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第14章.その後
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買い物袋を下げた優をリビングキッチンに通し、取り敢えずコーヒー──インスタントだけど──を淹れる。
「大丈夫そうで良かったよ」
「心配かけてごめんね」
ソファに座った優が、俺を振り返る。トレーにカップを2つ乗せ、俺も向かい側のソファに座った。
「久しぶりだよなー、澪ん家って」
「そうだね、2年ぶり?俺が引退してからだから」
「まだ1人暮らしなのか?」
「そうだよ。特定の相手もいないし」
優は──ふーん、と言って──ブラックのまま飲んだ。そして、そうだ、とカップを置いた。
「姫野君って知ってる?」
「え?うん。何で?」
「今朝さ、会社に澪を訪ねて来たんだよ」
そう言えば──優からのラインを見た時──着信があったなと思い出す。
「何か言ってた?」
「来月球技大会があるから、それに使う道具の相談がしたいって」
「そうなんだ。後で連絡してみるよ」
悪い事をしたな、と思う。
「それより姫野君って、ガタイいいよな。体育教師って言ってたけど」
「大学までラグビーやってたからね」
「へぇ!なのに、何でまた教師に?」
「そこまでは知らないなぁ」
と、誤魔化しておいた。詳しく話す必要もないし。
暫く談笑し、やがて優は帰って行った。その姿をエレベーター前で見送ってから、姫野に電話をかけてみる。
『もしもし、先輩、わざわざすみません!』
「こっちこそ。会社まで来てくれたんだって?」
部屋に戻り、カップをシンクに運ぶ。晩御飯はどうしよう?なんて、考えたり。
『いえいえ。それより、この後暇ですかぁ?』
「ん?予定はないけど……何で?」
『や、晩飯、一緒にどうかなぁって』
「いいよ、食べよう」
じゃあって、1時間後にT駅前で待ち合わせをし、電話を切った。
姫野との食事はおよそ1年ぶりだが、今の俺は──去年姫野と食事をした──あの時の俺ではない。
失恋の傷が半ば癒え、誰かさん──康介さん──を探していた。今は見つかり、誰彼構わず関係を持ってもいない。
──姫野には報告しとかなきゃな……
そう思いながら、洗い物を済ませる事にした。
「大丈夫そうで良かったよ」
「心配かけてごめんね」
ソファに座った優が、俺を振り返る。トレーにカップを2つ乗せ、俺も向かい側のソファに座った。
「久しぶりだよなー、澪ん家って」
「そうだね、2年ぶり?俺が引退してからだから」
「まだ1人暮らしなのか?」
「そうだよ。特定の相手もいないし」
優は──ふーん、と言って──ブラックのまま飲んだ。そして、そうだ、とカップを置いた。
「姫野君って知ってる?」
「え?うん。何で?」
「今朝さ、会社に澪を訪ねて来たんだよ」
そう言えば──優からのラインを見た時──着信があったなと思い出す。
「何か言ってた?」
「来月球技大会があるから、それに使う道具の相談がしたいって」
「そうなんだ。後で連絡してみるよ」
悪い事をしたな、と思う。
「それより姫野君って、ガタイいいよな。体育教師って言ってたけど」
「大学までラグビーやってたからね」
「へぇ!なのに、何でまた教師に?」
「そこまでは知らないなぁ」
と、誤魔化しておいた。詳しく話す必要もないし。
暫く談笑し、やがて優は帰って行った。その姿をエレベーター前で見送ってから、姫野に電話をかけてみる。
『もしもし、先輩、わざわざすみません!』
「こっちこそ。会社まで来てくれたんだって?」
部屋に戻り、カップをシンクに運ぶ。晩御飯はどうしよう?なんて、考えたり。
『いえいえ。それより、この後暇ですかぁ?』
「ん?予定はないけど……何で?」
『や、晩飯、一緒にどうかなぁって』
「いいよ、食べよう」
じゃあって、1時間後にT駅前で待ち合わせをし、電話を切った。
姫野との食事はおよそ1年ぶりだが、今の俺は──去年姫野と食事をした──あの時の俺ではない。
失恋の傷が半ば癒え、誰かさん──康介さん──を探していた。今は見つかり、誰彼構わず関係を持ってもいない。
──姫野には報告しとかなきゃな……
そう思いながら、洗い物を済ませる事にした。
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