Love Trap

たける

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もう愛してるさえ言えない。
それはハンクの勝手な思い込みだったが、間違ってはいないと信じている。
フィックスはノッドの恋人なのだ。だから自分が愛してるなどと言うのが、とても疚しく聞こえる。
純粋に、愛しているとは言えない。今でも彼をどうにかする方法があるのなら、きっとそうするだろう。
汚いとは思わない。
ゆっくりと身を屈めながら、廊下を小走りに抜け、非常扉へと進む。その前にエレベーターの前を通過したが、それは地下1階であるこの階に止まったままで、稼動していなかった。
まだ気付いていないとは思い難い。向こうも何かしら手立てを考えているのだろう。ハンクはホルダーから銃を抜くと、手際よく安全装置を解除した。
緑色に光るEXITEの看板の下を潜り、壁に背をつけたままゆっくり扉を開く。
音は鳴らない。
息も殺している。
何の気配もない。
扉を僅かに開くと、ハンクは先に銃を握った手を隙間から突き出し、そして間を空けてから外を覗いた。
各階に設置されている明かりが灯っていて、明るいそこに、人影はない。だが、背後からエレベーターが到着するベルを鳴らした。
ビクリと体が震える。
早く扉の向こうへ。一瞬そう考えたが、逃げる訳にはいかない。このまま隠れてしまえば、ストレイン達は2人の待つ部屋へ行ってしまう。そうしたら、それこそ残酷な時が訪れる。


──駄目だ。


ハンクはそう決めると、非常扉を閉めた。
1回に撃てる弾は6発。次は装填に僅かな時間がかかってしまう。その隙をつかれたらおしまいだ。
動きを封じるために狙うのは足だ。
外せない。
エレベーターの扉が開き、ハンクはゆっくりと間合いを詰めながら狙いを定めた。
3人の姿を確認し、ハンクは迷いなく弾を撃ち込んだ。外しはしなかったが、研究者は5人だった筈だ。
呻きながらうずくまる3人の中に、ストレインの姿はない。
どこから?まさか、非常階段か?そう思い振り返ると、ストレインがハンクに銃口を向けていた。




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