Love Trap

たける

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3.

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ノッドのフォルダには、彼の設計図や力の一覧があるだけで、目新しい情報は得られなかった。
研究のフォルダには、ノッドを兵器として大統領に売り込む考えがある事が書かれていたが、それはまだ実現していないらしい。
全てのフォルダを開けて見たはいいが、結局フィックス達が向かった先は分からなかった。
カーテンのない窓からは、夕日が差し込んでいる。

「忌ま忌ましいだけだ」

ハンクは呟いた。さっきからノッドは、腕組みをしながら何かを考えているようだった。

「何を考えてるんだ?」
「いや……可能性を考えてるんだ。俺がタイムワープして、お前達を事故から助けたらどうかって」

考えてもみなかった意見に、ハンクは興奮した。
そうすれば未来は変わる。

「それはいい考えだ!早速そうしてくれ」

だが、ノッドは首を縦には振らなかった。

「俺は未来の俺に会った事があるんだ。80年先から来たって言ってたが……」

ファイと出会う未来もあっていい筈だ、と言っていた。
出会う未来もあっていい筈だ、と言う部分がひっかかる。なら出会わない未来もある、と言う事か。

「何て言ってたんだ?」

ハンクが尋ねてくるが、ノッドはうまい説明を思いつかなかった。

「さぁ……分からない」

確かめに行かなくてはいけないだろう。ノッドはハンクを見遣った。

「お前、家はどこだ?」
「なに?家?俺の家はサザントルロード3番地だが、それが何か?」

困惑するハンクの肩を掴むと、ノッドは笑みを見せた。

「確認したい事があるから、お前を家に送ってやるよ」

そう言うと、ノッドは目を閉じた。




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