Love Trap

たける

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飽きもせず、毎日同じ景色を眺めている。
先週宇宙アカデミーを卒業し、漸くファイと同じアルテミス号に乗る事が出来たのはいいが、ノッドは退屈で仕方がなかった。
そう文句を言うと、クールなリタルド人である恋人は、口角を引き攣らせた。

「退屈……?貴方は地球を守る為に士官に志願し、高度な試験に合格してアルテミス号に乗船して来たのではなかったのですか?」

厳しい口調でファイはそう言った。回りのクルー達は、持ち場で世話しなく手元を動かしている。

「まぁな……だが俺がここに来て1週間経つが、何もありゃしないじゃないか。宇宙は平和だ」

ファイと少しでも一緒にいたくて士官になった。そうでなければ、1度宇宙へ出て行った航宙艦は、3年から5年は戻って来ない。
1人でいるのはもう嫌だ。だから乗船した、と言えば、ファイは愚かな判断だと言うだろうか?それとも、最もな意見だと言ってくれるだろうか。

「平和なのは喜ばしい事です」

そう言うと、ファイは書類を束ねたバインダーを片手にメインルームを出て行った。

「叱られたな」

そう茶化してくるのは、アルテミス号艦長のジョシュ・デビットだった。

「うるせーよ。仕事しろ」

悪態をついても彼は気にしない質だ。だからノッドも気を遣わずに済んで、一緒にいると楽だった。また、ジョシュの胸の内は明るく前向きで、日頃は悩みなんて物は抱えていない。

「謝ってこいよ。その間なら持ち場を放れる事を許可するよ」

悪戯っ子のように笑うジョシュは、ノッドに早く、と指で示した。

「分かったよ、艦長」

自席から立ち上がり、ゆるゆるとメインルームを出た。だが、何を謝れと言うのだろう。
退屈だって言って悪かったって?馬鹿らしい。
そんな程度でファイは怒るものか。
だが、彼にキスはしたい。
そう思いながら通路を歩いていると、誰かが頭に直接話し掛けてきた。


『ノッド……!俺だ。今お前の部屋にいるんだけど、聞きたい事があるから来てくれ』


足を止める。


『お前…勝手に入るなよ』


向きを変えてリフトに乗り込むと、ノッドは自身に言った。ボタンを押し、扉を閉める。


『そう言うなよ。急いでるんだ、早く……!』


切羽詰まったような声音に、ノッドはリフトが到着する前に目を閉じた。




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