arkⅡ

たける

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3.

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暗闇に沈むサカリア城では、あちこちで蝋燭が灯され、温かな光と温度が城内を守るようだ。
だが、危険は時間を問わず訪れるものであり、またそれが人為的なものになると、こうした闇に紛れてやって来る事が多い。
サカリアの夜の闇に目が馴れた者達なら、尚更だろう。

「では、貴方達は2階のベランダから矢を放って下さい。貴方達は1階の窓からフェイザー銃で、城に近付いた奴らの撃退をお願いします」

そう指示を出し、ジョシュはノッドと共に暗視ゴーグルを装着した。

「で……俺が切り込み隊長って訳だな?」

ノッドはそう言いながら、片方の眉を吊り上げて見せた。

「えへ、そう。頼むよ、ノッド。君の力に大いに期待してる……!」

ジョシュはノッドの手を強く握ると、渾身の思いを込めた。


──俺達がこの惑星を守る。


「あんま期待するなよ。こう見えてシャイなんだ」

そう言って笑い合っていると、ララが大広間へ入って来た。

「デビット様、森の入口付近に奴らの姿を確認しました……!」
「よし、みんな……!懸命に抵抗しよう!」

ジョシュは敢えて抵抗と言う言葉を使った。その理由は単純で、凶暴化した男達を、彼女達は撃退するだけで殺してはいない、と言われたからだった。

「じゃあ艦長、やりますか」

そう言ったノッドは、ジョシュの肩に触れると目を閉じた。そして瞬きをしている間に、男達から死角になる岩場へとテレポートする。

「凄いな」

ひっそりとノッドの耳元に囁いたジョシュは、腰からフェイザー銃を取り出した。

「まぁな。それよりジョシュ、さっきの作戦なんだが……」

ジョシュがノッドと共に立てた作戦は、ある種の撹乱戦法に近い。
男達のど真ん中にテレポートし、不意打ちをくらわせてまたテレポートする。それをサドゥール以外の男達が倒れるまで繰り返す。

「君がいるからこそ、出来る戦法さ」

ノッドには7つの力がある。テレポートはそのうちの1つで、データを見た時、ジョシュは正直に、彼は戦う為に造られたようだなと思ったものだ。

「お役に立てて光栄です、艦長」

そう言って微笑するノッドは、とてもサイボーグには見えなかった。
岩場からこっそりジョシュが顔を覗かせると、男達はまだ森の入口付近にいて、何やら向こうも作戦会議をしているようだ。

「よし、作戦決行だ」

ジョシュはフェイザー銃を構えた。




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