Love Trap

たける

文字の大きさ
20 / 51
4.

飽きもせず、毎日同じ景色を眺めている。
先週宇宙アカデミーを卒業し、漸くファイと同じアルテミス号に乗る事が出来たのはいいが、ノッドは退屈で仕方がなかった。
そう文句を言うと、クールなリタルド人である恋人は、口角を引き攣らせた。

「退屈……?貴方は地球を守る為に士官に志願し、高度な試験に合格してアルテミス号に乗船して来たのではなかったのですか?」

厳しい口調でファイはそう言った。回りのクルー達は、持ち場で世話しなく手元を動かしている。

「まぁな……だが俺がここに来て1週間経つが、何もありゃしないじゃないか。宇宙は平和だ」

ファイと少しでも一緒にいたくて士官になった。そうでなければ、1度宇宙へ出て行った航宙艦は、3年から5年は戻って来ない。
1人でいるのはもう嫌だ。だから乗船した、と言えば、ファイは愚かな判断だと言うだろうか?それとも、最もな意見だと言ってくれるだろうか。

「平和なのは喜ばしい事です」

そう言うと、ファイは書類を束ねたバインダーを片手にメインルームを出て行った。

「叱られたな」

そう茶化してくるのは、アルテミス号艦長のジョシュ・デビットだった。

「うるせーよ。仕事しろ」

悪態をついても彼は気にしない質だ。だからノッドも気を遣わずに済んで、一緒にいると楽だった。また、ジョシュの胸の内は明るく前向きで、日頃は悩みなんて物は抱えていない。

「謝ってこいよ。その間なら持ち場を放れる事を許可するよ」

悪戯っ子のように笑うジョシュは、ノッドに早く、と指で示した。

「分かったよ、艦長」

自席から立ち上がり、ゆるゆるとメインルームを出た。だが、何を謝れと言うのだろう。
退屈だって言って悪かったって?馬鹿らしい。
そんな程度でファイは怒るものか。
だが、彼にキスはしたい。
そう思いながら通路を歩いていると、誰かが頭に直接話し掛けてきた。


『ノッド……!俺だ。今お前の部屋にいるんだけど、聞きたい事があるから来てくれ』


足を止める。


『お前…勝手に入るなよ』


向きを変えてリフトに乗り込むと、ノッドは自身に言った。ボタンを押し、扉を閉める。


『そう言うなよ。急いでるんだ、早く……!』


切羽詰まったような声音に、ノッドはリフトが到着する前に目を閉じた。




感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。