾い上げ、自分の頭に載せゲルノアは王家のみが知る秘密を尋ねる。
「…おのれ、無礼ですよ!ゲルノア」
「…その辺で犯して殺してあげなさい。」
「「はっ!」」
ゴミを見るような目で指示を出すゲルノアに、王女は戦慄する。
母親を庇おうとする幼い皇子も、兵士達に押さえつけられてしまう。
「まっ、待て!わかった…分かった。全て話すから、だから二人を助けてくれ…頼む、ゲルノアよ」
「ほっほっほっ、素直でよろしいでしょう。では、地下祭壇へ向かいますぞ…その二人は牢にで入れておけ」
「「ははぁっ!」」
王座の間には、数名の私兵と黒づくめの男達が残った。
「……ピィー」
戦力としてカウントされなかった書記官のベイルは、静かに口笛を鳴らす。
すると、窓際にいた鳩が一羽飛び立った。
この危機を彼に伝えるために。
ーーーー要塞都市 バノペア
…同時刻。
「いやー!やっぱ、一気に狩るんは大変やったなぁ」
身体中に小傷を作りながら飄々と語るレンに二人から冷ややかな視線が飛ぶ。
「あなた、もう少し連携を考えるべきよ!」
「キリカに言われるなんてレンさん…」
飛龍退治に赴き剣士三人と言う変則パーティーながらも、火力に任せて見事に討伐を完遂した帰り道。
ワイワイと言い合い、技についての意見を交わす。
死線を潜り抜けた事で、出会った頃よりもだいぶ打ち解けて見える。
「なんや、あれ…」
「なによあれ?」
「いや、僕に聞かれても…」
そんな三人の視線の先に、バノペアの城壁から登る灰色の煙が見えた。
「ちょっと、ヤバそうやな…二人とも、もうちょい手ぇ貸してくれ!」
「「はいっ」」
自然と足は早くなり城壁へと急ぐ。
レンは額に汗を浮かべていた。
アールヴに少し聞かされていた、反乱の兆し。
まさか、そこまで酷くはならないだろうと軽く流していた。
バノペアには知り合いも多くいるのだ。
腰の刀を握る手に力が入る。
「無事であってくれや」
レンは呟き急ぐのであった。
部屋を出て、項垂れながら呟くティファ
「仕方ありませんわ。お姉様は良く我慢されていましたもの。」
誰も居なかったはずの空間から、突如メリーが現れティファの背中に手を添える。
普通であれば何処にいたのかと驚く所だが、既に部屋の中で存在に気付いていたティファは特に驚かず、力なく首を左右にふった。
屋根裏で聞き耳を立てていた者として、メリーは少し責任を感じていた。
…お姉様は、あの子と仲が良かったようだしお任せしたけど、私が言った方がよかったのかしら。
でも、わたくしあの子は好きになれないのよねぇ。
優柔不断のくせに、横からしゃしゃり出てユウト様を攫っていくんですもの。
ありえませんわ。
「あれが失敗となれば、別の方法を考えた方が良さそうですわ。」
フォローするように、メリーはワザとらしく「むぅっ」と拗ねた顔をした。
…だけど、お姉様の言う事も一理あるわ。
ユウト様をこの世界に留める為には「何でも利用する」と、言うのは正しいこと。
さすがのわたくしも、あの時はユウト様の姿には動揺しましたもの。
ユウト様が『不能者』でなければ、わたくしの身体でいくらでも虜にして差し上げれますのに…口惜しいですわ。
「…まぁ、無い物ねだりしても始まりませんわね」
「あるものを最大限に利用して戦う…これは基本ですからね」
二人は力なく笑い合う。
そして考える。
自分達に使えるものは何があるか、と話しながら。
…
「なんの騒ぎだろうか…」
メイド姉妹の買い物にレアと付き合って帰ってきたら、二階で怒鳴り声が聞こえた。
しかも、あれはシャルの声だろうか。
相当エキサイトしてらっしゃるようだけど、俺の事じないよな?
悪い事なんてしてない…はず。
「ユ、ユウト様…」
「あら、もうお戻りになられまして?」
二階から降りて来た二人が俺を見つけて、少し狼狽えている。
あの様子だと、シャルと揉めたのはティファだな。
あ、ティファが階段を踏み外しかけてた。
まぁ、天然なところがあるから別段驚きはしないが。
あの二人が、俺の気配に気付かないほど集中して話をしていたのだろうか?
「あぁ、四人いたからすぐに終わってな」
「そうでしたの。それで…お疲れはとれまして?」
「ユウト様。私達に出来ることがあれば、何でも仰って下さい。」
二人共、表情に覇気がないな。
何か心配事でも…いや、逆に俺が出来る事なら何でもするんだけど。
それとも、二人には俺の正体を明かした方がいいんだろうか?
でも、それを考えると動悸が酷くなる…
「ど、どうしたんだよ。腹減ったのか?それに元気と無さそうだけど、あ~…俺で良ければ相談にのるぞ?まぁ役に立つかわからんけどな」
ワザと明るく振る舞い、茶化すように尋ねてみた。
「わたくし達は、レアさんと違ってお気楽なキャラではありませんことよ?」
ワザとらしく頬をプクッとして拗ねた顔をしてくる。
普段見せない表情は可愛いな…
これがギャップ萌えか。
いや、それは置いておこう。
二人のこんな反応は珍しい。
やっぱり俺絡みの悩みなのだろうか。
二人は、ソファに座って情けない顔をする俺の左右に腰掛けた。
いい匂いがフワッと香ってくる。
メリーは頭を肩に乗せてくると、太ももを弄り出す。
反対側のティファは、左腕に胸を押し当てたままジッと前を向いている。
心なしか頬が赤い。
二人ともラフな服装のせいから上から見下ろすと、左右の桃源郷具合がハンパないな。
山脈がそびえ立ってるぞ。
しかし、これだけの眺めに反応を見せない我が愚息には溜息がでる。
元の世界の体に戻れば、アソコだけは最強伝説をつくれるのだが。
「……ユウト様こそ、何かありまして?」
上目遣いの潤んだ瞳が色っぽい。
それに、含みのある少しワザとらしい聞き方をしてくるな。
空色の髪からのぞくエルフ耳と相まって、威力がハンパない。
反対側では、おずおずといった感じで、さらに腕を絡ませてくる。
「わ、わわわ私達に出来ることであれば、なんなりとお言いつけ下さぇあっ…」
…噛んだな。
言い慣れんことを言ったせいだろう。
まぁ、そっとしておくのが男ってもんよ。
それに…こっちに来て間もない頃から考えると、ティファのデレ度も育ったものだ。
乙女ゲーの攻略済みツンデレヒロインくらかな。
まぁ、ツンは無いけど。
「おの、俺さ、二人には言って…」
「たたた大変です!!ユ、ユウト殿!」
リビングの扉を体当たりするかの如く押し開けて、幹部の一人レオが駆け込んでくる。
「ぷひーぷひー、たたた」
「うるさいですわよ子豚……良いところでしたのに」
今度はメリーが言葉を遮るように極寒の眼差しを向ける。
「あわわ…い、いや、違うんです。王都に行っておられた父上からクーデターとの報せが」
「はぁ、なんだって?クーデターって誰が?」
気の抜けるような音で呼吸を整えながら、覚悟を決めた顔で俺たちを見つめてくる。
そして、彼の口から伝えられた内容は驚きの事実であった。
ーーーーアダド王国 王都エリオペア
…その頃王城では。
「きぃさまぁぁ、ゲルノアァ!陛下から手を離さんかっっ」
能力低下の効力があるアイテム『怨嗟の鎖』で全身を簀巻きにされた、オリバー騎士長が叫ぶ。
「ほっほっほ。あまり煩くすると、間違って陛下の首が落ちてしまいますぞ?」
「ぅぬぐぐぅっ」
オリバーを始めとする騎士の幹部達は既に捕らえられ、国王は王座から落ち四つん這いになり、その首元には鋭い剣が向けられている。
「あなた…」
「…お父様」
王冠は転がり落ち、黒尽くめの暗殺者に足蹴にされる国王。
それを心配する王女や皇子も後ろ手に縛られている。
「…ゲルノア大臣よ手引きご苦労であった。魔法士長がいないのは気掛かりだが」
「アールヴの転移でしたら、既に手を打っております。王城内に結界を張り巡らせておるので転移魔法は無効ですぞ。」
王城一階の扉は固く閉ざされ、城内至る所に水晶型のアイテムが光り輝いている。
ラクシャスから借り受けた兵士と、ゲルノア個人の私兵により既に場内は制圧済みのため、もはや王城へ忍び込む事すら困難な状況になっていた。
「なにゆえ…なにゆえ陛下を裏切るのか?私益を肥やす貴様を、陛下はお目溢し下さっていただろう」
歯噛みしながら顔だけを巡らせるオリバー。
彼もゲルノアの裏の顔は知っていたが、ここまでの無理をする程の度胸があるとは思っていなかった。
「すでに…城下も我らラヴァーナ教の者によって死と恐怖の支配下にあるだろう」
「そして、この世界はラクシャス猊下の物となるのだ!わたしは…わたしは、猊下の僕としてこの地を治めるのだよ!」
目を充血させ、両手を広げるゲルノアはまさに狂信者そのものであった。
「無駄な事を…民が、国民が貴様など認めるものか」
オリバーは常々思っていた。
『国』とは、王と民の信頼無くして成り立たないと。
頭だけをすげ替えた所で身体が拒否すれば、それは完全な形を保てない。
だから、王と王都を落とした所で、各都市の都市長達が黙っているわけがないのだ。
たしかにラヴァーナ教と餓狼蜘蛛の力は強大である。
「民の替えなど、いくらでもおるのだよ。オリバー…牢に放り込んでおけ!」
下卑た笑顔を作りオリバーを見下ろす。
…そんな訳はない。
あの神国ですら、全てが教徒と言うわけではないのだ。
国家を維持できない国の王になんの価値があるというのか。
「「さぁ、立て!」」
「…せいぜい、偽りの王を楽しむんだな。じきに彼らが来てくれる」
…じきに都市長達が、そして世界最高の戦力であるアイアンメイデンが暴挙を阻止してくれる。
それまでの辛抱だ。
オリバーは私兵に引き摺られるように王座の間を後にした。
「さて陛下…おっと、ガイゼフよ教えてもらおうか。この城の地下に眠る祭壇への鍵を」
ガイゼフの頭から落ちた王冠を拾い上げ、自分の頭に載せゲルノアは王家のみが知る秘密を尋ねる。
「…おのれ、無礼ですよ!ゲルノア」
「…その辺で犯して殺してあげなさい。」
「「はっ!」」
ゴミを見るような目で指示を出すゲルノアに、王女は戦慄する。
母親を庇おうとする幼い皇子も、兵士達に押さえつけられてしまう。
「まっ、待て!わかった…分かった。全て話すから、だから二人を助けてくれ…頼む、ゲルノアよ」
「ほっほっほっ、素直でよろしいでしょう。では、地下祭壇へ向かいますぞ…その二人は牢にで入れておけ」
「「ははぁっ!」」
王座の間には、数名の私兵と黒づくめの男達が残った。
「……ピィー」
戦力としてカウントされなかった書記官のベイルは、静かに口笛を鳴らす。
すると、窓際にいた鳩が一羽飛び立った。
この危機を彼に伝えるために。
ーーーー要塞都市 バノペア
…同時刻。
「いやー!やっぱ、一気に狩るんは大変やったなぁ」
身体中に小傷を作りながら飄々と語るレンに二人から冷ややかな視線が飛ぶ。
「あなた、もう少し連携を考えるべきよ!」
「キリカに言われるなんてレンさん…」
飛龍退治に赴き剣士三人と言う変則パーティーながらも、火力に任せて見事に討伐を完遂した帰り道。
ワイワイと言い合い、技についての意見を交わす。
死線を潜り抜けた事で、出会った頃よりもだいぶ打ち解けて見える。
「なんや、あれ…」
「なによあれ?」
「いや、僕に聞かれても…」
そんな三人の視線の先に、バノペアの城壁から登る灰色の煙が見えた。
「ちょっと、ヤバそうやな…二人とも、もうちょい手ぇ貸してくれ!」
「「はいっ」」
自然と足は早くなり城壁へと急ぐ。
レンは額に汗を浮かべていた。
アールヴに少し聞かされていた、反乱の兆し。
まさか、そこまで酷くはならないだろうと軽く流していた。
バノペアには知り合いも多くいるのだ。
腰の刀を握る手に力が入る。
「無事であってくれや」
レンは呟き急ぐのであった。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜
くまみ
ファンタジー
前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?
「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。
仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。
病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。
「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!
「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」
魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。
だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。
「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」
これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。
伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!
2週目の人生ですが、生きていた世界にファンタジーがあるとは思ってなかった
竹桜
ファンタジー
1人で生きていた男はある事故に巻き込まれて、死んでしまった。
何故か、男は生きていた世界に転生したのだ。
2週目の人生を始めたが、あまり何も変わらなかった。
ある出会いと共に男はファンタジーに巻き込まれていく。
1周目と2週目で生きていた世界で。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる