薔薇の弔い

たける

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第2章

2─3

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エレベーターが1階のエントランスに止まり、ローレンは警察署を出た。ここからカフェまで徒歩10分。もしかしたら、ジェシカが先に到着するかも知れない。そう思いながら、歩調を早める。
始業時間を回っている為か、歩道も道路も空いていた。配達のトラックや自動車がローレンを追い越し、その姿が遠退く。
カフェに到着する頃には汗をかき始めていた。駐車場には既に、ジェシカの車が停車している。慌てて店内に入ると、流行りのポップスが流れていた。
ジェシカは店内奥に座っていて、カップを傾けている。

「ごめん、待たせたね」
「いえ、いいのよ。補給してたとこだから」

そう言ってジェシカはカップを指差した。

「ハイスクールでは、何かつかめたかい?」

そう尋ねながら、ローレンは鞄から黒いファイルを取り出した。

「たいした収穫はなかったわ。ジョンは真面目な生徒で、問題を起こすようなタイプではなかったみたい。だけど」

ジェシカも鞄からファイルを取り出すと、自分で書きなぐった文章を眺めた。

「半年ぐらい前から担任に、親の離婚について相談してたそうよ」
「どんな風に?」

ウェイトレスにローレンもコーヒーとサンドイッチを注文すると、ジェシカは新たにコーヒーを注文した。

「体壊すよ?」
「お気遣いありがとう」

そう言うと、ジェシカは話し始めた。

「秋頃から両親は度々口論を繰り返し、離婚裁判を始めたらしいの。ジョンには4つ離れた姉がいて、その姉とよく、どちらにつくかを話し合っていたそうよ。担任は、ただ話しを聞くだけ。何を言ったって、決めるのは本人だからね」

そこまで言ってから、ジェシカはカフェインを摂取した。ローレンはサンドイッチを頬張り、それを見守る。

「昨年末についた決着で結局、ジョンは父親に。姉は母親についたそうよ」

そう言うと、ジェシカは書類をテーブルに置いた。

「僕も裁判所から取り寄せたよ」

平らげた皿を脇に退け、ファイルを広げる。

「姉はブルーローズ・リジャスティンス。今、被疑者として拘置してるんだけど、遺体にバラを撒いた事は認めた」
「もう被疑者を確保したの?」

そう尋ねてきたジェシカのカップには、もう中身はなかった。

「警察署の向かいに花屋があるの知ってる?」
「あったかしら?」
「2週間前にオープンしたらしいんだ。彼女はそこに、先週から働いているらしい。そこはバラ専門店で、ジュリアスローズの取り扱いも確認した。事件当日、彼女はそこでジュリアスローズを購入した、午後9時半頃にね」

そうローレンが報告すると、ジェシカはウェイトレスへ新たなコーヒーを注文した。

「で、どこから行く?」

カップに新しいコーヒーが注がれると、ジェシカはその匂いを嗅ぎ、幸福そうに目を細めた。

「確認しなきゃいけない事を確認しよう」

ローレンはメモ帳の新しいページを開いてペンを握ると、左手で書き出した。

「まず両親の行方を探して、話しを聞く。それから、ブルーローズの家に行って凶器を探す。ジョンの爪に付着していた皮膚からDNAを採取して、ブルーローズのものと比較する。どうかな?」

ジェシカを見遣ると、何かを考えている風だった。

「動機は何かしら……?」

それはローレンも考えてみた。だが、しっくりくるものが思い浮かばなかった。金銭トラブルか仲たがいの末の犯行か。どちらにしろ、ブルーローズは殺人については黙秘している。拘留期間が終わるまでに、何とか聞き出さなければ。

「証拠を固めてからだね」

そう答えるよりなかった。




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