猫になった俺、王子様の飼い猫になる

あまみ

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猫の呪い

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 「つまり君は猫を助けて死んだらこの世界に猫として生まれ変わってしまっていたというわけだ」

 テオドールは何かを考えるようにソファの縁をトントンと指先で叩いてる。その様子をドキドキしながら様子を伺っていると突然テオドールは立ち上がり、積み上げられた本の中から一冊の本を取り出した。

 「いい魔術式があるんだ!えーと!これをこうして……こうやって……」

 本を見ながらサラサラと紙に何かを書いていく。天音が呆気に取られているとテオドールは子供のように無邪気な表情で「できた!」と大きな声を上げた

 「今から君にある術を施す。それは天音、君の体質についてまず説明しなければならない。君が今人間に戻れているのは残念ながら一時的のものにすぎない」
 「え……それって」
 「先程君にかけた魔術は『真実の姿に一時的に戻す』術だ。これは主に魔導具や、魔術により変装している人間に使う魔術だ」

 テオドールが言うには継続的に真実の姿に戻す魔術はないとのことで、今天音が人間に戻っていてもなんらかの拍子で猫に戻ってしまうらしい。
 しかも天音の状態はいわばに近い状態らしい。

 「の、呪いって……どうにかできないんですか?」
 「んー人間が猫になるなんて呪い聞いたこともことも見たこともないんだよねえ」

 テオドールはこの国一番の魔術師であることを自負している。その彼が聞いたことも見たこともないとなるとその言葉は確かなものだ。天音はその言葉を聞いて目の前が真っ暗になったような感覚になった。ショックで放心しているとテオドールが明るい声で「けーど!」天音の頭をポンポンと叩いた。

 「この天才魔術師テオドール様ならどうにかできないこともない!」
 「お願いします!助けてください!」

 ずいっとテオドールに詰め寄るとテオドールは得意げに胸を張った。
 
 「呪いを解く方法を解明して見せよう!この症例はなかなかないしね!腕がなるーう!」

 ひゅうっと口笛を吹く。天音が「テオドール様!」というと満足げな表情でふふんと笑った。

 「ただ、今の俺にはこの呪いの式を上から書き換えるのに精一杯だから、とりあえずはこの魔術をかけるよ」

 そしてテオドールは杖を手に取って呟くように何かを唱えた。
 光の粒子が現れてまた天音の身体を包んだ。

 「ええ!」と声を上げたのも束の間、光の粒子が溶けるように消えるとそこには人間の姿の天音ではなく、猫の姿になっていた。

 「にゃあ!(また猫!)」
 
 イオに戻った天音が再び猫に戻ってしまった自分の手(肉球)をふるふるしながらショックを受けているとテオドールは驚きの言葉を告げた。

 
 「とりあえずキスしたら人間に戻る式に書き替えといたよ」

 ウインクしながらてへぺろといった表情でとんでもないことを告げた。このとき天音は先程エリオットたちが言っていた「人格破綻者」の意味を思い知ったのだった。
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