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第1部:転生と始まりの街。それと先輩転生者

第1話:自由人爆誕!

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はじまり はじま~り~
___________

気が付いたら真っ白な空間に居た

空間に輪郭もなく。何もないので。どれだけ広いのか

それとも思ったより狭いのか。それすら分からない

分かることと言えば。床に仰向けで伏せていたという事だけで

立ち上がったが、床も真っ白で起伏を見ても判断出来ないが。だがどうやら平坦らしい


軽く辺を見回してみたが。何もない。…と思っていたら上からふわふわと何かがやって来た
ゆったりした衣装の女の子だ。天女の羽衣と言った雰囲気もあるが
それ以上は分からない。衣装の種類に名称があるのかも知れないからだ
それがゆらゆらとうつぶせの様なお腹で中釣りの様なダラけた姿で降りてきた

「おー…やっと起きたのう。で嬉しいのじゃ。どうじゃ?体の調子は悪くないかの?」
そう聞かれたので軽く動かしてみる。うん。何も問題はない
意識もスッキリと冴えているし理路整然と考えが及ぶ
…所で。ここはどこで彼女は誰なのだろう?

「妾はアプロディーテ。女神なのじゃ!」
アプロディーテ?……確かギリシャ神話の神様だったかな?

「ほう。よく知っておるのう。けど違うぞ。同一の名前ではあるが、モチーフとして借りておるだけじゃ」
こちらも詳しくはないので名前しか知らない神様なのだが。何やら違うらしい

「まー。女神は五柱おるからのう。名称区別の為にあるのじゃ。権能や立場の為に名前は合わせてはおるがの」
柱ってのは神様を数える時の単位だったかな?所でどんな権能なんだろう。この女神様は

「あー。妾は休神じゃな。娯楽も休日にする事だから司っておる。まー。聖書でも神様は7日働いたら1日休むからのう。妾は6日は休みたいがな!」
愉快そうに笑っている。それは休み過ぎではないだろうか?それらしいと言えばらしいのだが

「と、まあそれはそれじゃ。お主の状況を説明してやろう。良いか?1回しか言わんからの。よく聞くんじゃぞ!」
前置きされてから説明が始まる。要約するとこうだ

お主は地球から異世界に転生する。異論は認めない。拒否は出来ない
とは言えど同じ姿形じゃろ?それは向こうで死亡したお主の魂だけをここに呼んで
こちら側の世界の存在に変化させて無から生み出しておるからじゃ
じゃから転移ではなく転生なのじゃ
見た目は同じじゃが、新たなる能力を秘めた肉体に魂を入れておるからの
それと異世界はよくある中世ファンタジー
正確には近世くらいで最近は転生者の影響で色々と進歩しとるがの
それによくあるRPGみたいな職業とかステータスとかスキルがある世界じゃな

なんかいきなりだな。強制異世界転生とか。そういうのはいきなり団子だけで結構なんだが
拒否出来ないのなら仕方ない。取り敢えずは従っておこう

「ふむ。なんかノリが悪いのう。条件には一致している筈なのじゃが…ほら!アレじゃぞ!剣と魔法と魔物が出てくるファンタジーじゃぞ!!職業だって勇者とか賢者とか魔王だってあるのじゃぞ!迷宮があって仲間と一緒にワクワクドキドキな大冒険なんじゃぞ!!もっと盛り上がらぬか!!!」
そう熱弁されるがそこまで触発されない。…魅力を感じないかと言われれば少しは感じるが
それよりも。そこまで言われたが1つだけ。気になる事がある
あ。勿論よくある中世ファンタジーでRPGみたいな世界ではない

同じ姿形。そう言われたが、それだけが分からない
…いや。よく考えると名前や家族。どこに住んでいたとか年齢とか
そういう記憶がごっそりとない。そこだけが抜け落ちている
考えは及ぶし。言語も日本語は分かっている
更に思考を巡らすとRPGの知識も分かる
それ以外の平均的な日本人なら知ってる事も…分かる気がする
有り体に言えば。これは記憶喪失というモノではなかろうか?

「ふむ…記憶喪失かのう。まー転生者にはよくあるからのう。10人に1人くらいは記憶喪失じゃ。珍しい事ではないぞ。調べようと思えば死因くらいは調べられるが…ちと面倒でのぉ…」
なら記憶喪失なのだろう。調べられると言われても記憶が無いからか。余り魅力を感じない
それより珍しくない根拠を聞いてみたいかな?

「なら教えてやろうかの。それには転生の条件から話す方が良いのお」
条件を列挙する

ある程度若くて。だが若すぎない。具体的には10歳から30歳くらい
健康な人物。これは先天的な疾患や肉体欠損は再生出来ないので、そこを勘案する
日本在住でRPG的な世界観にある程度順応してくれる
地球側で死亡した人物。生きている人物は仕組みの都合で転生不可能

「そしてこれが問題だが。若くて健康的な人間が死なねばならぬのじゃ。そうでなければ老衰や病死が多いが。その条件じゃと…事故か事件が多くてのう。じゃからか激しい事故死じゃと転生しても記憶が抜け落ちる事があるのじゃ。あ。記憶の回復は不可能なので諦めてくれ。なぁに。下手に覚えてる方がトラウマになる事もあるし。覚えてない方がスッキリじゃぞ!」
嫌な話を聞いてしまった。だとするなら尚の事、死因なんて聞きたくないな。聞いたからってどうする事も出来なければ、何かする必要もないだろう。もし同じ世界の少し前の時間に戻るとかだったらそうならない様に対策する。とかそういう話になりそうではあるが。異世界に転生すると言われたしな
それにしても随分とざっくばらんである。「覚えてない方がスッキリ」とは。扱いが悪いんじゃなかろうか?
…いや。女神様だし何度も転生させているのだろう。その過去の転生者の顛末の経験からそういう意見が……違うな。絶対面倒だっただけだな。何となくだが。この女神様について掴んできたぞ。…女神様という割には人間臭いな
だが記憶喪失の件はそういう事なのだろう。と納得した。現実でも事故とかで事故前後の記憶が無くなるとか聞いた事がある。…事故だったのかなぁ?いや。考えるのはやめよう。どうせ転生トラックとかなんでしょ?

それに記憶喪失という事実に困惑はするし、記憶の再生は不可能だと言われたし、多少の不安感はあるが記憶を取り戻したいとは感じないみたいだ
聞いた事がある。人間は既に持っているモノを失うのは嫌に感じるらしい
だが記憶喪失の場合はその持っていた事実も失っている為か
そこまで感じれないのだろう。そう考えると惜しい様な気もするが
女神様に「問☆題☆解☆決!」出来ない事なら仕方ない
それよりも話にあった転生者の条件の方が気になる
どうしてこんな条件なんだろう?よく分からない。何か理由があるのだろうか?

「普段は面倒じゃが今回は妾の気分が良い。答えてやるぞ!」
気分が悪いとされないのか…と思ったが余計な事はこれ以上考えない事にする。やはり機嫌を損ねると良くないタイプだ
そして1つずつ回答がなされる
年齢は高い運動能力を発揮できる年齢。健康も同一項目で先天的な運動能力の低い人材を除外する
性格も世界に順応し。活動するのに向いている者を選ぶ為
ただしこれは最近はこの条件を満たすといい人材が選ばれると女神が判断しただけで
それより昔は運動能力や快活さを中心に選んでいた
地域は実はどこでも可能なのだが。最初に女神が気まぐれに選んだ場所が日本らしい。つまり偶然であると
なんだろう。後半は女神側の都合や転生の条件だが。前半は随分と作為的に感じる。目的があるのか?

「ああ。察しが良いのう。その通り!転生させた目的はあるぞ!!じゃがお主に異世界でして欲しい事はない。自由に生きて良いぞ。お願いくらいはするかもじゃが、しない場合は断ってくれても良い。その場合も一切のペナルティは無しじゃ。ま、そもそも女神は余程の事がないとヒトや世界に対してシステム的に可能な行動とルール的に容認されている会話以外で直接干渉は出来ぬしのぉ。あ、1つだけあったのじゃ!出来れば長く生きて欲しい。理由?異世界転生は大変なのじゃ!何人何回もするのは面倒なのじゃ!
じゃが異世界の住民もヒトなんじゃしモラルや法はあるから。目に余る程の無法や無礼をすれば同様に裁かれるから程々にの。その辺は転生者だからとて女神も融通はしてやらんからの」

目的はあるが要求はないらしい。そういうモノなのだろうか?
いや。直接干渉出来ないと長く生きて欲しいの所がそれに付随している気がするな。とは言えど。そういう世界の真相とか真実みたいな事にも興味はないな
次に言ってた事も特段おかしくはない。「郷に入れば郷に従え」という事だ。…となれば無人島でスローライフとかだったら文字通り自由なんだろうか?
それと。そういえば先程から一言も喋ってないのだが…

「ああ。女神はヒトの心の声が聞こえるからの。喋らなくても分かるのじゃ」
ニカッっと笑っている。便利ダナー
と、思った拍子に回答された。だが分かるのは表層の思考だけらしく
今。考えている事は分かるが。そうではない事は分からないのだとか。不便ダナー

「お主辛辣じゃな…別に良いが。それとアレじゃ。転生者には特典として天恵を授けるのじゃ」
天恵?ここに来て随分と異世界転生のテンプレートがやって来たな
言いたい事は何となく分かるが具体的な事を聞いておきたいな

「じゃ。ろうな。天恵とは特別なスキルじゃ。内容は千差万別。まあ100個しかないがな。ガッハッハ!……与える理由は長生きして欲しいからじゃな。分かりやすいのだと全ステータス上昇する[恵体]とか必要経験値1/20の[天才]とかかのう…」
女神ギャグはさて置き。具体的に挙げられた天恵のうち
前者はどの程度の影響があるのか分からないな
後者は単純に普通のヒトより20倍早く成長出来るのだろうか?
ならそれで良い気がする。悪くはないし安牌な気がする
それと[]の中は天恵の名前かな?

「そうじゃな。天恵には名前があるの。通常のスキルとか職業もそういう仕様じゃからな。それにしてもノリが悪いのぉ。もっと冒険心を持たぬか!若いんじゃから!とは言えど、残念じゃが天恵はお主には選ぶ事は出来んぞ?そういうルールじゃからな!」
それらに軽く説明が入る

天恵は100種類あり。それらは内容は既に決められている
そしてそれらからランダムに選ばれて決めるとか
ただし現在の異世界に生存している転生者の持っている天恵は選ばれない
現在転生して生存しているのは58人。なので残り42種類から抽選される
因みに残っている中で一番強くなる可能性を秘めているのは[ステータス吸収]なんだとか
内容は教えてくれなかったが。女神様が言及するくらいなので相当良いのだろう

「まー。モノに依って性能にちぃと格差があるが。その辺は運じゃな。なに。デメリットはない。良ければ超ラッキー。悪くても貰えるだけありがたい5%OFFクーポンみたいなモノだと思っておくと良いぞ。それと選べもせんのじゃから説明も要らんじゃろ?お主も分かってきた様じゃが妾は説明が嫌いじゃ。しなければならぬ説明は仕方なくしておるが、減らせるモノは減らす質でな。ホレ。そろそろ天恵決定パートなのじゃ!」
そう言いながら箱が現れた。一辺15センチの立方体の1面に手が入れられる丸い穴が空いている
そこに女神様は腕を入れてガサゴソと回し始めた
説明されなくても察せる。アレの中にその天恵とやらが入っており。今。選ばれるのであろう
天恵の名に恥じない圧倒的天運。女神の匙加減ならぬ手加減で決められる様だ
…手加減の本来の意味とは違うが気にしない
…デメリットはない。と言われたが
やっぱり良いものが貰えた方が嬉しいかな?
何が良い天恵なのかは分からないが、そのくらいの欲望を持つくらいは許されるだろう

そう軽めに祈っていたら女神様は腕を取り出してその珠を確認し始めた
「ふむ?……天恵は「兼業」じゃな。何じゃったかな…ああ。あれじゃ。普通は1つ就く職業に同時に就ける天恵じゃ。その代わりに1/2になってしまうのぉ」
…内容を覚えてなかったんじゃなかろうか?この女神様ならありうる。100種類あるとか言ってたし。
ってそこじゃない。なんか後半の説明に露骨なデメリットがあった気が…大丈夫なんだろうか?
そもそも職業に同時に就けるというのもそれがどの程度良いのかは判然としない

「そう不安がるでない。100種類あるから個性でこういう特徴の付いてる天恵もあるが。まあ。バランス調整の様なモノじゃ。なに。酷い天恵は毎日銀貨が1枚貰える[小遣い]なんてのもあるぞ!銀貨は日本円で1000円くらいじゃからな!それよりはマシじゃろう」
なんだろう。それはとても悲しい天恵だな。何もしなくても質素倹約したら暮らせる?のかも知れない
もしくは1日3食に一品追加くらいの贅沢が出来るのだろうか?
どちらにせよ悪くはないが、かなり酷い天恵ではなかろうか?
そもそも名称の[小遣い]に悪意がある。けちんぼか!もっと大きい金額でやれよ。とは思う
そう考えるとよく分からない効果だがマシな気がしてきた
少し。[兼業]について勝手な予想をしていたのだが
獲得経験値が1/2と言うのだから、2つ同時に職業に就けるのかな?
だがそもそも職業に就くと言うのがどういう事なのか分からないので、これ以上の考察は無意味か。教えてくれないだろうか?

「あー…そこらへんの説明をするのは面倒なのじゃ~もう必要な説明は全部終わったのじゃ!異世界へ送るから異世界で自分の手で確認するが良い。
それと転生したら近くにギンジというおじさんがおる。先輩転生者のそいつに「今、転生した」と言えば色々と援助とか説明とかしてくれるから。あとは任せるのじゃ!ここ半年は全部の初期地点に誰か居てくれるから助かるのう」
唐突になげやりになった。ギンジという人物か。信用して大丈夫なのだろうか?
いや。誰が信用出来るなど。分からないのは同じなのだから。一応は警戒するが、女神様公認のその先輩転生者とやらと女神様を信じるか。面倒が嫌いな女神様だが。必要な説明はしてくれたんだし

アプロディーテ様は軽くなにかを操作する様な動作の後、
こちらから目線を外して伸びをしている。欠伸もしている
それと同時に視界が更に白く。何も見えなくなった
多分転生が始まったのだろう

そしてここから私は消えた



女神の居る空間。地球でも異世界でもない謎の場所
敢えて女神空間と呼ぶが。ここに先程の女神。アプロディーテだけが残った

「…ふむ。にしても天恵は[]か…初めて実装される天恵じゃが。あの天恵ならあわ良くば…ふっふっふ。そうなったら楽しい。いや。嬉しいのう」
怪しい皮算用をして。その事実を声に出す。そして

「妾の仕事が減ってくれそうな良い人材じゃ!それに良いタイミングに起きてくれたモノじゃ!さて。次はあのドラマでも見ようかのう」
尚。女神の言う良いタイミングや機嫌が良いとは
今回の場合は余暇でしていた事を中断されたタイミングが良いか悪いかである
勿論。続きの気になる良い場面だと機嫌が悪くなる。露骨に悪い時だと雑に扱われる
他にも寝てた。食べてた。忙しかった
なんであろうと本人。いや。本女神がそう感じたら機嫌が悪くなる
その点では。偶然ではあるが先程の人物は凄く運が良かった



そしてアプロディーテは最初に「」と言ったが
それが本当に丁度良かったのか。後から考えればそれは甚だ疑問である
…が、面倒が嫌いでテキトーな女神のアプロディーテにしてみれば
やはり「丁度良いタイミング」であったそうな



少しのち…丁度。ドラマ視聴モードになってくつろいで準備を完了して見始めた直後
つまりタイミングが悪くなり始めた頃に

「やあ。アプロディーテ。ちょっと話があるんだが良いかい?」
唐突に現れた。女神空間にこの様に現れる事が出来る存在はただ1つ。別の女神だけである
チラリと目線だけを向け。だがまだドラマに意識を向けていたが
そんな女神。アルテミスは話を始めた

「お前。転生者の構築。して雑にやったろ?確かに仕方なくあの仕事はお前に頼んだが。そこは仕事なんだから頼むよ?」
機嫌が悪くなった所だが。どうやら何かあるらしい。厄介だ。ああ。ホントに

「細かい手順とか…ヘパイストスみたいな事を言うのう。何なのじゃ?妾はドラマを見るのじゃが…」
と映像に目を移すが、その間に割って入ってきた。
邪魔だ。だが妾の事を知っている上でするのだから。余程の事なのだろう。ホントに厄介そうだ

「確認が必要なんだよ。こっちに来てくれるかい?」
雑に腕を掴み。彼女の女神空間に連れて行かれた

面倒だ ああ面倒だ 面倒だ

心の川柳は無視され
彼女達と目の前の激情をあらわにしている冴えない男とアルテミスとの会話が始まった
雑にあしらってしまおう。そうしよう。そしてドラマの続きを見るのじゃ
早く解決して戻れると良いなぁ。とか想いながら

___________
圧倒的説明回スタートになってしまった。

露骨なフラグも入れていくスタイル。

回収タイミングは結構後の予定。

それとホントはこの欄では、

世界観関連の説明とか職業とかの解説を入れたい。

そう思っている。

予定は未定。



なので今回は1つ。

既に決まっている天恵は多分61個。

残り39個はアイデア募集中!
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