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第一章:ゼフィル
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ゼフィルの住み家は──街の外れにある──深い森の中の洞窟だった。湿ってごつごつした岩は、眠るのに適してはいない。だがゼフィルはここに住み続けている。
盗んだ宝物はゼフィルの手元にはない。それらの大半を、貧しい家に分け与えていたからだ。
ゼフィルにとってその行為は、特別なものではない。ただ気紛れに、分けた方がいいと思ったからやっている事だった。だから感謝もされたくなく、こうして1人でいるのだった。
だが今日は違う。
1人きりが嫌になるぐらい、気が滅入っていた。
原因は分かっていた。キャロラインに傷を負わせたからだ。
「すまない……」
誰とはなしに呟き、そして頭を抱えた。
──どうすれば彼女の傷は癒えるだろう?
どうすれば許されるだろう?
そんな事を考えながら、徐々に沈み行く太陽を眺めていた。
やがて陽が落ちると、ゼフィルは再び愛馬に跨がり街へ出た。街頭の下には人はまばらで、物請いの姿もない。そんな石畳を進みながらキャロラインの家の前に着くと、丁度彼女が玄関から出てきたところだった。
暗闇の中でも分かるそのシルエットは、庭先にある納屋へ向かっている。ゼフィルは馬から下りると、キャロラインを呼んだ。
「キャル……」
「まぁ……ゼフィル……」
振り返ったキャロラインは声のトーンを落とし、ゼフィルの元へ近付いてきた。その顔には痛々しく、包帯が巻かれている。
「どうしたの?」
「すまない、キャル……あんな事……その、怪我をさせるつもりはなかったんだ」
ゼフィルは昼間の事を詫びた。だがキャロラインは笑った。
「気にしないで、ゼフィル。こんな傷、すぐに治るから」
優しい笑顔に胸が痛くなる。
「だが……」
それ以上言葉は続かなかった。ただ苦しくて、愛しい。
ゼフィルはキャロラインを愛していた。
「本当に、気にしないで。だからもう行って、ゼフィル」
家の様子を気にしながらそう言うと、キャロラインは納屋から薪をいくつか持ち出し、そのまま家に戻って行った。その姿をずっと見つめたまま、ゼフィルはキャロラインの傷が早く癒えるようにと願った。
盗んだ宝物はゼフィルの手元にはない。それらの大半を、貧しい家に分け与えていたからだ。
ゼフィルにとってその行為は、特別なものではない。ただ気紛れに、分けた方がいいと思ったからやっている事だった。だから感謝もされたくなく、こうして1人でいるのだった。
だが今日は違う。
1人きりが嫌になるぐらい、気が滅入っていた。
原因は分かっていた。キャロラインに傷を負わせたからだ。
「すまない……」
誰とはなしに呟き、そして頭を抱えた。
──どうすれば彼女の傷は癒えるだろう?
どうすれば許されるだろう?
そんな事を考えながら、徐々に沈み行く太陽を眺めていた。
やがて陽が落ちると、ゼフィルは再び愛馬に跨がり街へ出た。街頭の下には人はまばらで、物請いの姿もない。そんな石畳を進みながらキャロラインの家の前に着くと、丁度彼女が玄関から出てきたところだった。
暗闇の中でも分かるそのシルエットは、庭先にある納屋へ向かっている。ゼフィルは馬から下りると、キャロラインを呼んだ。
「キャル……」
「まぁ……ゼフィル……」
振り返ったキャロラインは声のトーンを落とし、ゼフィルの元へ近付いてきた。その顔には痛々しく、包帯が巻かれている。
「どうしたの?」
「すまない、キャル……あんな事……その、怪我をさせるつもりはなかったんだ」
ゼフィルは昼間の事を詫びた。だがキャロラインは笑った。
「気にしないで、ゼフィル。こんな傷、すぐに治るから」
優しい笑顔に胸が痛くなる。
「だが……」
それ以上言葉は続かなかった。ただ苦しくて、愛しい。
ゼフィルはキャロラインを愛していた。
「本当に、気にしないで。だからもう行って、ゼフィル」
家の様子を気にしながらそう言うと、キャロラインは納屋から薪をいくつか持ち出し、そのまま家に戻って行った。その姿をずっと見つめたまま、ゼフィルはキャロラインの傷が早く癒えるようにと願った。
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