薔薇の弔い

たける

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第4章

4─1

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2人が再び警察署に戻ったのは、19時前だった。凶器は──推測がはずれて──ミディアムの部屋のクローゼットから見つかり、それを持ち帰って鑑識に回した。
結果が出るまで時間がある。ローレンは、フランカフェにジェシカと入った。ブルーローズを拘束したカフェとは違い──公務員や店舗スタッフが多いためか──客足はまばらだ。

「凶器がミディアムのクローゼットから発見された。多分、指紋が出てもミディアム本人のものだろうね」

コーヒーに砂糖を少し入れて掻き回し、ローレンが言った。ジェシカは既にカップへ口をつけている。

「結局、動機は何かしら?」

それはローレンにも分からない。多分、本人にしか分からない事だろう。

「とにかく、証拠はある程度揃った。けど、バラの花びらを撒いた理由が分からない」

ブルーローズは、その事だけ認めていた。殺人については、口を閉ざしたままだ。犯人が母親だと分かっていて、庇っているとしか思えない。そう考えて、ローレンはふと思った。


──多分、この推測は当たっているだろう……


「そうね……こう言うのはどうかしら?」

ジェシカがカップを置いた。中身はもうない。

「母親がバラ好きだから、誰かに犯人は母親だと知らせたくて撒いた。どう?」

そう言って上目に尋ねてくるジェシカは、大きな目を少しだけ細めている。金色と少し色の濃い、茶色がかった髪がバランスよく混ざっているショートボブが、肩に少し乗っていた。

「そうかも知れないね」
「貴方はどう考えてるの?」

睨むような目で、ジェシカは尋ねてきた。ローレンはウェイトレスを呼び付けてジェシカのコーヒーを注文すると、自分のコーヒーを啜った。

「僕も、それもありかなって思うよ」

そう言ったところでウェイトレスがおかわりを持って来て、すぐに立ち去った。その後ろ姿を振り返りながら、ローレンはブルーローズを思い出していた。
か弱く、はかなげなぐらいに華奢な体。愛らしい、あどけなさの残る顔。それが、辛そうに歪んでいる。もう見たくない。だが、まだこれから、彼女を尋問しなければならなかった。

「僕はこう思う」

ジェシカへ視線を戻し、ローレンは考えを巡らせた。

「いくら母親が犯人だと分かっていても、家族はそれを隠したがるものだと思う。だから彼女もそうだったんだろう。きっと理由はもっと単純さ」

母親が好きなバラの名前をつけられた女性。
彼女もバラが好きで、家族もバラが好きだった。

「手向けの花だったんじゃないかな」




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