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ゆっくりと地下へ降りると、辺りは暗闇に覆われていた。手探りで明かりのスイッチを探してみたが、見つからなかった。
「何も見えないぞ」
「修理キッドに、確か懐中電灯があったよ」
そう言って暫くキッドを漁っていたカールだったが、すぐに目的の物を取り出し、明かりをつけた。
照らされた丸い範囲に、鉄格子が見える。ジョシュは2人に合図し、そちらへ注意深く歩み寄った。
「誰だ?」
しわがれた声が聞こえ、次いで鉄格子にしがみつくような音がした。ジョシュはカールにそちらを照らすよう指示すると、明かりの向こうに長い白髪と髭をたくわえた老人が像を結んだ。
「私は宇宙連邦軍、アルテミス号の艦長、ジョシュ・デビットです。貴方は?」
「宇宙連邦軍!」
老人は端から見てもそれと分かるように、歓喜に満ちた目を見開いた。
「私はマルティナ号の機関士、ドラキア・バルトローだ!あぁ良かった!早く助けてくれ!」
今度はジョシュが目を見開く番だった。
──生きていたなんて!しかも地下に幽閉されて……
「どうして地下に?」
「50年前、我々マルティナ号は、この惑星の探査を行っていた。生命体はいないとされていたが、その時私と妻は、いない筈の生命体に……人間だ。彼らに捕らわれ、この地下帝国へ連れてこられたんだ」
やはり、ファイが推測したような事が起こったらしい。
「あのコンピュータ……バラムはその時からあったんですか?」
「あぁ。だが、今ほどしっかりはしていなかった。寄せ集めのガラクタだったんだよ。だが彼等は、そのガラクタを崇拝していてね、直さないと殺すと脅してきた。そこで仕方なく、ある程度は直したんだが、今度は人工頭脳を作れと言われて……」
「で、作った。それで?」
ジョシュは先を促した。ドラキアはゴクリと唾を飲むと、再び口を開いた。
「それは私の想像を遥かに越える程の知能を有するコンピュータに仕上がってしまった!すぐに奴は人間達を有害だとし、処分し始めた。私の妻も例外で
はなく、な……妻の脳は助かったんだが、体は機械なんだよ」
何故妻はかろうじて助かったのか。
それはドラキアが、彼女を殺したら自分も死ぬ、と言い出したからだ。バラムにとって、自身の創作者であるドラキアを死なせる訳にはいかなかったのだ。
程なくして、バラムは新たな命令をドラキアに言った。妻を盾にして。ドラキアは逆らえる筈もなく、幾体も機械の住民を作ったのだ。
「マーゴ、もといマーガレットは、彼等はバラムが起きて統括している時は、自由だと言っていたが?」
そう尋ねると、ドラキアは老いてしわくちゃになった手を額に宛てがった。
「それは違う。バラムは彼等の行動を規制している。だがそれは彼等には分からず、それが自由だと思い込まされてるんだ。マーガレットは、バラムの手足のように働かせられている」
「貴方は何故、このような場所に幽閉されているんです?」
ある程度の回答を、ジョシュは想像していた。そしてドラキアが答えたのはまさしく、ジョシュが用意した回答と同じだった。
「もう私は、バラムにとっては用済みだからさ」
「何も見えないぞ」
「修理キッドに、確か懐中電灯があったよ」
そう言って暫くキッドを漁っていたカールだったが、すぐに目的の物を取り出し、明かりをつけた。
照らされた丸い範囲に、鉄格子が見える。ジョシュは2人に合図し、そちらへ注意深く歩み寄った。
「誰だ?」
しわがれた声が聞こえ、次いで鉄格子にしがみつくような音がした。ジョシュはカールにそちらを照らすよう指示すると、明かりの向こうに長い白髪と髭をたくわえた老人が像を結んだ。
「私は宇宙連邦軍、アルテミス号の艦長、ジョシュ・デビットです。貴方は?」
「宇宙連邦軍!」
老人は端から見てもそれと分かるように、歓喜に満ちた目を見開いた。
「私はマルティナ号の機関士、ドラキア・バルトローだ!あぁ良かった!早く助けてくれ!」
今度はジョシュが目を見開く番だった。
──生きていたなんて!しかも地下に幽閉されて……
「どうして地下に?」
「50年前、我々マルティナ号は、この惑星の探査を行っていた。生命体はいないとされていたが、その時私と妻は、いない筈の生命体に……人間だ。彼らに捕らわれ、この地下帝国へ連れてこられたんだ」
やはり、ファイが推測したような事が起こったらしい。
「あのコンピュータ……バラムはその時からあったんですか?」
「あぁ。だが、今ほどしっかりはしていなかった。寄せ集めのガラクタだったんだよ。だが彼等は、そのガラクタを崇拝していてね、直さないと殺すと脅してきた。そこで仕方なく、ある程度は直したんだが、今度は人工頭脳を作れと言われて……」
「で、作った。それで?」
ジョシュは先を促した。ドラキアはゴクリと唾を飲むと、再び口を開いた。
「それは私の想像を遥かに越える程の知能を有するコンピュータに仕上がってしまった!すぐに奴は人間達を有害だとし、処分し始めた。私の妻も例外で
はなく、な……妻の脳は助かったんだが、体は機械なんだよ」
何故妻はかろうじて助かったのか。
それはドラキアが、彼女を殺したら自分も死ぬ、と言い出したからだ。バラムにとって、自身の創作者であるドラキアを死なせる訳にはいかなかったのだ。
程なくして、バラムは新たな命令をドラキアに言った。妻を盾にして。ドラキアは逆らえる筈もなく、幾体も機械の住民を作ったのだ。
「マーゴ、もといマーガレットは、彼等はバラムが起きて統括している時は、自由だと言っていたが?」
そう尋ねると、ドラキアは老いてしわくちゃになった手を額に宛てがった。
「それは違う。バラムは彼等の行動を規制している。だがそれは彼等には分からず、それが自由だと思い込まされてるんだ。マーガレットは、バラムの手足のように働かせられている」
「貴方は何故、このような場所に幽閉されているんです?」
ある程度の回答を、ジョシュは想像していた。そしてドラキアが答えたのはまさしく、ジョシュが用意した回答と同じだった。
「もう私は、バラムにとっては用済みだからさ」
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