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お兄ちゃんの婚約者
しおりを挟むお・・・おばさんって・・・
お兄ちゃんの結婚相手の息子が~?
高取!?
呆然としていると目の前の高取は私の手をとって数回シェイクをして、何もなかったかのようにソファーに座った。そこへ父が私を呼ぶ声がしてきた。
「真奈美・・・こっちへ来なさい」
「そう言われても」
目の前で起こっていることに全くついていけないで、戸惑っているのを察したのか母は無理矢理、私をリビングに座らせた。
と・・・兎に角、落ち着かないと
目の前には、高取と高取の母、つまりお兄ちゃんの婚約者がいるんだ。
私は思わず目を瞑った。そして、今日の出来事が走馬灯のようによみがえってきた。おばさんと言われたことの原点がここにある。そして、確かに叔母に当たるというごく当たり前の結論に到達したんだけど、今日のこともあって心は反発している。
う~嫌だ。おばさんなんて、学校でそんな呼ばれ方をされたら、もう生きていけないかもそんな杞憂なことを考え続けていると父の話声が耳に入って来た。
「さっきの話だけど・・・俊介君はいいのか?」
「ええ・・」
お父さんが高取に話しかけていることに少し我に戻ったんだが、当然それまでの話を一切聞いていない私にとって、二人の会話は不思議なものに聞こえていた。
さっきの話?結婚のことよね。何故?今更聞きなおすの?
そう思っていると父が私のほうを向いた。
「後は、真奈美だけか」
みんなの視線が私に集中している。お兄ちゃんの結婚に反対する必要のないので
「いいわよ。問題なわよ。おにいちゃんの結婚のことでしょう」
私の言葉を聞いたお父さんとお母さんはやっぱりとあきらめていたような表情をしながら、顔を見合わせていて、更にはぁ~と二人して溜息をついた。
「何も聞いていなかったのか?」
「何もって・・・」
「さっき話したろう?」
さっき?何を話してたの?そんな私の姿を見て兄は溜息を付いて、こう切り出した。
「実は、俺・・・海外へ赴任が決まったんだ・・・」
「あ・・そう・・・」
海外?って別に結婚して行くんだから問題ないわよね・・
「あ・・・そうか?結婚式が遅れるってことなの?」
なんて顔をしているのあなた達は?みんな私のことを懐疑的な目で見ているし・・お兄ちゃん・・・また溜息付いているし・・・そこへとんでもない一言が兄の口から飛び出してきた。
「だから・・・ここで、俊介君をあずかってほしいんだ・・」
「別に・・・いいんじゃ・・・・」
えっ?今、預かるって言ったわよね・・・・それって・・・同居するの?高取と!?なんですと?
「なんですと?・・・・ええ~!!」
私の声がリビングに響いた。これはとんでもないことになった。兎に角
「ちょ・・ちょっと・・待ってよ!!」
そう叫んでは見たものの・・・慌てふためいているのは私一人だった。そんな私を制したのは母だった。
「真奈美!!聞きなさい・・・」
「だって~」
渋る私に今度は父が冷静に話しかけてきた。
「話を聞いたら同じ学校だそうじゃないか・・・高取さんのご両親は御健在だそうだけど、そこへ行くと今の学校へ通えない様だし、一人暮らしさせるより家であずかった方が彼のためにもなる・・・」
「お父さん・・・でも・・・」
判っているわよ・・・でも・・・急に同居って・・・しかも・・・同級生と?戸惑い父から目をそらした私に
「俊介君のこと嫌いなの?」
「あ・・いや・・・そうじゃなくて・・・」
チラッと顔をあげて答えていると笑みを浮かべた兄の姿が目に入って来た。
「真奈美が襲うんじゃないか?」
「お兄ちゃん!!」
「修一!!」
母と私の叫び声がこだました。
「うそ・・うそ・・・彼は、なかなかいい子だから・・心配するな」
「じゃ・・いいな・・」
父の止めの一言が・・・NOとは言えない・・・
「はい・・」
「じゃぁ・・・決まりだ・・・二人は安心して新婚生活を送ってくれ。」
こうして、私の家に高取が一緒に住むことになった。
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