arkⅣ

たける

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3.

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トラボタヌ石の精製は順調に進んでいるようだったが、戻ってきたタルボルは険しい顔をしていた。

「町が襲撃されている!艦の準備も、あと10分はかかるぞ」
「こちらからも警備班を転送降下させました」
「私は艦に戻る。貴方は最後まで見届ける気か?」

早足に扉へ向かったタルボルが振り返った。

「そのつもりです。それが宇宙連邦軍との約束ですから」

必ず最後まで見届けるようにと、ノナカから言われていた。

「あんたのとこの艦が狙われているんだぞ?貴方は艦長なのに戻らないのか!」
「副艦長に託しております。私は彼を信じていますので……」

ジョシュは、ファイに全幅の信頼を寄せていた。それはアルテミス号に乗りんだ時から変わらない。

「貴方がそう言うのなら、それでも構わないが……」

そう言うと、タルボルはモハンドを伴って再度部屋を出て行った。ワイズが不安そうにジョシュを見てくる。

「大丈夫だよ。きっとファイなら、うまくやってる」

ガラスに近付き、工場を見下ろす。精製はついに銀と掛け合わせる行程に進んでいた。

「奴ならそうだろう。だがジョシュ、相手は4隻もいるんだぞ?いくらファイが有能と言えども、楽観視は出来ない」
「だけど、作業を早巻きにする事は出来ないんだ。それに、約束を破る訳にもいかない……これには、ヨラヌスが平和軍に加入してくれるかどうかもかかってるんだ」

全てが上手く行けば、きっとタルボルやヨラヌスの長も、加入を検討するだろう。
だからこそ、ここで宇宙連邦軍の必要性を示さなくてはならない。

「俺は無理だと思うがね。奴等は頭が固いし、伝統的な文化を尊重してる」
「それはどこだって同じさ。ただ、きっかけが必要なんだよ」




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