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第5章
4.
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仕事に集中する事で、ゲイナーは気を紛らわせた。山のような書類が片付いたのは7時を回ってからだったが、これから帰れば家族と一緒に夕食が食べられる。
「お疲れ様」
歩きながらゲイナーが言うと、署内のあちこちから、お疲れ様でした、と言う言葉が飛び交った。その声を背に警察署を出ると、一時は止んでいた雪がまた降り始めていた。
白い息を吐きながら車に向かう途中、冷たい風が吹いた。ゲイナーはその風にクレイズを思い出した。
──きっと今頃はドーズの家にいるのだろう。
そう思いながら空を見上げた。
クレイズはドーズの事を嫌っている。なのにその男の家に連れて行かれていると思うと、不憫でならない。どうにかしてドーズからクレイズを奪い返したかった。ドーズから奪い返したところで、クレイズはまた刑務所に入る事になるだろう。だか、ドーズの家にいるよりかはましではないかとゲイナーは思ったが、それは自分だけの考えにすぎない。もしかしたら、クレイズはそう嫌がってはいないのかも知れない。
そう考えて、ゲイナーはクレイズに会いたくなった。
「クレイズ、君は今何を考えているんだ?」
雲に半ば隠れている月に、ゲイナーは自問自答するように声を発した。
だが返答などない。ゲイナーは扉を開き、まだ温かく感じられる運転席へと乗り込んだ。
「お疲れ様」
歩きながらゲイナーが言うと、署内のあちこちから、お疲れ様でした、と言う言葉が飛び交った。その声を背に警察署を出ると、一時は止んでいた雪がまた降り始めていた。
白い息を吐きながら車に向かう途中、冷たい風が吹いた。ゲイナーはその風にクレイズを思い出した。
──きっと今頃はドーズの家にいるのだろう。
そう思いながら空を見上げた。
クレイズはドーズの事を嫌っている。なのにその男の家に連れて行かれていると思うと、不憫でならない。どうにかしてドーズからクレイズを奪い返したかった。ドーズから奪い返したところで、クレイズはまた刑務所に入る事になるだろう。だか、ドーズの家にいるよりかはましではないかとゲイナーは思ったが、それは自分だけの考えにすぎない。もしかしたら、クレイズはそう嫌がってはいないのかも知れない。
そう考えて、ゲイナーはクレイズに会いたくなった。
「クレイズ、君は今何を考えているんだ?」
雲に半ば隠れている月に、ゲイナーは自問自答するように声を発した。
だが返答などない。ゲイナーは扉を開き、まだ温かく感じられる運転席へと乗り込んだ。
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